見出し画像

2023年5月22日 小松庵銀座 森の時間|小松孝至 社長 「第1回 外食サミット2023」に参加し、今後の外食産業について思うこと、小松庵のこれからを語る

5月22日(月)銀座ギャラリータイム「森の時間」は、小松庵総本家の小松孝至社長が「第1回 外食サミット2023」に参加した際の気づき、今後の外食産業について話しました。
「第1回外食サミット」は、5月17日に衆議院会館にて、一般社団法人 日本飲食団体連合会(以下、食団連)によって開催されました。
「コスト高」「人手不足」「値上げへの壁」など、コロナ禍を経て激変する外食マーケットの未来をテーマに飲食業界の担い手たちが集い、外食を取り巻く“今”と“これから”について徹底討論しました。

「食団連」は2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、飲食店のオーナーシェフや外食企業経営者によって、政府・与野党、自治体への働きかけから始まり、2021年12月に設立、2022年1月より本格スタート。会長には服部幸應さん(学校法人服部学園理事長・服部栄養専門学校校長/ 医学博士/日本食普及の親善大使)が就任し、日本飲食業に関わる個人・中小規模の企業や専門店などが集う業界随一の組織となりました。設立時は14団体でしたが、多くの反響を呼び、2022年4月には36団体を抱える組織へと拡大が進んでいます。

その記念すべき第1回目の「外食サミット」、まずは服部幸應会長、そして自民党・副総裁の麻生太郎先生の挨拶から始まりました。

はじめに農林水産省(以下、農水省)より簡単なレクチャーがあり、資料が配布され、グループごとにディスカッションし発表するスタイルで行われました。
テーマ1:コスト高・人手不足への対策
テーマ2:コロナ禍を経た外食マーケットの変化
各テーブル6〜10名ほどで着席し、このテーマに対して意見交換しました。

資料を見せながら詳しく説明する小松社長

以下、小松社長のことばです。
私が特に気になったのは「外食産業の市場規模と推移」(農水省の資料データより)。今後、テイクアウト、デリバリーなど中食(なかしょく)が外食を追い抜き、拡大していくのではないかと懸念しています。外食産業は1997年に29兆円のピークに達して以降、2019年に少し上がったものの、全体的には下降傾向。消費税増税やコロナ禍で外出自粛があったこと、加速する高齢化、ライフスタイルの多様化などを考えると、外食産業が厳しい状況になっていくのではないでしょうか。
農水省の資料によると、現在、飲食業界に従事している人は約490万人いるそうです。これまで小さな協会や団体はありましたが、それぞれ横の繋がりがほとんどありませんでした。今回は政府の力を借りて集結した記念すべき会となったと思います。これからは外食産業に関わっている私たちが手を取り合い、力を合わせてできることがあるのではないでしょうか。自分にもまだ出来ることがあると感じました。今回の会議はその第一歩となったと思います。今後の活動にも期待したいと思います。

日本の伝統、職人文化を残していくために

また「外食市場における変化」については、市場の半分以上がファストフード。続いてはファミレス。この2つで大部分を占めています。たった50年ほどでファストフード店やファミレスが増え、街中にあふれている現状に改めて驚くと同時に「日本の食文化」はどこへいってしまったのか、と複雑な心境にもなります。
私が子供の頃は手作りの食事、鰹節を削り、煮干しを使って出汁をとる、そういうものが当たり前だと思っていました。おにぎりは作るもので買うものだとは思ってもみませんでした。現在、こういった手作りの食事ができる家庭はどのくらいあるのでしょう。
私もコンビニやファストフードを時々利用し、その便利さを実感しています。現在の社会ではなくてはならないものだと感じています。
だからといって日本の食文化や職人文化がなくなって良い訳ではありません。小松庵でいえば鰹節からとる出汁や熟練したそば職人が打った蕎麦、その味の違いははっきりとしています。最近はその違いがわかる人が少なくなっているのではと心配になります。子供の頃から美味しいものを味わって「おいしい」と言う、昔から伝わってきた伝統の味を絶やさないために何ができるのか、小松庵が大切にしていることは昔も今も変わりません。職人の味にこだわっていくこと、生産者との繋がりを大事にしていくこと、これを続けていくことです。

会議資料を見て興味津々の参加者

小松庵総本家は101年目に入りました
これから新しい挑戦へ

売上にフォーカスすることも重要ですが、世界に誇る日本の「食」のあり方を伝えていくことも大切です。小松庵では職人を育てることに注力し、江戸蕎麦の伝統を受け継ぎながら“今の蕎麦の魅力”を提案していきたいと思います。
2023年5月10日で101年目に突入しました。小松庵総本家の101年目は「東京蕎麦」として新しい蕎麦の食べ方を提案しようと考えています。
先日、銀座にて試食会を行い、オリーブオイルやフルーツ、ハーブなどの食材を取り入れた新感覚の蕎麦を使った新しいメニューを各店の料理長たちが提案し合いました。
新しいアイデアが次々と飛び出してきました。蕎麦本来の味を大切にしながらイタリアやスペイン料理と融合した斬新なメニューや和の素材とオリーブオイルを合わせたメニューなど。銀座ではすでに始めているのでご存知の方もいるかもしれません。本店、新宿店も始めました。丸の内店、ソラマチ店は夏に向けて試作中です。

(銀座)左から、土佐小夏のオイルソースsoba、ホタルイカのスモークオイルsoba
(本店)左から、トマトバジルチーズ、海苔アボカド
(新宿店)左からチリトマト、ベリーベリーバジル

そば30gを使用した小ぶり蕎麦(通常の1/3ほど)です。ワインや日本酒に合うアペタイザーとしてお楽しみいただけます。意外なことに上質のオリーブオイルとフルーツがとてもよく合うんです。

伝統を重んじながらも、旬かつ斬新なスタイルの蕎麦を追求し続ける!そして「食」を通して未来を築いていく小松庵に今後もどうぞご期待ください。

小松庵総本家 銀座 森の時間(平日16:00〜17:00)は展示してある作品をじっくりご鑑賞いただける、ギャラリー・タイムです。(この時間はお食事の提供はしておりません。)
今後も不定期でワークショップやトークショーなど様々なイベントを企画していきます。お気軽にご参加ください。
小松庵総本家 銀座(Tel. 03-6264-5109)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?