第15打～sideM《15/108：集締疑（じったいぎ）＝真実を疑う》

ミスターH、あなたって超自信家なのね！自分に才能があるって言い切るなんて。わたしはいろいろ恵まれてるけど、生まれ持っての才能なんてない気がする。でも強いて言うなら… 愛される才能？でもそれも自信がなくなってきた…わたしに寄ってくる人たちは皆お金や権力目当てなんじゃないかって最近思うの。こんなに不安なのは、わたしが若くなくなったから？それともこれが本当のことだから？

第16打～sideH 《16/108：集締邪見（じったいじゃけん ）＝果報は無いと思う》
周りから愛されるのが不安なのは、マダムM。あなたが言うように、あなたの地位を利用しようという損得勘定の偽装愛だからかもしれないね。しかし本物の愛も無いとは言えない。他人の言葉の真偽を見抜くには、僕くらいの観察力が無ければ難しいだろう。が、あなたは神を信じていないだけ冷静だ。前世の善行のおかげで今は幸せな身分だなんて神の教えを信じてたら、あなたは不安なんてならない。僕も同感だ。前世の報いなんてくだらない。

第17打～sideM《17/108：集締見取見（じったいけんしゅけん）＝自分が最も優れている》
ちょっと何言ってるの、神様はいるに決まってるでしょ！わたしは神に愛されてるからこんなに可愛いんだけど何か？　ミスターH、あなたこそ自分が神だとでも思ってるんじゃない？僕はなんでもお見通しなんだぜ〜って感じがめっちゃ鼻につくんですけど〜。だいたい、あなたはいつも偉そうに愛がどうのこうの語ってるけど、ちゃんと愛し愛されたことがあるわけ？そこんとこどうなのよ？

第18打～sideH 《18/108：滅締貪（めったいとん）＝激しい欲求》

僕は愛にまつわる様々な事件に関わってきたから、愛について相対的に分析できる。だから愛について語れるんだ。マダムM、愛される経験の有無と、愛について語ることの関連性はない。ただ… 聞かれたことはあるよ。女性に興味がないのかと。どうしてひとは、女性にと限定して尋ねるんだろうね。愛の対象は色々あるだろうに。愛に関する欲求は、仕事の役にたたない。愛しいとか愛されることが激しいほど邪魔になる。そうは思わないか？

第19打～sideM《19/108：滅締瞋（めったいしん）＝いら立ち》

愛が仕事の邪魔？そんなこと思いつきもしなかった。わたしは愛のない人生なんて生きる意味がないと思ってるし。でもあなたは仕事の方が大事なわけね。まるでわたしの夫みたい。夫も、何かっていうと仕事仕事って…ううんそれならまだいいけど、あのひとの一番大事なことってホントは趣味なの！わたしより仕事より趣味を優先するってあり得なくない？あーだんだんムカムカして来た！そういえばミスターH、いったいあなたのお仕事って何なの？いい加減白状したら？

第20打～sideH 《20/108：滅締癡（めったいち）＝無知による行い》

世の中には、女性を愛するより人殺しが好きな男がいるし、女性よりも金が好きな男は割と多い。僕は結婚をしていないけど、夫が趣味に没頭して不都合なことがあるのかな？夫と妻が見つめ合っている関係よりお互い好きなことをしていたほうが平和だ。マダムM、あなたが白状しろと言うから教えるが、僕は平和が壊れた挙げ句の果てを調査したりしてるんだ。助言するさたら、相手を憎む前に離婚すれば事件にならずにすむ。

第21打～sideM《21/108：滅締慢（めったいまん）＝傲慢》

はあ？不都合なんてありまくりに決まってるでしょ！この可愛すぎるわたしと結婚できたっていうのに、趣味や仕事に夢中だなんて許されるとでも？夫なら一分一秒すべてわたしに意識を向けるべきなの。例えわたしがあのひとを見ていなくてもあのひとはわたしを見てなくちゃ。わたしを妻にするっていうのはそういうことよ。それこそ平和を壊さないためにね。ミスターH、あなたと奥様はそれぞれよそを向いてるってわけ？それって幸せ？