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年1077展みた男が選ぶ!2023年に心を動かされたアート10選

2023年は、1,077展のアートを見た。
ベスト10を選ぼうとしたが、ものすごく難しい。

ダメだ。決まらない。ジャズのように、今この瞬間のグルーヴで決めちゃうしかない。
明日には気が変わってる気もする。

動画で見たい方はこちら。


以下、順不同。

《ハチ公の部屋》西野達

この日たった1日だけ、渋谷駅前のハチ公が部屋に入れてもらえた。TV「情熱大陸」で見た人もいるかもしれない。

一生に一度の機会と思い、見に行った。
この発想、ぶっ飛んでて好きだ。たまらん。

「Your Body is the Shoreline」ソー・ソウエン

東京・神楽坂の√K Contemporaryにて。
ギャラリーに入ると男性が床に座っててびっくり。作家ご本人が毎日、パフォーマンスしていた。

壁と頬の間でたまごを落とさないように、しかし感触を確かめるように、ほんの少し動かしている。
生命の象徴であるたまご。その表面を感じているのか、自分の表面を感じているのか、あるいは自分と世界の境界線を感じているのか。

その静かで繊細な空気に、息を呑むような、心震えるような、不思議な感動があった。

地下へ行くと、15個のヘソの映像と呼吸音も圧巻。久々に自分の呼吸を意識した。
これも素晴らしかったが、まだVlogで紹介できていない。
気になる方は、チャンネル登録してお待ちください。

「なめらかでないしぐさ」

茨木のり子、岡本健児、キスルギ、神農理恵、時里充、札本彩子、山口麻加、柄澤健介、大東忍、潘逸舟、大和田俊
愛知県西尾市、西尾市岩瀬文庫ほか

これは穴場だったかも。愛知県西尾市で少女時代を過ごした詩人・ 茨木のり子の「汲む」という詩にサラッと出てくる、「なめらかでないしぐさ」というフレーズがテーマの芸術祭。

無難にやり過ごすことが良いとされがちなこの世の中に、「なめらかでないしぐさ」という言葉が私に刺さる。

スマートに物事をこなし、誰からも好かれていそうな知人がいる。でも私はそうなれない、なる気もない。

なめらかでなくてもいいじゃん。皆がAだと言う会議でBだと言ってもいいじゃん。好奇心のままにチャレンジして、失敗してもいいじゃん。たまにダメな自分が出ても、人に迷惑かけてもいいじゃん(いや、これはあんまり良くないが)。

ぎこちなくても、デコボコしても、周りをざわつかせても、それが人間でしょう。それがクリエイティブでしょう。そう思いたい。

各会場の作品それぞれ、良い意味で違和感があって素晴らしい。
特に、AIが生成した会話が成立しているようでしていない、もどかしさのある時里充さんの映像作品や、

茨木のり子の詩「わたしが一番きれいだったとき」が鏡に書かれ、ロシアとウクライナの女性が朗読する音声が聞けるキ・スルギさんの作品も素敵だ。

すぐ詩集を買った。女性のほうが刺さるかも。

山本雄教「One room」

「清流の国ぎふ芸術祭 Art Award IN THE CUBE」岐阜県美術館にて。

1人1つ、4.8m(幅)×4.8m(奥行)×3.6m(高さ)のキューブ空間を使い、14人の作家が自由に表現していた。

中でも山本雄教「One room」は、一円玉に囲まれる体験がユニーク。  

一円玉は「これは一円」と決められたからその価値になっているわけだけど、ここではもはや、ただのアルミだ。
それでも踏むのは何だか悪い気がしたりして、色々考えさせられる。

他のキューブもユニークで、特に人が入れるアマゾンの箱が面白い。YouTubeで見てみてください。

その後みた、山本さんの東京や京都での一円玉の作品も素晴らしかった。

「インターフェアレンス」

銀座エルメスにアートギャラリーがあるの、知ってる?
エルメスなんて、20年くらい前にやたら流行ったトートバッグくらいしか買ったことのない私も、このギャラリーへはよく行く。
シェーヌダンクルのブレスレット、降ってこないかな。

