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『言バトン No.697 ひとつの考え方』 by HANZAWA on 8月 2, 2018 • 22:36

やむにやまれず規則正しい生活をしている。


6時に起きて(こどもに起こされて)、

7時前に近所の公園に散歩に行き(こどもに連れて行かれ)、

7:30には朝食。

8時をすぎたところで洗濯機を稼働させる。

など、朝から就寝まで、

こどもの生活パターンを崩さないように、

毎日ほぼ同じようなタイムスケジュールで生活している。


自分は規則正しい生活なんて嫌いだった。

毎日をその日の気持ちの赴くままに過ごすのが好きだったし、

規則正しい生活のできる仕事も選ばなかった。

早く起きるのも、遅く寝るのも自分で決めたかった。

だからこどもの都合で規則正しい毎日というものを送っていると、

なんだか『他人の人生』という服を着せられているような気分になったりする。


「イマヌエル・カントは、貧乏な家に生まれて、

学費稼ぎに賭けトランプと賭けビリヤードをしていた。

のちにカントは、分刻みで規則正しい生活をするようになる。

きっと時間なんて関係なく稼がなければならなかった彼にとって、

規則正しい生活ができる環境は、贅沢なものだったと思う。」

…というようなことを村上春樹がインタビューの中で言っていた。

(考える人 2010年夏号)


規則正しい生活が贅沢。

そんなふうに考えたことは一度もなかった。

でも他人の都合で矯正されるのではなくて、

自分の決め事として規則正しく生きるのはたしかに贅沢なことだ。

誰にも邪魔されないタイムスケジュール。

こどもが手を離れたらよふかしするぞ、なんて思っていたけれど、

この生活を贅沢なものと受け止めればそれは、

それなりに豊かな気持ちになれたりもする。

次は、ひとつの考え方の「た」

取材、執筆のためにつかわせていただきます。