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タレントプールは今後のスタンダードになる

Twitterにて、タレントプール採用についてまとめようと投稿をして
1カ月が経過しました。

そろそろ投稿しようかと思い筆不精ながら、
労働市場のトレンド~タレントプール採用まで、まとめます。
(時間をかけて文章を推敲できず、少し冗長的ですがお許しください)

まず最初に、簡単に自己紹介をさせて頂きます。

【経歴】
・2018年に大手の総合人材会社に入社。
 IT・Net領域の大手企業様を中心にエージェントとしてご支援。
・2019年よりHRTechスタートアップへ入社。
 ・2019年7月~2021年9月:既存サービスのSales、CSに従事
 ・2021年10月~現在:新規事業の立ち上げ~グロースに従事。
【趣味】
・サウナ
 2019年から、にわかサウナーとして、週1-2回サウナ行ってます。
・運動
 今年2月からジムに通い仕事→ジム→仕事のルーティンにはまってます。

さて、早速本題に入ります。
今回の記事は第2回に分けて投稿します。

●第1回:ファクトで理解する労働・採用市場とタレントプールの重要性
 ①労働市場の潮流と変化
 ②採用を取り巻く環境
 ③エンゲージメントの問題をエンゲージメント施策で解く矛盾

●第2回:タレントプール採用の取り組み方と失敗事例
 ④タレントプールへの取り組みはCX向上そのものである
 ⑤取組を始めるその前に
 ⑥取組を開始するあなたに
 ⑦これをやると確実に失敗します

今回は、「第1回:ファクトで理解する労働・採用市場とタレントプールの重要性」について記載していきます。

①労働市場の潮流と変化

*この章のkey wordは「労働人口の減少」と「デジタル化」

ⅰ労働人口の減少(ご存じの方はスルーください)

ファクトフルネスでも紹介されていた通り、
現在、世界前提では人口が急増しておりますが、
2050年を境に、アフリカ以外の国では、急激に人口が減少します。

医療の進化に伴い、平均寿命は年々向上している一方、
出生数は減少するため、特に大きな課題となるのは「労働人口」の減少です。

日本の人口動態の推移
日本の平均年齢の変化
日本における出生数の推移

ⅱ生産性の向上は必須だが、人は仕事を常に求める

1930年に、経済学者のケインズは、テクノロジーの進歩により
「百年後、一日に3時間働けば十分に生きていける社会がやってくるだろう」と予言していました。

コロナ禍の影響により、世界全体でDXへの取り組みが加速しましたが、
後7年の間に、1日3時間の労働で生きていける未来は中々予想できません。
(*人はお金を稼ぐ手段としてだけではなく、自分と社会との接続を感じる用途としても仕事に価値を感じているようです)

特に日本では、生産性向上の重要度が高い一方で、先進各国と比較し、
デジタルを導入したビジネス推進において、課題は山積しております。

2020年 国際デジタル競争力ランキング

②採用を取り巻く環境

*この章のkey wordは
「転職は増えているという誤解」と「転職潜在層」の拡大

ⅰ事業拡大と経営資源

生産性向上には、経営資源である、
ヒト、モノ、カネ、情報を効率よく使う必要があります。

会社経営を車に例えると、お客様との接地面となる
「プロダクト」「サービス」前輪であり、
お客様に届ける「広報・PR」「マーケティング」後輪となる。

前輪と後輪が上手くかみ合わないと、そもそも前進が出来ない。

また、どんなにいいプロダクト・サービスがあり、
お客様に届いたとしても、ガソリンとなる「お金」がないと
事業は継続できない

事業が継続出来ても、上手くハンドリングする運転手となる
「経営者・社員」がいないと、正しい方向に推進することが出来ない

(メルカリ小泉さんの例えが、秀逸すぎて勝手に引用してます)

ⅱ優秀な人材を確保する重要性

社会の急激な変化、DX化に伴い、
特に優秀な「ヒト」をどのように採用するかが、企業の競争力に与える
影響が非常に大きく
なっています。

実際に、従業員数が約18万人を誇るアルファベット(google)に対して、
従業員数、約370名のopen aiが対等以上に勝負をしている現状を見ると、
「優秀なエンジニア1名は、平凡なエンジニア10,000名を凌駕する」
というビルゲイツの発言は、本質をついているなと感じます。

ⅲ転職は当たり前の時代という誤解

日本でも、ITエンジニアの採用は非常に難しい状況が続いており、
パーソルキャリアdodaのレポートによると、2023年5月のITエンジニアの
有効求人倍率は9.83倍
となっております。
(即戦力に限ると、確実に10倍以上であることが容易に想像できます)

