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【高専OBOG Career Talk】高専から東大ドクター!? ~研究という選択肢~

はじめに

こんにちは!高専Sparkle まいん です。
高専卒業生のその後に注目するOBOGインタビュー!
第4回は高専から東大ドクター!?
沼津高専卒業生の望月秀斗さんにお話を伺います。


高専卒の東大生!?

ー 望月さん。今回は取材へのご協力ありがとうございます。早速ですが、現在の御所属を教えてください。

現在は東京大学大学院農学生命科学研究科 生産・環境生物学専攻に在籍しています。先日ちょうど修士課程を修了しましたが、来年度からも博士課程で改めてお世話になります。

修了式でのお姿

— 大学院の修了おめでとうございます!ご在籍の農学生命科学研究科はどのような研究科なのでしょうか?

農学の基盤を支える様々な学問的分野に関する教育や研究を行っており、生物や環境、化学などについて学ぶことができます。私の専攻である生産・環境生物学専攻はその中でも特に作物や果樹、昆虫、微生物などを対象に取り扱っています。

— なるほど。東大に進学する前は沼津高専に在籍されていたのですよね。

はい。沼津高専の物質工学科に5年、専攻科に2年、合わせて7年間在籍していました。
高専には大学院に相当する機関が存在しないのもあって専攻科卒業後に大学院進学をしたというのもありますね。

高専豆知識①
高専は基本的に5年間の在学期間で”準学士”という学位を得られるが、
高専によっては追加で2年学び、”学士”を得られる専攻科が存在する。

— 7年!かなり長い期間在籍されていたのですね...!
ちなみに物質工学科、というのは化学系の学科になるのでしょうか?

ですね。沼津高専には合計5つの学科があるのですが、そのうち唯一の化学系学科になります。
化学系ということもあり男女比がほぼ5:5なのも特徴の一つです(笑)

— そうなのですね(笑)

当初はまさかの脱力系!?

ー ちなみに高専に入学する前から化学や研究の道にすすむということは意識されていたのでしょうか。

それが当時はそういう気持ちは全くなかったんですね。

— ええ!?そうなんですか!?
てっきりかなり昔から研究者を志していらっしゃったのかと...。

実は高専に入った主な理由は寮生活なんです。
親元を離れて自由に生活したいという想いがあり、
寮生活が送れる高専というのはかなり魅力的でした。
当時は将来的にやりたいこととかは決まっていなかったし工学も取り立てて好きだったわけではなかったのですが、5学科の中でも一番興味がもてそうという理由で物質工学科を志望しました。
ただそんな状態で入ったので一時期は文転しようかと悩んだ時期もありましたね。

— それはまたなぜ?

どうも理系のレポートや授業の忙しさとかに馴染めなかったりして、
ちょうど周りに大学に編入を考えている友達がいたので自分も一緒について行こうか悩んだ時期がありました。
ただ、実際過ごしていくうちに忙しさにも慣れましたし理系の学問や研究の面白さに気付き始めたので結局はしませんでしたが(笑)

— そうして今では東大の博士過程と...。

人生どうなるかわからないですね(笑)

進学・研究という選択肢

— ちなみに本科卒業後には専攻科に進学された、とのことでしたがその時は他大学への編入や就職などは考えなかったのでしょうか。

もちろん選択肢にはありました。ただ、自分自身の学問的・専門的な能力の不足を感じており、もう少し自分自身の知識や経験を深めたいという想いがあったのと、本科5年で取り組んだ研究テーマを1年で終わらせずにもう少し続けてみたいという想いがありました。
あと、専攻科は授業料が安い点なども魅力でしたね。

高専豆知識②
専攻科は国立大学と比較しても入学金・授業料が圧倒的に安い

— ちなみに当時の研究としてはどのような内容に取り組まれていたのですか?

分野としては遺伝子工学で、お茶の遺伝子の分析のようなことに取り組んでいました。
手法的にはかなり実験的な要素が強く、研究能力以外にも忍耐能力が鍛えられたのはいい思い出です。

— 専攻科卒業後は東大の大学院ということですが、進学先の決定の決め手となったのはなんだったのでしょうか。

沼津高専では専攻科のカリキュラムの一つとして企業や大学での4ヶ月のインターンシッププログラムがあるのですが、それを利用して今の所属研究室にお世話になったことがきっかけですね。
インターンシップ中とてもよくしてもらった他、研究内容や研究室の雰囲気が気に入り絶対ここに入ろうと思いました。

— なるほど。進学先の候補として他の学校や研究室なども訪問されたのでしょうか。

今となっては恐ろしいことをしたと思っていますが、当時はこの研究室に絶対入るぞ!という思いだったのでしませんでした(笑)

— それはまたチャレンジャーな...。
ちなみに大学院入試などはいかがでしたか?

