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西田幾多郎「絶対矛盾的自己同一」を考える

図:左=西田幾多郎(Wikipedia)、右=プレジデント社

 西田幾多郎の哲学の神髄を意味する概念のひとつに「絶対矛盾的自己同一」というのがあるのだそうだ。あらためて考えてみると、私自身は、
 「当たり前のことやろう」
 と思ってしまう。
 ただ、その意味するところは、日本語として余り簡単に捉えられないような気がする。そこで、その表題を、google翻訳を用いて英語に翻訳すると、
 「Absolute contradictory self-identity」
 という文字列が返ってきた。で、その英語を再びgoogle翻訳を用いて日本語に翻訳すると「絶対矛盾する自己同一性」という文言が返ってきた。
 
 ついで、翻訳前の文章の冒頭の一節を紹介すると、こういうことになっている。

 「現実の世界とは物と物との相働く世界でなければならない。現実の形は物と物との相互関係と考えられる、相働くことによって出来た結果と考えられる。しかし物が働くということは、物が自己自身を否定することでなければならない、物というものがなくなって行くことでなければならない。物と物とが相働くことによって一つの世界を形成するということは、逆に物が一つの世界の部分と考えられることでなければならない。例えば、物が空間において相働くということは、物が空間的ということでなければならない。その極、物理的空間という如きものを考えれば、物力は空間的なるものの変化とも考えられる。しかし物が何処どこまでも全体的一の部分として考えられるということは、働く物というものがなくなることであり、世界が静止的となることであり、現実というものがなくなることである。現実の世界は何処までも多の一でなければならない、個物と個物との相互限定の世界でなければならない。故に私は現実の世界は絶対矛盾的自己同一というのである」
 
 この日本語を、google翻訳を用いて英語に翻訳すると、つぎのような文章が返ってきた。
 
  The real world must be a world where things interact with each other. The shape of reality can be thought of as the mutual relationship between things, the result of mutual interaction. However, for things to work, it must mean that things deny themselves, that things must disappear. To say that things form a world by interacting with each other means that things must be thought of as parts of a world. For example, to say that things work together in space must mean that things are spatial. If we consider something like physical space, physical force can also be thought of as a change in spatial things. However, to think of things everywhere as parts of a whole means that there are no working things, that the world becomes static, and that there is no reality. The real world must be one of many everywhere, and it must be a world of mutual limitation between individual things and individual things. Therefore, I say that the real world is absolutely contradictory and self-identical.
 
 この英語を、google翻訳を用いて再び日本語に翻訳してみたところ、つぎのような「ですます調」の文章となって返ってきた。
 
 「現実の世界は、物と物が相互に影響し合う世界であるはずです。現実の形は、物事の相互関係、相互作用の結果として考えることができます。しかし、物事が機能するためには、物事がそれ自体を否定し、物事が消滅することを意味する必要があります。物が相互作用して世界を形成すると言うことは、物は世界の一部として考えられなければならないことを意味します。たとえば、物が空間内で連携して機能すると言うことは、物が空間的であることを意味するに違いありません。物理的な空間のようなものを考えると、物理的な力も空間的なものの変化と考えることができます。しかし、あらゆる場所の物事を全体の一部として考えることは、機能するものが存在せず、世界が静止し、現実が存在しないことを意味します。現実の世界はどこにでもある多数のうちの一つであり、個物と個物との相互限定の世界でなければならない。したがって、現実の世界は完全に矛盾しており、自己同一であると私は言います」
 
 こうした一連の作業から何が分かるかを、あらためて少し考えてみようと思う。その結果は改めて「note」にフィードバックする積もりである。


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