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七月の自詠漢詩まとめ(古風一首、近體五首)

こんにちは、康寧堂です。7月も最後の日になり、
もうすぐ8月ですね。そこで今日は7月に書き溜めた自詠漢詩のまとめです。
ごゆっくりご覧ください。



七言絶句 偶成

炎暑一収残日涼
路辺風到樹蒼蒼
鳴禽不見天由遠 
今識明珠葛始香

炎暑一たび収まりて残日涼し、路辺風到つて樹蒼蒼。 鳴禽見えず天由ほ遠し、今明珠を識れば、葛始めて香る。

「炎暑も一時止んで夕日が涼しい、 風の吹く路端に木は青々としげる。鳥はないているが姿は見えない、 でも、今大切なことに気づいたからか、クズの花が香ってくる。」




五言古詩 放言詩

積學二十年、讀書又讀書。練藝二十年、苦荼又苦荼。
無知而心傲、井蛙以高志。方語與惠連、吾業是何事。
徒誦李杜詩、濫談王蘇論。嗚呼有何益、誰知我思仁。
無學二十年、讀書已古色。練藝二十年、筆墨已有息。
匪莪正芄蘭、半通半不通。萬里乃宜尋、萬卷是何空。
以書為無用、卷篇陳如獺。以筆為無益、吾只有一筆。
一筆以安世、宜笑獺祭魚。天分不易不、人生不足虞。
人乃各有分、不可不承受。大業又鴻志、未嘗上人口。

學を積む二十年、讀書又た讀書。藝を練る二十年、苦荼又た苦荼。
無知にして心傲り、井蛙にして以て志を高くす。
方に惠連と語るに、吾が業是れ何事ぞ。
徒らに李杜の詩を誦し、濫に王蘇の論を談る。
嗚呼、何の益有らん、誰れか知る我が仁を思ふを。
無學の二十年、讀書已に古色たり。藝を練る二十年、筆墨已に息むこと有らん。
莪に匪ず正に芄蘭、半ばは通じ半は通ぜず。
萬里は乃ち宜しく尋ぬるべく、萬卷是れ何ぞ空しからん。
書を以て無用と為すも、卷篇、陳ねること獺の如し。
筆を以て無益と為すも、吾れ只だ一筆を有つのみ。
一筆以て世を安んじ、宜く獺の魚を祭るを笑ふべし。
天分易らざるや不や、人生虞るるに足らず。
人乃ち各分有り、承受せざる可からず。大業又た鴻志、未だ嘗て人口に上らず。

「二十年も学を積んできた、読書また読書。 二十年も芸術をやってきた、苦難また苦難。 私は物知らずなのに傲慢で、私は井の中の蛙なのに志ばかり大きい。 優秀な若者と語れば自分を恥じ、徒に古い詩を口ずさむが何の役にもたたない。 でもそれは無益なのだろうか?だれが私の心を知れよう? 私の二十年は無学無知。読書の文化はすでに古く、 芸術も終わる時が来るのだろうか?私はいい子供ではなかった、今はただ奢った男にすぎない。 私は半端者だ。でもだからこそ、万里の道をゆき、万巻の書をよまねばならない、 本は無駄か、筆は無用か?いいや、私には筆が一本ある。一本の筆は世を安らかにできる。 本に埋もれているのを笑うなら笑えばいいさ!天分はつっかえせないのか? どちらにせよ、きにするな!人にはそれぞれ天性天分がある。それは承らないわけにはいかない、 そして、大業や大志は表立って話題に上るものではないのだ。」



七言絶句 深更獨吟

沈沈夜色莫涼風、一筆一篇情不終。
再欲成詩心漫漫、疎燈吟誦玉杯空。

沈沈たる夜色涼風莫く、一筆一篇情終らず。
再び詩を成さむと欲すれども心漫漫、疎燈吟誦すれば玉杯空し。

「夜が更けてゆくとき涼風なく、一筆一筆、心は尽きない。 もう一度詩を作ろうとしても、こころは取り留めなく、ぼんやりした灯りの下で 詩を吟ずればコップは空になってしまった。」


五言絶句 夏晩


夕陰無雨氣、夏晩北風涼。
坐立蓬廬下、草蟲悲不傷。

夕陰雨氣無く、夏晩北風涼し。坐に立つ蓬廬の下、草蟲悲みて傷らず。

「夕曇りに雨の兆しなく、夏の夕べは北風が涼しい。家の前に佇んでいると、虫の声が悲しいが感傷的ではない。 」


七言絶句 題薔薇圖

蟬聲侵得憩、萬物稍悠然。
暮艶紅花色、如沾半月天。

蟬聲、侵く憩ふを得て、萬物、稍く悠然たり。
暮れて艶かなり紅花の色、沾ふが如し半月の天。

「蝉の声も安らうを得て、万物はみな悠然につく。日が暮れてかえってあでやかなバラの色や、潤うような半月のそらよ。」

五言絶句 炎景放吟

紫薇紅似火、落果黑如焦。
炎暑何其患、良涼於叫囂。

紫薇、紅きこと火に似て、落果、黑きこと焦げたるが如し。
炎暑、何ぞ其れ患はん、良に叫囂するよりは涼しからん。

「百日紅の花が燃えるように赤く、地に落ちた果実は焦げるように黒い 。しかしこの炎暑にどうして患おうか? 人がわめきちらすよりは涼しいのだから。」


最後までお読みいただき、有難うございます!

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それではまた、康寧堂でした〜


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