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金融・投資レポート ’22.4.17

今週はインフレ指標の高値更新やFRB要人のタカ派発言により米長期金利は上昇、休場前のポジション整理も進みナスダックや中国H株などハイテク系の指数を中心に幅広く売られました。

為替はドル高円安、黒田総裁が金融緩和策の継を改めて強調したことで円売りが加速、ドル円は126円半ばまで上昇しました。ドルインデックスは100ドル台に完全に乗り20年4月来の高値水準まで上昇、ラガルド総裁が利上げ開始時期について具体的な日程を示さず、資産買い入れ終了後の間隔が数週間から数カ月になる可能性もあると発言したことでハト派色が意識されユーロは2年ぶり安値となりました。

カナダ・ニュージーランド中銀が前回値から0.5%利上げを示したものの、全体的に対ドルでは頭の重い展開、但し原油上昇の背景を受け、クロス円のポンド円・カナダドル円は比較的強く推移しました。

商品はウクライナ情勢の緊迫化からエネルギー価格や小麦が上昇、特に天然ガスは16%超の上昇となりました。
原油はOPECの月報に生産国が増産に積極的ではない様子が示されたことが材料視され先月末水準まで上昇しました。
金は1980ドルの攻防、方向感に欠ける展開に終始しました。

今週はFRBメンバーの中でもハト派で知られるNY連銀のウィリアムズ総裁が0.5%の利上げが妥当との見解を示したことや、ウォラー理事が5月の0.5%利上げを肯定しつつ、「6月7月もあり得る」「今年後半までに確実に中立金利水準を超えたい」と発言するなど要人のタカ派発言が相次ぎました。

3月に公開されたFOMCの四半期経済見通しでは中立金利の予想中央値は2.4%程度でした。もしウォラー理事の言う通り今年後半までに中立金利水準を超えたいのであれば6~8月まで毎月0.5%ずつ利上げしたとしても2.25%でまだ足りないということになります。FRBが相当焦っているということがわかります。

また、3月の米生産者物価指数(PPI)が前年同月比11.2%と過去最大を記録するなどインフレは上昇し続けています。40年ぶりの高水準となったCPIの結果から一部の金融機関はインフレに高止まりの兆候があるとの見立てを示していますが、ニュースを見る中では根拠が明確に読み取れず、わたしとしては半ば懐疑的でいます。

これらを勘案すると、これだけ高いインフレを果たして中立金利目標を達成させるだけで抑えられるのかは懐疑的で、実際は中立金利水準を超える政策が展開さると思います。

為替に目を移すとFRBに先んじて韓国・シンガポール・カナダ・NZなど利上げが相次いでいる割に、対ドルでは頭が重い状況となっており、リスク選好度が下がっていると感じています。今後各国がタカ色をより強める中、それに耐えられるだけの経済状態であるか材料が揃うまでは今のポートフォリオを維持して、まずは決算を横目で見つつ5月のFOMCまで待つ展開かなと考えています。

来週は幅広いセクターの注目銘柄決算が予定されています。前回 契約者数が大幅に減り「ネットフリックスショック」を呼んだネットフリックスが今回巻き返しを図れたのか、史上最高値を更新したジョンソン&ジョンソンが強い決算を出すのか非常に興味深いです。ハイテク銘柄の力強さを推し量るために日本電産も注目と考えています。

為替は豪ドルに注目しています。豪は政策金利0.1%と低金利で、比較的ハト色も強い割に資源国・インフレ高進が幸いしカナダ円同様 対円では強く推移してきました(月度騰落は豪円8%高、カナダ円7%高) しかし中国の景気の先行きや各国の金融引き締め策などを勘案すると、上昇余地は少なくなっているように感じます。5月に利上げを発表するかが注目される中、今週議事要旨が公表されるため内容は関心高いですし、「インフレの高止まり」が資源国通貨の動向にも表れてこないか?という視点でも興味を持っていきたいと思います。併せて中国の業績指標も気にしていきます。
<来週の注目指標など>
4/18(月)
11:00 中国 1-3月期 四半期国内総生産(GDP) [前年同期比] <前回値:4.0% 予想:4.4%>
11:00 中国 3月 小売売上高 [前年同月比] <前回値:1.7% 予想:-1.6%>
11:00 中国 3月 鉱工業生産 [前年同月比] <前回値:4.3% 予想:4.5%>

<決算> バンカメ

4/19(火)
10:30 豪 豪準備銀行(中央銀行)、金融政策会合議事要旨公表

<決算> ジョンソン&ジョンソン、IBM、ネットフリックス

4/20(水)
21:30 カナダ 3月 消費者物価指数(CPI) [前年同月比] <前回値:5.7% 予想:6.2%>
3:00 米 米地区連銀経済報告(ベージュブック)

<決算> P&G、テスラ、ユナイテッド航空

4/21(木)
7:45 NZ 1-3月期 四半期消費者物価(CPI) [前年同期比] <前回値:5.9% 予想:7.1%>
21:30 米 前週分 新規失業保険申請件数 <前回値:18.5万件 予想:>
21:30 米 4月 フィラデルフィア連銀製造業景気指数 <前回値:27.4 予想:20.5>
2:00 米 パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、発言
2:00 欧 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁、発言

<決算> 日本電産、フィリップモリス、AT&T

4/22(金)
8:30 国内 3月 全国消費者物価指数(CPI) [前年同月比] <前回値:0.9% 予想:1.2%>
16:30 独 4月 製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値) <前回値:56.9 予想:54.5%>
17:00 欧 4月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値) <前回値:55.6 予想:55.0>
21:30 カナダ 2月 小売売上高 [前月比] <前回値:3.2% 予想:-0.5%>
22:45 米 4月 製造業購買担当者景気指数(PMI、速報値) <前回値:58.8 予想:58.0>
22:45 米 4月 サービス部門購買担当者景気指数(PMI、速報値) <前回値:58.0 予想:58.0>

<決算> アメックス、ベライゾン

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