当時はコロナの真っ盛りだったので試験内容や形式が例年と大きく変わったのに苦労しました。内容としては数学・英語・専門のペーパーテストだったのですが、中でも専門はかなり重い内容だったのでかなり力を入れました。反対に数学などは過去問的に比較的易しい内容だったので直前で軽く復習したぐらいですかね。

— 本当に「易しい」のかはちょっと怪しいですね(笑)

苦労したことももちろんありますよ!(笑)
進学先ではそれまであまり学んでいなかったプログラミングなどの能力が必要とされることは不安点でしたし、あとは受験期間中常に何かやっていないとみたいな焦燥感もありました。

— それらの不安に打ち勝って結果を出されたのですね...!

大学院での学びと出会い

— ここまで色々お聞きしてきましたが、
長期間在籍していた高専を飛び出ての実際の大学院生活はいかがでしたか?

やはり大学は人も多く学べる学問分野も広いので、学びや出会いが多いと感じています。
また特に大学院では高専や学部以上に研究中心の生活になり、集まる人も高度な知識や能力を兼ね備えた人がたくさんいるので常に刺激を受けますね。
もちろんサボるとすぐに置いていかれるので焦りは常にあるものの、恵まれた環境の中で学びを深められることに大きな喜びを感じています。

— 博士進学を志したのもそうした環境の好ましさゆえなのでしょうか。

それはありますね。特に研究室や在学中に取り組んでいたインターンシップなどで自分のはるか先にいる人たちをみて自分も彼らのようになりたい、研究の分野で自身がどこまでやれるのか挑戦してみたいと思ったのがきっかけかもしれないです。

— 博士過程で挑戦してみたいことはありますか?

学会発表や論文投稿...やりたいこと・やらなければいけないことはたくさんあるのですが、その中でも特に海外留学に挑戦してみたいと思っています。

高専生に向けて

— ちなみにこれまでで高専での学びが活きた場面などはありましたか?

研究に関連する知識ももちろんですが、直接的でないものでも工学的な基礎知識や考え方、実験の取り組み方など、工学・研究の素養のような部分は高専で身につけた知識や経験が活きていると感じることが多々あります。

— 最後に高専生に向けて何かメッセージがあればお願いします。

高専では工学に関する幅広い知識と経験を得ることができることができます。
私は当時強い志があったわけではありませんでしたが、卒業した今だからこそわかる魅力がたくさんあります。
今高専に在籍している皆さんは、ぜひその環境に意欲的に取り組んでより多くの知識と経験をみにつけて欲しいと思います。
また、矛盾したことをいうようですが自身の専門に偏重するのではなく、専門外や工学外の学問や経験にもぜひ目を向けてください。
そうした姿勢は努力はいつかきっと自身の可能性を広げる助けになると思います。

— 望月さん、ありがとうございました!


終わりに

高専生卒業生の様々な”その後”を追いかける「高専OBOG Carrer Talk」。
今回は初の大学院進学事例として、本科卒業の後、専攻科、東大大学院という進路を辿った望月秀斗さんにお話を伺いました!
高専からの進学というと一般的には本科卒業後の大学学部編入を思い浮かべますが一度専攻科に進学してからの大学院進学という道もあるのですね…。

学部での編入と比較しても
・研究を続けられる(入試・インターン・就職でのアピールポイントに)
・学費が安い
・単位換算で編入学年が下がる心配がない
など、独自のメリットも多そうです。

私(まいん)も大学院の修士課程を出ていますが、
大学院は研究者としての道を目指す人のみならず、就職や起業を考えている人にとっても得られるものが大きい環境です。
研究に力を入れたい、自身のさらなるスキルアップをしたい、高専外の環境を見てみたい…そんな高専生の皆さんはぜひ大学院進学という選択肢も視野に入れてみてはいかがでしょうか?

高専Sparkleでは今後も高校・大学編入や大学院への進学など高専生の進学・転向に関する情報をお伝えしてまいりますのでご期待ください!!

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