孤守

人口8万人程度の小規模自治体の法制担当係長です。 些事些末なものから身の丈に合わないス…

孤守

人口8万人程度の小規模自治体の法制担当係長です。 些事些末なものから身の丈に合わないスケールのものまで、お話をできたらと考えております。 どうぞ、よろしくお願いします。

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最近の記事

『偽装請負』

こんばんは。久しぶりのnoteです。 今回は、「雇用契約と業務委託契約(工事請負契約を含む。以下同じ。)の混同」について、お話しします。 不思議な話、このテーマ、どこのセクションにも起こり得るパンドラの箱なんです。そもそも、最初は業務委託契約を介して始まった当方と相手方の関係が、再契約を繰り返し、履行期間が長くなるにつれ、相手方が当方から雇用された被用者のような感覚を持ち始める。 そして、まるで雇用契約のような業務委託契約に変質していき、嘘のような話、待遇改善(制服等の貸

    • 親権の定義が変更されました。

      こんにちは。だいぶ間が開きましたが、Day10です。 昨年末、職場を2日間お休みをいただき仕事納めの日に鰻のせいろ蒸しを食べるために顔を出したのですが(おいおい)、メールチェックをしてる最中にサーッと血の気が引くようなニュースが飛び込んできました。 5年前に120年ぶりの抜本的見直しがあったという硬性民法がだいぶ柔らかくなったもので、不意打ち的に改正がなされるようになったようです。あまりニュースにもなっていなかったと思いますが、令和4年12月16日に民法改正が施行されてお

      • 『推定無罪』

        こんばんは。 少し前に他課の職員から『推定無罪』についてお尋ねがあったので、このことについて今回はお話ししたいと思います。 お尋ねされた内容は、「業者が起訴された段階で、指名競争入札の指名停止を実施するのは、推定無罪に反するのではないか」というものでした。この質問の意図、お分かりになりますか? まず、容疑をかけられた段階で「被疑者」、検察から起訴された段階で「被告人」、裁判で刑事罰が確定した段階で「犯罪者」という流れで、立ち位置が変わっていきます。 検察から起訴された段階

        • 「申請と申出。役所で見かけるけどどう違うの?」

          こんばんは。 すべての自治体が来年4月以降、地方公務員の定年延長、個人情報保護制度の霞ヶ関への集権化といったビッグウェーブに飲み込まれます。 その事前準備として不可欠となる条例改正(12月議会の議案書は100ページ超)やら検察協議やらで、屍に鞭打たれる状況…他の自治体の法制担当も目が虚ろなんだろうなあ、、、 ひとしきり、Day7から更新が滞った言い訳をしたところで、本題に入ります。 住民の皆さんが役所を訪れ、手渡される書類は申請書と申出書に大別されます。 便宜上、前者に

        『偽装請負』

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          「認知症の人の代理行為って、できるのかな?」

           こんばんはー。  急に気温が下がってきました。昼夜の寒暖差で体調を崩さないようにしましょうね。  今日は、「委任」についてお話をしようと思います。  Day2とDay3で読んだわい!とツッコミが入りそうですが、今回の「委任」は、言葉尻は同じでも、意味が違う委任(窓口業務に従事する職員には馴染み深いもの)のことです。民法の世界では、「任意代理」という言葉に置き換えられて説明されることが多いですね。種々の理由から本人の意思に基づき発生する代理の関係を指します。  もうひとつ

          「認知症の人の代理行為って、できるのかな?」

          「行政行為をストップ!…ってできるの?」

           こんばんは。  今回は、自治体職員が出くわすとダントツに嫌いなできごと「住民からの不服申立て・抗告訴訟」についてお話ししますね。実を言うと、現在、わたしの所属セクションでは不服申立てを3つも抱えてます…はあ、笑うしかないですね😂  住民が不服申立て、はたまた抗告訴訟が提起した場合、その対象となる行政行為をストップさせることができるのでしょうか。意外と知らない職員も多いんです。 ■私人がその行政行為に対して不服申立てや抗告訴訟を起こして争っている場合でも、行政庁は、裁決

          「行政行為をストップ!…ってできるの?」

          「減免って何?」

           先日、わたしが出席した会議において、「減免」という法律行為について、職員間でどうも誤解が生じているように思われる場面に遭遇しましたので、今回は「減免」についてフォーカスしてお話しします。よろしくどうぞ。  あなたが所属する部署で、住民が使用する施設、いわゆる公の施設を所管していることを想像してみてください。窓口に住民が訪れ、使用申請を申し出たとしましょう。その住民が自らの境遇を語り始め、本市が定める使用料を支払う余裕がないことをるるとして語り続けます。  当該施設の設置

          「減免って何?」

          「約束は守らなきゃ」

           つい先日、「法制係にお電話でーす」という同僚からの呼びかけに応じ、電話に出たところ、お話が長めの紳士と接することになり、久しぶりに当惑した孤守です。  かいつまんだ話をすれば、彼は、とある公的機関の対応に不満を持ち、改善申入れの要望書を提出したという旨の話を(3回、いや4回ほど…)され、「これに対する応答義務があるんだよね」と確認されてきました。皆さんならどう対応されますか?  今回は、この「応答義務」にフォーカスしてお話しします。よろしくどうぞ。  「応答義務」という

          「約束は守らなきゃ」

          「委任」の使い方

          こんばんは。孤守です。 少々間が開きましたが、前回に引き続き「委任」についてお話ししますね。 市内の県道拡幅事業が進捗し、あなたの所属課が所管する土地の売払いに関し、土木事務所(県庁の出先機関)と交渉のテーブルに着くことが濃厚になってきました。 相手方である土木事務所から受領した契約書案を見てみると、次のような表記があることに、あなたは違和感を覚えました。  令和○年○月○日 甲 ○○市   ○○市長 ○○ ○○ 乙 ○○県   ○○土木事務所長 ○○ ○○ 首長と

          「委任」の使い方

          自治体の『委任』は独特。

           今晩は。孤守です。  早速ですが、最も使われる頻度が高く、誰しもがある程度のイメージを浮かべることができる法律行為『委任』から、お話を始めたいと思います。しかも、複数回に渡って、、、。  『なんだよ、委任の話かよ』と、ブッチしようとしてるそこのあなた!委任がわからない(わかってるつもりの)自治体職員がいかに多いことかご存じない?最後まで読んでくださいね。  なぜ、委任が重要なのか?それは、自治体法務を読み解くうえで権利義務の主体を特定するために必須となるアイテムである

          自治体の『委任』は独特。

          はじめまして

           はじめまして。とある地方の基礎自治体に勤務する孤守と申します。  このノートを購読いただきたいメイン・ターゲットは、ずばり私と同じ自治体職員の皆様です。  仕事柄、ご自分の担当事務について、深く理解することに努めないまま、惰性でやり過ごす職員が多い状況に失望することの多さが筆を取るきっかけと申しますか、モチベーションになっております。  情報収集する書籍(ぎょうせい、第一法規など)のとっつきにくさや周囲の諸先輩の曖昧なアドバイスが、ことをこじらせる原因となっていること

          はじめまして