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デンマークの王位継承がベンチャー企業みたいで推せる

デンマーク王国の王は、女王マルグレーテ2世になって、2024年1月14日で52年になる。前国王だったお父さんが亡くなった31歳で即位。その1972年から今まで、52年間。

イギリスの女王エリザベス2世が亡くなってからは、ヨーロッパ唯一の女王でかつ、在位が最長。美しく、才能が顔ににじみ出ていて、国民に愛されている。ソース:わたしの周りの友達。

大晦日、毎年恒例の演説が18時からある。DRという日本のNHKみたいな国営放送が放送している。多分、天皇の新年祝賀の儀みたいなもの。

その日は友達夫婦を尋ねていて、テイクアウトのフレンチを17時からチビチビ食べていた。

「デンマークの伝統的な大晦日は、王女のスピーチを見るんだよ。国民の9割は見ている。でもわたしたちはこの美味しいフレンチで忙しいから見ない。

内容は、毎年の訪れた場所への温かい迎え入れをありがとう、とか、世界情勢に対して王女が思うこと。王女の考えを聞けることめったにないから、すごくいい機会なんだ。」

ふむふむ。わかるなぁ、わたしも天皇のお言葉(勅語)好きだもん。見なくていいの?と思いつつ、フォアグラを食べた。

お皿にこだわってくれた友達に感謝

そもそもデンマークは、デンマーク王国。厳密には違うけれど、日本の天皇のように政治上の権限は持っていない(建前上は持っている)。

つまり政治に関わる議会と、国王が別。これをすごく誇りに思っているデンマーク人が多い印象。なぜかというと、王国制度と引き合いに出される大統領制度に原因がありそう。大統領の思いつく国と比べたら、、、って話で、なんとなくわかる気がする。

ちなみに世界最古の王室は日本らしい。実在していたかが微妙な神武天皇などの1,000年ちょっとを差し引いても、ギネスに登録されている。現存する最古の国とも言えるらしい。誇らしいね。

(誇らしいのは王室であり、政権ではない。特に今の政権に関して、言いたいことを書こうとすると史上最強に口が悪くなりそうなので控えます)(ただ、菅さんに戻ってほしい)(言ってる)

そう、それでね。テイクアウトのフレンチコースなので、自分たちで次のお皿のタイミングを選べるわけ。だから、お腹がいっぱいになってきたし、次のお皿の前に、Mr.ビーンでも見ようかという話になった。すると、友達が

「オーマイガー」

女王が退位するとのことで、あわててパソコンでアーカイブ演説を見ることに。内容は、主にここにある通り。世界のニュースや2023年の訪問先にも触れつつ、そんな話を忘れてしまうくらいの衝撃で

・即位52周年を迎える2024/01/14に退位する
・フレデリック皇太子が後継者
・きっかけは23年2月に行った背中の手術
・次の世代に譲ることにした

とのこと。52年も王女だと、前の国王を覚えている人も当然少なくて、多くの国民にとって「はじめてのこと」と衝撃が大きかったみたい。それにこれまでは、亡くなったら即位、が普通だったので、現代的だと。日本の上皇が、今の天皇に譲位して令和に変わったことを思い出させる。

上皇さまが、生前退位を希望されてから令和になるまで、そもそも法律を変えなきゃいけなかったこともあってか(元号なども影響ありそうだが)1.5年かかった。それをデンマークは2週間でやってる。31日18時に発表して、1月14日から皇太子が王です!のスピード感、ベンチャー企業並み。

マルグレーテ2世は、デンマーク初の女王でもある。13〜14世紀頃にマルグレーテ1世という人もいたんだけれど、彼女は摂政をしていた。つまり息子が早死するなどして、実質的な王ではあったけれど、本物の王ではなかったということ。(ちなみにこの時、現在のノルウェー・スウェーデンまで統治していたほど繁栄していた)

それ以来の女王で、実質初女王。いまこの時代に女王がいる、というのは、デンマークの先進的精神を象徴していることのようにもみえる。だからこそ、デンマーク人が彼女を誇っていたんだろうと推察している。

マルグレーテ2世が女王になった経緯もなかなか面白くて。1972 年から、彼女は君主となったわけだけれど、そのお膳立てとなったのが1953年の王位継承法。これをきっかけに男性しか継げなかったものを女性も継げるようになった

この法律ができたのは彼女が即位する約20年も前で、まだ彼女が10歳。前王の子供、3人姉妹の長女でしかないとき。

なぜ、この法律ができたかというと、従来の法律で王位継承しそうになっていたひと(前王の弟)が、あまりにも醜かった。加えて不人気だった、とのこと。

「もちろん誰も公には言わないけれど、あまりにも彼がアグリーだったから、法律が変わったの」

とても現実世界で起きていることとは思えなかった。
小さい国とはいえ、国家レベルで顔採用しちゃうなんてありなの?みん就に書かれるから気をつけなね。

話は飛んで、1週間後に王になるフレデリック皇太子の妻は、オーストラリア人らしい。だから、オーストラリアでも「オーストラリア人が、デンマーク王国のプリンセスになるぞ!」と湧いているんだって。

ちなみに、日本の天皇家はずっと血筋が途切れてない天皇家が継いでいる。これってほんとに海外と比較しても、異次元な神聖さだよね。日本の皇室に、外国の血が混ざることは、いつかあるのだろうか。

いろんな友達に話を聞いてみるとやっぱり、デンマーク人がデンマーク王国を誇りに思っていることを痛感する。

幸せの国さすがだね!という話ではない。彼らだって、議会や社会制度に対しては「ほんっとありえない!」と言っているのは日本と同じ。なんなら、日本以上に政治家に厳しくて食事会でどの政党を支持する・しないの話はあたりまえにある。それぞれが抱えている不満の数で言ったら多いかもしれない。

そんな彼らがそれでも「誇り」という感情を忘れていないのは、感謝している部分もたくさんあるからだと思う。わたしも日本に感謝を辞められないから、誇りに思ってしまう。

そのうえで彼らは、自分たちの言動や考え方が、世界を変えることを知っている。在るべき姿を理想のままにしない。主体的に社会に関わって、責任感を持って、良くなる未来を模索している。

そんな社会を率いたマルグレーテ2世。
愛される美しい生きざまは、どんな功績にも代えがたいものの感謝として、ずっと国民の誇りとして残るんだろう。

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