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【煩悩ピンポン】2020/03/15~03/21

◎第22打~sideH 《22/108:滅締疑(めったいぎ)=正しいことが信じられない》

妻はいない。必要性も感じない。仮に妻がいたら、僕ではなく僕が見ているものを一緒に見て観察して欲しい。それができないなら邪魔にならないように趣味に没頭していて欲しい。マダムM、そもそも可愛いからと言って、どうして夫君があなたを見ていなければならないんだ?『可愛い』が真実ならば、観察して確かめる必要はないじゃないか。観察、分析以外に「みつめる」必要があるのかな?

◎第23打~sideM《23/108:滅締邪見(めったいじゃけん)=因果関係を認めない》

ちょっとなにいってるかわかんないんだけど。可愛いものをどうして見なくてはいけないか?可愛いからよ!逆になんで可愛いものを見たくないわけ?ミスターH、あなた大丈夫?仕事のしすぎじゃない?まあ事件とやらのことばかり考えてたらそりゃ頭がおかしくもなるわよね。お気の毒に。そういう時こそ可愛いもので癒されないと!そうだ、手始めにお部屋をピンクにしてみるのはどう?

第24打~sideH 《24/108:滅締見取見(めったいけんしゅけん)=誤った見解を信じ込む》

残念なことに僕は仕事のし過ぎで頭はおかしくならない。仕事をしていないと頭がおかしくなってヴァイオリンを狂ったように弾いてしまう。同居人はさぞかし迷惑だろうね。退屈ほど人を狂わせるものはないと僕は思ってる。思うにマダムM、ひとは退屈から間違いを犯す。自分を退屈させないことがまともな大人の大切な資質なんじゃないかな。

第25打~sideM《25/108:道締貪 (どうたいとん)=何かを求める心》

退屈、そう前にも言ったけどわたしは退屈で死にそうなの。自分を退屈させない?そんなの無理じゃない?でもあなたはヴァイオリンを弾けば退屈が紛れるの?わたしもずっと昔ピアノを習ってたんだけど…そうそう、年下のこまっしゃくれた男の子がめちゃくちゃ上手で、その時はムカつくより感動しちゃった。あの子ったらわたしに一目惚れしてプロポーズまでしてきたの。あの頃は楽しかった〜!またあの子のピアノが聴きたくなっちゃった…。

第26打~sideH 《26/108:道締瞋(どうたいしん)=怒りで心が安定しない》

マダムM、僕が思うに「こんなはずじゃなかった、あの頃は良かった」という後悔は、後悔の中で最も無意味だ。ぬるま湯につかりながら『こんなぬるいお湯に入るつもりなかったのに、ぬるくてムカつく〜』と言っているようなものだ。そう、ぬるさがいけないんだ!どうして最近ぬるい事件しか来ないんだ!犯罪者は頭を使うのをやめたのか⁈僕は難題に取り組まないとヴァイオリンを叩き壊したくなるんだ!

第27打~sideM《27/108:道締癡(どうたいち))=愚かな行為》

あら、ぬるま湯は美容にいいのよ。知らないの?それより、あなたってけっこう野蛮なところがあるのね、ミスターH。いつも理屈っぽいことばっかり言ってるのに。ヴァイオリンを叩き壊すとか怒鳴り散らすとか、何かに八つ当たりしたがる人こそ無意味で愚かだと思うけど。そうね、あなたのマネをして例えてみるなら、熱湯を他人に向けて振りまくようなものじゃない?

第28打~sideH 《28/108:道締慢(どうたいまん)=自慢したがる》

そうだねマダムM、確かに八つ当たりは野蛮だ。しかし僕は、楽器を叩き壊したくはなるが叩き壊しはしない。なぜなら僕には理性があるからだ。退屈でモノに当たり散らしたくなる気持ちは湧き上がっても実行はしない。実行したら僕は、今僕が追いかけている側の人間になってしまう。僕は犯罪者になったら一国を叩き壊き壊すくらいの能力があると思うけど、実行はしない。それが僕にとっての理性だ

取材、執筆のためにつかわせていただきます。