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【煩悩ピンポン】5/17~5/23

■第84打~sideH《84/108:無色界道締慢(むしきかいどうたいまん)=悪意》

確かに、持っているほど失うことは恐ろしいだろうね、マダムM。

ここで一つ、あなたが警戒すべきひとをお教えしよう。それは暇そうに見える人間だ。恐いことをする人ってどんな人だと思う?

僕は実に色とりどりの悪事を見てきたけれど、悪意の理由(動機)がはっきりしている人はそれほど怖くないんだ。

本当に怖いのは、面白半分に人を傷つける人間だ。恨みもないのに、暇だから隣家に火を付けるようなヒトだ。そんなの怖すぎるだろ?


■第85打~sideM《85/108:無色界道締疑(むしきかいどうたいぎ)=疑心》

面白半分で酷いことする?ホントにそんな人たちがいるの?ちょっと何言ってるかわかんないんだけど。いくら暇だからって、他に楽しいことなんていくらでもあるのになんで?意味わかんない。

そりゃわたしだって退屈な時はあるけど、誰かに嫌がらせしようなんて思ったことないし。でもそれは、わたしが『持ってる』人間だからなの?『持ってない』人たちはそうじゃないってこと?それ、怖すぎ!


■第86打~sideH《86/108:無色界道締邪見(むしきかいどうたいじゃけん)=所行が自分に帰ってくると知らない》

嫌がらせをして楽しむって珍しいことじゃないんだ。マダムM、あなたが言うようにほかに娯楽を持てない人にとってはね。才能や仕事があれば

自分がしたことの結果を手にすることができる。賞賛とかね。でも無い人は、嫌がらせをして、相手が嫌がるという結果を手にするしかない。それは仕事で結果を出すより簡単だ。だからまたやりたくなる…悪魔の誘惑ってやつの正体がコレじゃないかと僕は思うんだ。


■第87打~sideM《87/108:無色界道締戒見取見(むしきかいどうたいけんしゅけん)=間違いに執着する》

ああなるほど、がんばるより簡単だからってことね!確かにがんばるのって大変だし疲れるし、がんばっても思ったほど人が褒めてくれないのもよくあることだものね。

まあわたしはがんばらなくても可愛がられちゃう方だったからどっちでもいいんだけど。どお~しても褒められたい、褒められないと死ぬ!みたいなタイプの人がたまにいるけど、悪魔の誘惑に乗っちゃうのってああいう人たちなんでしょうね。


■第88打~sideH《88/108:無色界道締戒禁取見 (むしきかいだうたいかいごんしゅけん) =妄信》

最近、複雑な事件を扱ったんだ。マダムMのようなセレブな身分のひとがかかわる事件でね。僕のことだからもちろん完璧な仕事をしたつもりだった。でも知人から

「今回はゆるい終わり方だったね。」と言われてね。僕は仕事には、完璧と失敗しかないと信じてるんだ。

今回は依頼人が悪党で、犯人は被害者だった。だから犯人を見逃したけど、完璧な選択だと思わないか?他人から完璧じゃないって言われるのって、気分悪いよね。


■第89打~sideM《89/108:修惑欲界貪(しゅわくよくかいとん)=生来の欲求》

完璧ってどういうこと?間違いや欠点がないってこと?それなら完璧ってつまらないと思うんだけど。ミスターH、あなたは完璧でいたいのね。わたしはぜんぜん完璧になりたいとは思わない。

だって、完璧ってそうじゃない何かと比べるってことでしょ?夫にとっての完璧な妻、親にとっての完璧な子供…そんなの絶対わたしは無理!それより自由でいたい。間違っていても欠点だらけでも愛してくれる人がいればいい。


■第90打~sideH《90/108:修惑欲界瞋 (しゅわくよくかいしん)=生来持っている怒り》

愛してくれる人がいればいいって、謙虚そうに言ってくれるね、マダムM。でも僕に言わせてもらえば、愛してくれる人がいるってものすごく恵まれていることだと思うんだ。

愛してくれるひとがいればいいのは確かだよ。でも誰からも愛されてない人間は、何かで完璧を目指すしか無いんだ!誰からか愛される自信なんて持てない人間は、そうすることでしか進んでいけないんだ!


取材、執筆のためにつかわせていただきます。