この時のグループ展では特に、スザンナ・フリッチャーの作品が印象的で。

室内に、雨のように無数に垂らされた糸がふるえる。その振動が互いに干渉し、同調し、私の心をも揺さぶり、繊細な空間を生み出していた。

人と人との心がつながるとき、反発するとき。
そこに何が起きてるだろうか。そんなことを考えながら、糸の雨のなかをさまよった。

『さいたま国際芸術祭2023』メイン会場

正直、「国際芸術祭」としては物足りなかった。
あっちへ行ってもびっくり、こっちへ行っても衝撃、みたいなのを期待していたのに、実際には市民プロジェクトがほとんどで(プロの作家さんの作品や、心惹かれるものももちろんあったが)。

しかしアートチーム目[mé]がディレクションを手掛けるメイン会場は、とにかく衝撃の体験。

目[mé]はあの2021年夏、東京都心の空に謎の巨大な顔を浮かべて賛否を巻き起こした彼らだ。最高。
あれにまさか批判が起きるなんて想像もしなかった。私はひたすらワクワクしたが、「自分が理解できないものは悪」とする人が多いのは残念なことだ。

さて、さいたま国際芸術祭のメイン会場は、掃除道具などが放置されていたり、おかしなところにコーヒーが置かれていたり、自販機で800円の缶ジュースが売られていたり(買った)、自然に不自然だ。

一般的に美術館ではガラス板の向こうにアート作品が保護されていたりするが、ここでは通路や部屋から不自然に透明な壁で仕切られている。こっちは向こうの人を見るが、向こうはこっちを見ている、変な感覚。

さらに、会場や周辺にも「スケーパー」という人が仕掛けられているという。景色となった人だ。
掃除をしている女性はリアルなのかスケーパーなのか。ん?あっちのあの人、なんだか怪しいな…。

っていうか、こんなにキョロキョロしたり、人の倍以上の写真を撮影したりする私も、周りの人にスケーパーでは?と勘違いされてるかも…?

何がアートで何がアートじゃないのか。「見る」を強く意識させられる、とてもユニークな体験だ。

青木千絵 「沈静なる身体」

東京・天王洲アイル、SOKYO ATSUMIにて。
この、言葉にならない感情を表現してくれるような作品には、目も心も奪われた。
「こんなとき、あるよね」というか。

漆の硬いかもしれない皮膜やそのなかに、その脆さみたいなものを感じる。

その後、京都や神戸でも見たが、やはり心惹かれた。LINEスタンプがほしいよ。

「ズガ・コーサクとクリ・エイト二人展『#地下道』

神戸・新開地アートひろばにて。
アートを見に行ったはずが、迷い込んだ地下道。
まさかギャラリーに廃材を使って地下道を再現するとは!驚きとワクワクがたまらなかった。

床も壁も天井も手すりも、あらゆるものが再現されている。

こういうユーモアやそこまでやるか!みたいなものは、人の心を動かすよね。忘れかけていた気持ちを思い出させてくれた。

「Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.」泉太郎

東京オペラシティ アートギャラリーにて。
過去見たアートの中で最高にイライラした(笑、褒め言葉)。

アート鑑賞に行ったはずがマントを着せられ、17分越えの長すぎる意味不明の説明音声を聞かされ、途切れ途切れで分からない説明文に従って屋内にテントを建ててしばらく中で過ごし、最後は死ぬ?羽目に。

生きてく中で「分からなさ」に直面したときの自分の反応。それがそのまま出る展覧会だった。ザワつくのも嫌いじゃない。それも心が動いたということだ。

以上、他にも素晴らしいアートがたくさんあったが、どうにか10選んだ。

…ん?9つしかないぞ。
あと1つは、YouTubeで見てください。驚くような真っ白で素敵な空間のアートを。

あなたの心を動かしたアートも教えたくれたら嬉しい。そのコメントが私の心を動かします。

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