一方で、最近は「転職が当たり前」になっていると聞く事が増えたので、
昔より、転職する人が増えたのではないか?とお客様より質問頂くケースが増えてます。

実態として、どうなっているのかをお答えすると、
少なくてもここ10年間を見ると、ほとんど転職者は増えていない。
が答えになります。

ここで、1つデータをご紹介します。

2010年以降の転職希望者数と転職者数の推移|総務省 労働力調査より

上記、左側のデータは「転職希望者数の推移」。
上記、右側のデータは「転職者数の推移」。

ご覧の通り、
転職希望者数は、2010年の「618万人」から2022年には「968万人」と約1.5倍に増えております。

一方で、転職者数は、2010年の「283万人」から2021年には「290万人」とほぼ横ばいで推移しており、ほとんど増えておりません。

ⅳ最近の若者はすぐ転職するという誤解

また、「若手の早期離職が急増!」というニュースや
最近の若者はすぐに転職する」というニュースも多いですが、
こちらも一つデータを紹介します。

まず、転職サイト「doda」への登録数の推移をみると、
2011年と比較し、2023年には約30倍の方が登録されています。

社会人1年目の転職サイトへの登録数の推移(転職サービス「doda」)

一方で、新卒3年以内の離職数の推移を見てみます。

結論、短大等卒、大学卒共に、
過去30年以上に渡り、転職者数はほとんど横ばいで推移してます。

新規学卒就職者の離職状況を公表します|厚生労働省

「配属ガチャ」「上司ガチャ」「転職は当たり前の時代」等
メディアではキャッチーな言葉が飛び交っておりますが、
実態はまだまだ、雇用の流動性が低い状態です。

Ⅴグローバルは雇用の流動性が高いという漠然としたイメージ

グローバルと比較して、「日本は雇用の流動性が極端に低い。」
そんな声もよく聞きますが、実態はどうでしょうか。

※データブック国際労働比較2018 従業員の勤続年数(2016年)より引用

少し古いですが、上記データを見る限り
「日本」は「欧州」と比較すると「同等水準」であり、
「米国」や「韓国」と比較すると「やや流動性が低い」というのが現状です。

どの国でも、優秀な人は既に面白い仕事や裁量のある仕事についており、
中々転職市場に出て来ません。

異なる点は、海外では年収交渉をする文化が当たり前に根づいている一方で、日本では「サービス残業」という独自の言葉があるように、
「年収を上げたい」と思う一方で「年収交渉」をする文化がほとんどないため、面白い仕事が出来ているなら、年収は犠牲にするという二者択一の議論になりがちな点です。

Ⅵ日本型雇用慣行の特徴を活かした、採用活動と問題点

日本では、日本型雇用慣行により大学(院)生が同じタイミングで
就職活動を開始し、複数の企業と接点を持ちます。

デメリットも多くある一方で、企業にとっては
一定のタイミングで優秀な学生と大量に接点を持てるという
メリットがあります。

問題は、毎年大量にコストと人員を投下し、
リクルーター制度(学生のフォローアップ担当や出身大学とのコネクション創り)まで行っている企業がある一方で、その資産を一切有効活用せず、
掛け捨てにしている現状を当たり前
だと思っている事です。

Ⅶ 日本にはTalent CRMという概念の普及が必須である

米国や欧州では、Talent CRM(Recruiting CRM)という概念が
普及しております。

過去応募され採用に至らなかった候補者、SNSで接点をもった候補者と
継続接点的に接点を取り、求人がopenになった際にアプローチする
(実際にアクセンチュアが活用しているBeameryやIBMが活用しているSmashfly等のCRMツールの活用も一般的になっております。)

私、個人としては下記2点の理由より、
Talent CRM(タレントプール)の活用は日本こそやるべきであると感じています。

1.新卒一括採用により、毎年多くの優秀な学生と必ず接点を持てる
2.転職潜在層が急増しており、継続接点を持つ重要性が増している

自社が求める優秀な人が少ない。
そもそも転職市場にターゲットがいない。
そういった課題は正論だと思います。

ただ、同時に転職市場にいる方だけを刈り取っていては、
その課題は一生解決できず、マーケットに現れるか否かという
確率論に終始してしまいます。

先述の通り、優秀な人は今も面白く、裁量がある仕事に従事してます。
自社で働くメリットを勝手に収集して応募してくることは、ほとんどないです。

一度接点を持った優秀な人材に対しては、
自社から積極的に情報提供をして、口説いていきましょう。

③エンゲージメントの問題をエンゲージメント施策で解く矛盾

*この章でのKey wordは「相対の重要性」

結論から申し上げると、「エンゲージメント」を上げるために、
今所属している企業が、自身の会社内だけで施策を実施しても
ほとんど効果が無いと(個人的に)思っています。

