◎第６打～sideH 《6/108：苦締有身見（くたいうけんしん）＝身体への執着》
金も夫もあるが心が退屈、か。だから遊びに邁進して心を満たそうとしているんだな、マダムM。
あなたは若く美しいのだろう。こんなに綺麗なあたしが退屈ってどういうこと？！と…
鏡を見るたびに思うんだろうね。僕と似ている…と言ったら怒るかな（僕は人を怒らせるのが得意なんだ）。
僕も鏡を見るたびに、こんなキレのいい頭脳を退屈させるなんてどういうことだ？と本気で思う。
退屈って身体に悪いんだ、本当に。

◎第７打～sideM《7/108：苦締辺執見（くたいへんじっけん）＝極端な思考》
ミスターH、あなたってすごーい！なんでわたしが若くて美しいってわかったの!?　
わたしが世界的愛されガールだって会った人はもちろん知ってるけど、会ったこともないのに！
あっ、わたしもわかった！ミスターH、あなたの正体はズバリ……
占い師！　ね？ね？当たったでしょ？わたし、お勉強は嫌いだけどカンはいいんだから。
でもそのカンで思うの。わたしの人生このままじゃヤバくない？逃げるなら今のうちじゃない？って。

◎第8打～sideH 《8/108：苦締邪見（くたいじゃけん）＝因果応報を知らない》
マダムM、あなたのカンはすばらしい！僕は占い師と真逆の職業についているんだ。
というわけであなたのカンは全くあてにならない。
ではなぜ、あなたは逃げたほうがいいかも、と思うのか。
それはカンじゃない。すでにやばいこと、してるんじゃないのか？だったら逃げ道がある内に逃げろ。
悪いことをしたら神のバツが下るなんて嘘だ。逃げるか、逃げないかだ。
まあ、僕に追われたら逃げ切れないと思ったほうがいいけどね。

◎第９打～sideM《9/108：苦締見取見（くたいけんしゅけん）＝間違いを正しいと思い込む》
え〜占い師じゃないの？絶対そうだと思ったのに。人のこと勝手にアレコレ決めつけるし。
で、なに？誰かを追いかけるのが仕事？やっだー、それってまるで猟犬じゃない、ウケる〜！
ところでわたし悪いことなんてしてないんだけど、失礼しちゃう。ヤバいのはわたしじゃなくて周りのみんな！　
神様がバチを当てるならわたし以外、ていうかわたしの邪魔をする人たちに決まってるでしょ。

◎第10打～sideH 《10/108：苦締戒禁取見（くたいかいごんしゅけん）＝誤った考えを信じ込む》
僕は周りの人間たちに「おまえは変わっている」と言われ続けてきた。認めよう、僕は普通じゃない。
普通になってみたことがなからわからないが普通の人間になりたいとは思わないね。
観察力、調査分析能力が欠損した人生なんてゾッとする。
だからマダムM、あなたが自分はおかしくない、間違っているのは周りの人間たちだと思うなら
（それが正しいか間違っているかはどうでもいい）それがあなただ。

◎第11打～sideM《11/108：集締貪（じったいとん））＝欲望》
わたしはわたし？当たり前じゃない。ホントあなたって変な人。
でもそうね、わたしは間違ってないからこれからもやりたいことやっちゃう。
まず美味しいもの食べてー、素敵なドレスたくさん着てー、それから…それから…
えーと、そうそう、イケてるメンズとダンスしてー、それから…それから…
あれ？他にわたしのやりたいことって何だっけ？
やだ、絶対もっとあるはずでしょ!?だってわたしはもっと楽しみたいんだから！もっともっともーっと‼︎　

◎第12打〜sideH 《12/108:集締瞋（じったいしん）＝憎しみ》
ある男がひとりの女を愛した。
だがその女は他の男を愛していると知った男は、女の愛を得た男を憎んで…ひどい事件になったことがある。
愛されない哀しみは、簡単に憎しみに切り替わる。
さてマダムM、あなたは「欲しい」が満たされなかった時、満たしてくれなかった誰かを憎むか？
僕にはあなたが誰かを憎むようには思えないんだ。
満たされずに憎しみを抱く人と、そうならない人は何が違うのか…

◎第13打～sideM《13/108：集締癡（じったいち）＝悪行を行う》
誰かを憎いと思うか？答えはもちろんノン！だって、わたしが欲しいと言えば何だって手に入るもの。
憎む必要がないの。でも…そうそう、一度だけ欲しくても諦めたことがあったっけ。
すっごく映えるダイヤのネックレス、気に入ってたんだけどめちゃくちゃ高いしやめとこって。
そしたらなんと、それって大掛かりな詐欺だったの！ほらやっぱりわたしってカンと運がいいでしょ？
でも誰かを騙す人は誰かを憎んでるのかしら。少し怖いかも。

◎第14打～sideH 《14/108：集締慢（じったいまん）＝他人に誇りたがる》
欲しいものが手に入る立場なら、憎まれ妬まれるだろう。
僕も他人の罪を暴く仕事をしているから、憎まれ、才能を妬まれもする。
でも自分の才能や立場を誇って何かいけないことがあるか？
ない。
全くと言ってないんだ。誇れる才があるならそれを使って世のために使えばいい。
それで憎むやつがいるなら憎めばいい。