【ネタバレ注意】天気の子の結末の是非を考える
新海誠監督の新作「天気の子」
「君の名は」で上がりに上がったハードルを軽く超えた傑作として人気を博しています。
僕も見て非常に感動しました。
今回はその中で結末について少し考察をしていきたいと思います。
完全ネタバレなので必ず視聴後にご覧ください。
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陽菜を連れ戻したことで東京は沈没した
物語の結末は結果だけ見ると完全なバッドエンディングです。
築き上げた文明は崩壊し、水害によって多くの人も亡くなったことでしょう。
日本の中心機能が死んだので、経済の影響も計り知れないと思います。
アニメなのに救いは無いの?いくらなんでもあんまりじゃない?
しかし、もちろん救済策はありました。しかし、主人公がそれをぶっ壊したわけです。
それは陽菜を連れ戻したせい。人柱として一時は雨をやませることができました。
しかし、帆高が連れ戻したことで効果は切れ、東京を飲み込むまで雨が降ったのです。
物語はそこで終わり。東京は水没したままでした。
陽菜VSその他大勢
結局、本作で言いたい事はここなんですよね。
大切な人かその他大勢のどちらを犠牲にしますか?
もちろん答えなんかあるわけないのですが、出さなくてはいけません。
ご都合作品ならどちらも選ぶとか言い出すのですが、そこは新海誠監督。なかなか攻めましたね。
ハンターハンターでも似た問答がありました。まあ、妻or母なので微妙に違いますが。
あちらは「答えは沈黙」で濁しました、その答えを強要された形になります。
FateZeroという作品に登場する衛宮切嗣ならば、迷わず陽菜を犠牲にします。
大勢を救えることを是とする彼なら当然の決断です。
しかし、帆高は陽菜を選びました。そのために雨が降り続けても良いと断言しました。彼に迷いはなかったのです。
1人の少女に背負わせて良いものではない
作中で圭介は「人柱で救われるなら安いものだ。誰もが望む」といった発言をしました。
確かに無関係の人達からすれば当たり前の考えです。
しかし、その後、圭介は葛藤を続け廃ビルで帆高の前に立ちふさがります。
そして、最後は自分の姿を重ね、帆高を助けたのでした。
ある意味で圭介が陽菜を犠牲にするルートの代表だったと言えるでしょう。
関係のない人間ならどうだっていい。しかし、その人を大切に想っている人は絶対にそうは思わない。
妻を亡くした圭介は恋人(仮)を亡くしてしまう帆高に自分を重ねました。
1人の少女に背負わせて良いものではない。彼女を犠牲にしないと東京が滅ぶとして、それが運命なのだろう。
物語の最後に圭介は「うぬぼれるな。お前たちの力で東京がこんなになるわけがない」と元気づけます。
君の名はとの繋がり
にくい演出なのですが、本作では「君の名は」の瀧と三葉がゲスト出演します。
物語に深くは関わりませんが、彼らも前作で大きな決断をしました。
とはいえ、あちらは三葉と町民どちらも同じ天秤に乗っていました。
そういう意味で選択の余地は無かったと言えるでしょう。
その代わりに瀧の祖母のセリフが帆高を勇気づけました。
「確かに悲しいけど、東京のほとんどはもともと海だった。ならば、元に戻っただけなのだろう」
人と天気の仕業で東京は繁栄した。ならば、その逆も当然受け入れるべきなのだろう。
本作は誰も悪くありません。ある意味で自然の摂理です。
そこに陽菜という生贄による回避策が生まれたからややこしくなった。
そう考えると、本作の結末はある意味当然の結果と言えるのでしょうね。
あなたはどうしますか?
これは映画を観た人への新海誠監督からの問いかけでもあると思います。
帆高は大切な人を守って、大勢を犠牲にした。
あなたはそれを責めますか?それとも同じように大切な人を優先しますか?
答えなんてありません。でも、考えなくてはならない。
そんな監督の問いかけに僕たちは考えていくべきなのかもしれません。
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