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アマビエとはたもんばの話

5月4日 くもり

本日のBGM Ry Cooder

3日前くらいに焼いた電気窯の焼き物が冷えたので
取り出しました。緑青がいい感じですね。

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あと水色もいい感じで、色のある釉薬は
その都度いい色だったり微妙だったりと
繊細なところがあるので毎回出してみて
安心したりがっかりしたりします。
今年からはなるべく色を限定して
安定した生産を目指したいと思っております。

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今回は母の作ったアマビエという妖怪を象った
お香立てもできています。
少し色味が薄いのですが、
あんまり濃くしちゃうと模様が潰れるので
加減が難しいんですよねこれ系のやつ。

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アマビエというのを私は知らなかったのですが
ウィキペディアを見てみると ぬ〜べ〜版という項目があって
私は漫画を全巻持っている程のぬ〜びすとですから
記憶にないけど出てたんだ、と思ったら近年に復活した
地獄先生ぬ〜べ〜NEOの方に登場してたみたいで
そちらはまだ読んでないから、今回のブームで初めて知りました。

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ブームであっても多くの人に概念として共有されるということは
それはもう妖怪として存在することになるんだと思います。
ぬ〜びすとの私としては いろんな妖怪が存在してもらえると嬉しいですね。

ちなみに私がぬ〜べ〜の中で一番怖かった妖怪は
「はたもんば」という打ち首の刀が妖怪になったやつで、
あれはどう考えても移動できるわけがない乗り物に乗っているのですが
なんかあのデザインが恐怖でしたね。
処刑する側なのになぜか小腸を垂れ流してるし。

悪いことをしたら首を切りに来るらしいですから
子供が悪さをしないよう恐怖の象徴として
信じ込ませておくと躾に便利なんじゃないかしら。


ところで今日は二日酔いな日で、そんな時に
ろくろのような回転物を見つめるというのは
さらなる苦痛を呼び起こしますし、
作る精度も実際に下がるので
そんな時は単純作業である粘土作りに取りかかります。
これは粘土作りの最後の段階ですね。

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四角く積み上げているのが私が作っていた粘土で、
ビニールのが業者から買っている粘土です。

作った粘土だけだと収縮率が高すぎて、
乾燥する時に割れてしまう確率が高くなるので、
それを打ち消すタイプの粘土を
半分より少なめくらいに混ぜます。

上の写真は粘土を針金でスライスして
交互に積み上げてるところですね。

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その2つの粘土をこの土練機(どれんき)にかけて
まんべんなく混ぜてしまいます。

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こんな感じでうにゅにゅにゅと先端から粘土が出てくるので
それをケースに入る長さで切ります。

この土練機が粘土を押し出すスピードは
非常にゆったりしてるというか
時間がかかるので、退屈な作業です。
だから今日みたいなボーッとしてる日に
やってしまいたい作業ですね。

この土練機の作業は単一の粘土の場合でも必要で、
この作業による効果は
粘土が混ざり合って水分が均一になるのと、
土が圧縮されるので作った時にボソボソになりにくい
コシのある扱いやすい粘土になるというものです。

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できたものはケースの中にビニールを敷いて
その上に布を置いて粘土を敷き詰めていきます。

ビニールの上に粘土を直接おくと
一番下は水が溜まって粘土がベチャベチャに
なりやすいので、布はその水を吸い取る役目があり、
一方で吸収した水のおかげでケース内の
湿度を一定に保つ役割もあります。

オーガニックだとすぐボロボロになるから
ある程度化学繊維の入ったものの方がいいですね。

この粘土の入れ物はもっと大きなやつもあるのですが
今年から私と父はそれぞれで粘土を作ることになったので
大きい入れ物は父が使っていて、
余剰ストック用のケースを私が使っています。

粘土作りの場所の隣が猫のねぐらになっているので
余剰の食料を求めて寄ってきます。
この猫も最初は痩せてたけど
飽満ライフが続いたおかげでむくむくに太っております。
そして異常に毛艶が良いです。

動物は毛で覆われてるから そこそこ太ってる方が
丸っこくていいですね。
太っているというのは大変に健康的なものだということを
教えてくれる夜中の猫でした。

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おれ

高鶴裕太 コウヅルユウタ
陶芸家
1991年生まれ
2013年横浜国立大学経済学部卒業
上野焼窯元 庚申窯3代目

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