【煩悩ピンポン】 5/03~5/09
■第70打~sideH
《70/108:無色界集締貪(むしきかいじったいとん)=魂からの激しい欲望》
マダムM、これとそれは似て非なるものだ。退屈をなくすために何かするのは子どもじゃない。子どもはそもそも退屈を知らない。楽しいを次々に見つけてしまうからだ。
大人は退屈を退治しようとする、それは哀しい作業だ。僕が子どもになる瞬間と言ったのは楽しいことを見つけちゃって、もう飛び込まずにはいられないという感覚なんだ。僕の言う生きてる!っていうのは、その感覚を泳ぎ切ることなんだ。
■第71打~sideM
《71/108:無色界集締癡 (むしきかいじったいち)=愚かな行為》
そう言われてみるとわたしも子どもの頃はいつも楽しかった気がする。自由にお庭を駆け回ったり、でたらめにピアノを弾いたり、大人たちに悪戯を仕掛けたり、退屈してる暇なんてなかった。
えっ嘘でしょ、いつからこんなに人生はつまらなくなっちゃったの?こうすれば絶対幸せになれるって言われてそのとおりにしてきたのに、気がついたらがんじがらめ。わたし、今ちっとも幸せじゃない!ねえ、これってどういうこと?ミスターH。
■第72打~sideH
《72/108:無色界集締慢 (むしきかいじったいまん)=慢心》
つまらないなら何かを捨てればいいんじゃないかな、マダムM。あなたの手紙を読んでいるとパーティだの夫婦関係だので忙しそうだ。しばらく海辺でも森でも散歩するといい、一人で。
僕はよく人から天才と言われるが、一人で考える時間があるから、その後で飽きること無く働ける。あなたも一人の時間を持ってみたらどうかな?飽きること無くなにかに夢中になれるかも知れないよ。まあ僕のように天才と言われることは期待しないほうがいいと思うがね。
■第73打~sideM
《73/108:無色界集締疑(むしきかいじったいぎ)=真理を疑う》
一人で?海辺や森に一人で行けっていうの?意味わかんない。そんな鏡のない世界でおしゃれするようなこと。あのね、言っておくけど、わたしみたいなセレブは楽しむことも仕事なの。
そんなわたしを見てみんなも楽しむ、ウインウインな関係ってわけ。それに考えるって何を?考えるより先にやりたいことをやる。それがわたしのやり方。忙しければ退屈しないし。ただ、最近やけに疲れる気もするのよね…
■第74打~sideH
《74/108:無色界集締邪見(むしきかいじったいじゃけん)=自分の行いが自分に帰ってくることを信じない》
一人の時間には興味なしか。しかしWin-Winならどうして疲れるんだ?あなたがしたことを、実は相手はそれほど喜んでいないとか…
な僕はWin-Winなんて意味がわからない。僕の成功は相手の失敗だから、互いに勝つなんてありえない。これでいいんだ。だって僕に相手が仕返しするなんて不可能だからね。どっちも勝つなんて考えないで、あなたが勝つことだけ考えたら疲れも減るんじゃないか?たが勝つことだけ考えたら疲れも減るんじゃないか?
■第75打~sideM
《75/108:無色界集締見取見(むしきかいじったいけんしゅけん)=自分は正しいが皆が間違っている》
もう、男の人ってどうしてすぐ勝ち負けの問題に持ち込むわけ?win-winっていうのはそういう意味じゃないの。お互いどっちもいい気分になるってこと。
でもそうね、わたしのことを嫌いなアンチの連中をわたしのファンにできたら、ある意味勝ったって言えるかも。まああんまり興味ないけど。だって、わたしの大事な時間をアンチのために使うなんてもったいないと思わない?
■第76打~sideH
《76/108:無色界滅締貪(むしきかいめったいとん)=無意識に生まれる欲求》
自分を嫌っている人間のために、自分の時間を使うなんてもったいない…という考えは確かにあるね、マダムM。まあ僕みたいな特殊稼業だと、嫌っている人間のために時間を使うことで稼いでいたりするわけだけど。いずれにしろ僕は嫌いなやつに勝ちたいし、親しい人間にも勝ちたい。男だけなのか?自分の能力のほうが高いと証明したいこの生まれながらの勝負欲求は?!
取材、執筆のためにつかわせていただきます。