プロダクトの戦略の考え方について

前回のプロダクトロードマップの考え方が思ったより反響があり、凄い書きにくいなーと思って躊躇してましたが、コロナで時間が出来たこともあり、久しぶりにプロダクトのことについて書こうかなと思ってます。

幸いなことにプロダクトの相談をよく受けることがあったり、自分の過去の経験からこう考えないと辛いなというのをまとめてみます。

まず前提として、個人的には自分たちのプロダクトの立ち位置によって取るべき戦略が全然違うと思ってます。

No.1なのか、No.2なのか、No.3なのか、それとも立ち上げたばかりなのか、言い方を悪くすれば、ずっとくすぶっているのか、で色々とプロダクトの方向性は変わるかなと。

今回は、No.1じゃない時のプロダクトの戦略について書こうと思ってます。もっと言えば、No.2、No.3やNo.1になるまでのタイムスパンや事業の規模など様々な要因があるけど、そういったことを除いた戦略のいい、悪いみたいなところの考え方を書きます。

プロダクトの戦略については賛否両論あるとは思いますが、こういう考え方もあるんだくらいで考えてもらえればと思います。また前回も書きましたが、広告のプロダクトをずっとやっている経験上、広告プロダクトでの考え方なので、BtoCなどは少し考え方が異なると思ってますのでご容赦ください。


1.前提整理

基本的に前提整理が出来てないと正しい戦略は立てれないので、ここは把握する必要があるんだけど、一番陥りやすいのが星どり表で戦略をつくってしまうことなので、これはやらない方がいい。参考として見る分にはいいけど、それを前提に戦略を立てるのは間違ってる。

星どり表なんて偉い人や何も分かってないが把握した気になる為のものなので、それを元にこれが出来てないじゃないかなんて、よく言ってくるけどだいたい無視していい。笑

どうせ何も分かってないのに何か言いたいだけだし、それを対応したところでほとんど9割以上の確率で結果なんて出ない。稀にマーケットの流れ分かってて、嗅覚効くなーって思う人もいるので全てを無視しちゃダメだけど、だいたいは無視していいと思う。ただ、やらなくていい理由を説明できる必要は当然あるので、そこはちゃんと自分でも理解しておいた方がいい。

強み/弱み

これはプロダクトとしての強みや弱みの整理はもちろんなんだけど、自社や競合の営業力や、投資体力、サービス力、サービスの特性、規模とか、多くの要素を加味して把握はした方がいい。それによって、この後書いていく戦略も全然変わってくきます。

戦略

これ、「どうやって知るんですか」とか「分からない」ってよく言われるんだけど、むしろどうして分からないか分からないというのが正直の本音。

50位が49位になろうとしてる時は49位の戦略を知るのは難しいかもしれないけど、No.1を超えようとしているのであれば、少なくともNo.1〜3くらいのIRやPR、記事、媒体(提案)提案とか見ていると、今、何に注力していて、どういう機能を持ったものを出している、っていうのは分かるし、当然営業が競合を使っているところにも話は行っているんだから、そこに同席するなり、議事録、聞いてきて欲しいこと(評価とか優れている点とか不満とか)をお願いするとか方法はたくさんある。

何もやらずに分からないって言ってるんだったら、たぶんProduct Managerとは名乗るのをそもそもやめた方がいい。そんな姿勢でいいモノが創れる訳がない。

その他

その他は、強みや弱み、戦略以外のところで、考慮した方がいい点などを参考程度に書き出しておくのでいいと思う。例えば、業種別のシェア(これは強み/弱みでもいいけど)の高いマーケットの動向とか、新たな領域への取組みや、戦略に影響を与えそうな可能性のあるもの。


まずは前提整理としてはここまでだけど、Product Managerで戦略を考えていく上では、息を吸うようにこの辺りのことは考えるようにしていくのと、社内外でもいいのでそういった情報に考察をつけて話すようにすると、記事を読んだ時などにも惰性で読むではなく、考える癖がつくのでオススメです。


2.失敗しがちな戦略の考え方

前回の記事でも書いたうまくいく確率の低いものと、ほとんど同じ感じなんだけど、少しだけアプローチを変えたものを書いてみる。

競合の同質化

これ、だいたいどの会社も99%やるんだけど、意味のあるものと意味のないものを見極められていないと本当にやったけど、ただの焼き増しになるし、スペック落ちのものを生み出すだけがほとんどなのでやるものは必ず見極める必要がある。

例えば同じ機能を3ヶ月(実際こんな短期間で同じものをつくることは少ないんだけど)後につくったとしても、必ず先に走っているものの強みがある。

・トライアルや導入案件の多さ(≒学習データの多さ)
・そこからの知見、ノウハウ
など

その上で、新たに開発して追いかけていることには、改善が加わったり、多くの場合、ターゲットにしていた頃より機能が改善されている。この状況で同質化しても、ただのスペック落ちの同質化にしかならないし、リプレイスをする為の営業リソースなどコストがかなりかかる。

