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【試し読み1】中学校でつまづいたこと(『うつには祖母がよく効きます』より)

こちらのエッセイは、こうの みさと著『うつには祖母がよく効きます』に収録されています。

中学校でつまづいたこと


 私が中学生になる頃には、祖母はアパートを借りて一人で住むようになり、再び母と娘3人の生活になります。

 小学校では比較的勉強ができた私は、中学校に入学してからも、優等生な自分じゃないとがんばる意味が見出せませんでした。

 でも、中学校では、求められる基準が思いのほか高かった。だんだんと対応できなくなっていきます。

 当時、特に思い悩んでいたのは、
・勉強
・部活
・友だち関係
・先生との信頼関係
の4つ。これらは歯車のように結びついていて、ひとつが上手くいかなくなると、途端に全部上手くいかなくなってしまいます。

 勉強は、授業の進度がぐんと速くなったうえに、教科の幅が広がりました。「予習、復習しなさい」とだけ説明されても、塾に行っていなかった私は何から手をつけたらいいのかわかりません。小学校の頃は宿題だけやっておけばクラスで2番目くらいの成績をキープできましたが、中学生になると成績はどんどん追い越されていきました。

 部活は全員入部というルールがありました。当時からイラストや漫画が好きでしたが、田舎の中学校なのでそもそも部活の数が少なく、文化系の部活は吹奏楽部のみ。音符も読めないのに選んだ吹奏楽部は、のんびりした雰囲気に惹かれて入部したものの、顧問が産休に入り、交代したことをきっかけにスパルタ化。選抜オーディションに落選し、自信を喪失していきました。

 友人関係は、小学校が一学年一クラスの小さな学校だったのに比べ、中学校は生徒数が急に増え、自分のポジションがよくわからなくなりました。信頼できる先生も見つからないまま、どんどん心を閉ざしていきました。
 次第に自分には存在価値がない、と感じるようになっていき、だんだんと朝起きられなくなっていきます。

 もともと朝に弱く、小学生の頃から遅刻の絶えなかった私。
 中学生になると学校までの距離が遠くなり、より早起きが求められるようになります。やっとの思いで登校するものの遅刻ギリギリ。

 朝すませておくべき係の仕事をやっておらず、担任に叱られ、また行くのがつらくなる、という負のループでした(いやぁツライ……)。

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『うつには祖母がよく効きます』

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