本当に重要なのは、複数の選択肢を意識的に認識し、
その上で、今この環境が最高だから働いているという、
労働者を増やすことが、解決策だと思っています。

具体的な話に入る前に、まずは2023年米国ギャラップ社が「グローバルワークプレイスの現状2023年版」を公表したデータから。

「従業員エンゲージメント」の強い社員は日本は2年連続5%であり、
先進各国最下位であることはもちろん、世界124位であると発表されました。

ⅰエンゲージメントの構成要素について

そもそもエンゲージメントは「衛生要因」と「動機付け要因」に分かれており、それぞれ、エンゲージメントを下げないために必要な要因と、
エンゲージメントを高めるために必要な要因となっております。
(weboxさんの記事がとても分かりやすいです。こちら

エンゲージメントが高い組織と低い組織では、
生産性に大きな違いがあることは、既に学術的に証明もされております。
(詳細はこちら)

「エンゲージメントと企業業績」に関する研究結果を公開|株式会社リンクアンドモチベーション

「エンゲージメントが高い方がよい」というのは
反論の余地が一つもないと思います。

一方で、エンゲージメントが低いという課題を
エンゲージメント施策で解決するというのは、限界がある
と思っています。

現在、エンゲージメントを高めるために施策として
具体的には、下記を実施されている企業が多いと思います。
 ・毎年(毎月)エンゲージメントを測定できるという、サーベイを実施
 ・事業部、職種、役職ごとにエンゲージメントスコアを可視化
 ・エンゲージメントが高い属性と低い属性の差分を分析
 ・高い属性で出来ている事を転用
 ・低い属性の要因を改善するための人事施策を実施

結果として、エンゲージメントは上がっているのでしょうか?

個人的に、答えはNoだと思っています。

ⅱエンゲージメントを上げるために本当に必要だと思っているコト

エンゲージメントは状態を指す言葉ですので、
下記が腹落ち出来ており、コミット出来ている状態が重要です。
・自分の会社、仕事が社会やお客様に与えるポジティブな影響
・自分の仕事の意味や意義
・自分がこの環境にいるコトで成長できるという実感

上記の"状態"は、今いる環境についてだけを考えても
一切解決しない問題
だろうなと思っています。

本質的に解決する方法は、自分には他の選択肢他の機会があるといことを"意識的"に"認識・理解"することだと思っています。

下記、
①のように思いながら現職に取り組んでいる人と、
②のように思いながら現職に取り組んでいる人では、
エンゲージメントに大きな差異があることが容易に想像できます。

【パターン①】
・「自分は他の会社でも求められているが、今の仕事をしている」
・「自分には他の会社でも活躍の機会があるが、今の仕事をしている」

【パターン②】
・「他にやりたい事があるけど、仕方なく今の仕事をしている」
・「そもそも転職なんて、出来ないので、今の仕事をしている」

前章でご紹介しました、Talent CRM(タレントプール)や
最近取り組みが増えているリファラル採用は、日本のエンゲージメントを高めるために、とても有効な手法だと思っています。

転職の意欲に関係なく、就業機会の提案をすることで、
ご友人や候補者の自己効力感があがり、自分には他の選択肢がある
という事を認識して頂けます。

・あなたのここが優秀だと思うからよかったら、当社に来てみない?
・あなたのここが優秀だと思うから、次のキャリア考えていたら
 一度話を聞きに来てほしい

別の選択肢が提示された時、人は今の環境と新しい環境を比較し、
どちらが、自分にとって良い環境か考えます。

相対的に選択肢がある中で、今の環境を選ぶときに、
改めてなんで今の環境を選んだのか考えるきっかけになり、
それが、内省機会に繋がります。

内省した上で、今の環境を選ぶ方が増えた時、
現職にコミットする人が増えるのではないかと思っています。

真の意味の”自立”とは、”社会に依存先を増やすこと”である。と
東大の熊谷先生がおっしゃってますが、まさにその通りだと思います。

自立もコミットメントもエンゲージメントも、
全ては相対的であるという事を理解することから始まります。

大分長くなりましたが、第一回は以上にします。
ご覧いただいた方、ありがとうございます。

次回は具体的な運用方法と失敗事例についてお話します。

当社代表の著書に興味ある方は、是非下記からもご覧ください。


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