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江戸時代の季節のお惣菜1・2・3月編。古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた

今回からのシリーズはレシピではなく、そのまんまお惣菜の名前一覧です。ですので、その名前からどんな料理なのかを想像していただき、季節の旬の食材を気にしていただけると、実際の献立作りに役に立つかもしれませんし、スーパーでふと思い出すこともあるかもしれません。

四季惣菜123-1

四季惣菜123-2

四季惣菜の心得

毎日作る惣菜は、とても値段が安くて
味わいの良いものをもっぱら使うべし。
世帯持ちが困るのは、日々の惣菜である。
今ここに概略を記すので、
日常の参考にしてほしい。(全文訳)

正月二三月の部

●塩ブリ酒煮 または水炊き葛あんかけ

●ゴボウ・人参・漬けあわびのっぺい

●おから・牡蛎味噌汁(たんざく大根でもよい)
 
  ※原文の「きらず」とはおからのこと

●干かぶ・すくい豆腐味噌汁

●水菜・身鯨酒入り または揚げ豆腐でも可
 さらに、はかり鯨でもよい

  ※はかり鯨(量鯨)=鯨の細切り肉の煮物

●たたきゴボウごま醤油

●水菜辛子醤油浸しもの

●ネギ・はかり鯨 または揚げ豆腐

  ※原文の「ねぶか」はネギの異名
  
●八杯豆腐・山芋すってかけ浅草海苔

  ※八杯豆腐=うどん豆腐

●ヨメナ・ほうれん草・レタス・菊菜のおひたし

  ※ヨメナ(嫁菜)=キク科の多年草
  ※原文の「ちさ(萵苣)」はレタスのこと

●わけぎ・はかり鯨酢味噌あえ唐辛子

●数の子唐辛子味噌あえ または辛子味噌

●春大根・棒鱈・大豆炊き出し

●人参を千切りにし湯がいて調理する平皿

●たたき菜・鮎子味噌汁

四季惣菜123-3

●レタス・ヨメナ味噌汁辛子

  ※原文の「ちさ(萵苣)」はレタスのこと
  ※ヨメナ(嫁菜)=キク科の多年草

●焼き豆腐・時期かつお浅草海苔もみかけ

●はまぐり・しじみすまし汁 または赤味噌汁

●切干大根・こんにゃくごま味噌あえ

●タニシ・木の芽醤油煮つけ または木の芽味噌

●白豆腐角切り木の芽味噌かけ

●わらびつけ貝炊き出し


このほかに、野菜・海魚・塩魚・干し魚・
干物など、時々の安いものを見合わせて
使うこと。


【たまむしのあとがき】

根菜や魚介類が多いので、やはり寒い時期の食べ物という感じがします。

そんな中、鯨が普通に食卓に上がるのが、新鮮な感動を覚えました。

「身鯨」と「はかり鯨(量鯨)」が登場しますが、「身鯨」は調べてもわからなかったので、いったいどういうものか謎です。(推測では尾の身ではないかという気がします)

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