また以下のような場合もある

自分たちが追いかけている間に、先行優位性からマーケットの流れを読んで、新たな機能の開発に入っている場合。こういった場合、最初の機能に追いつけるかもしれないけど、その間にまた新機能をつくられていて、いつまでも同質化が終わらずに疲弊してしまう。

最低限の同質化、必要なものはやるべきという考えは変わらないんだけど、ただ同質化しているだけでは決定的に追いつけないということは認識しておいた方がいい。ただし、開発や営業リソース、投資できるお金がふんだんにあって横綱相撲を取れるなら全張りしてしまえば時間かけてでも追いつける可能性はあるけど。笑

2.参入障壁が低い機能

同質化をするだけじゃ勝てないっていうことで、独自機能をつくりにいく、他があんまりやっていないところに張るというのは戦略としてはいい。

ただ、陥りやすいのが「誰でもそれが出来てしまう」という参入ハードルの低いものをつくってしまうというパターン。これが惜しいのは、先ほどの自社と競合のタイムスパンでも書いてあることだけど、先行優位があるので他がいいものつくったら同じものをつくりにいくという戦略を立てれる。そうすれば、今、既に導入されている、信用を得ているところに入れてしまえば、ひっくり返される理由がなくなってしまうから。

なので、つくる場合は必ず参入障壁が高いもの(技術的なハードルや特許とかでもいい)があれば、少なからずとも優位に立てるので、そこが意識されてないと意味がない。

3.独自性のない機能

これは1とか2に近しいところがあるんだけど、自分たちの特徴を何も活かしていない機能とかだと、あえてそこを選ぶ必要あるんでしたっけ?となる。

例えば、ユーザーがたくさんいるという特徴があるのに、その特性を活かした機能をつくらずに、GoogleやFacebookの焼き増しのような機能をつくっていても意味がない。ブランディングに強い(DRの相性が悪い)ところが、どこにでもあるDR向けの機能を出したところで脅威にも感じない。一定の規模があれば確かに売上は上がるけど、決して逆転する為の強烈な一手になることはない。(一定の規模があれば、だいたい何してもある程度の売上は立つんだけどね。笑)


失敗しがちな戦略って、前回の記事と同じだけど、得てしてPMが何も考えてない、マーケットを理解しようとしてなくて、第三者(営業や偉い人とか)のいうことを真に受けて、裏どりもせずにつくって失敗するというパターンが多いと思う。ここで「分からないから」で諦めるのではなく、自分で考え、自分で判断するという責任をPMは負っているという気持ちは持った方がいい。


3.取るべき戦略の考え方

取るべき戦略って様々な要因があるって書いたけど、基本的な考え方を書きます。(ここも前回のものと重複する箇所は多々あります)

圧倒的に大事だから強調。笑

これが本当に大事で

・自分たちの特徴を活かしたものか
・競合がやってきた時に勝てる領域か
・(もっといえば)自分たちがやる意義があるか

っていうのは、本当に考えないといけない。競合がやってきた時に自分たちが選ばれる理由をつくるのも大事だし、自分たちでしか出来ない(他がやってきたとしてもスペック落ちになるようにするなど)という強みを持っておくのが非常に重要。

当然、先進性のあるものなら特許を出してブロックするのも一つだし、自分たちのサービスの強みと掛け合わせるのも一つ。そこを意識して考えていかないといけない。

特に陥りやすいんだけど、広告の業界だとCPAやCPCなどの横並びで見られるので、そこをとにかく改善するのに注力をしがちになるけど、その前に土俵に立つことが非常に重要で、まずは選択される為の理由をつくるのが重要。

とはいえ、ベースも重要というのも変わらない。前回の記事でも書いた通り、基礎を固めたり、強めつつ、新たなチャレンジをしていくことが必要。

ベースはきちんと向き合えば向き合うほど多くの場合は良くなっていく。
ただ、堅実な成長はするけど、それだけをやっていたらどこまでいっても、105〜130%とかが限界だと思う。(今の規模が小さければ、もっと伸びるかもしれないけど)

なので、プロダクトの戦略としては、そこを整えるだけではなく、自分たちだから意味があるものをつくる必要はある。

もちろん特定の業種にフォーカスするなどもいいし、他がやっていないところで自分たちの強みとセットでやるといい。

PRは本当に重要

これ、今までの会社は素晴らしいPRやマーケの人に囲まれていたから本当に助かっていて、これがないとつくったものがマーケットに届かない。

この重要性を分かっていないPMも多い。え、そこまでやるの?って思うかもしれないけど、自分たちのつくったものを「正しく」「多くの人」に伝えるというリリースとかは圧倒的な武器だし、これをやらない理由がない。

特にPRの打ち出し方とプロダクトのつくる機能の目的って、どちらもシンプルで分かりやすくあるべきなので、ここが分かりやすく伝えられてないっていうのはPM側の落ち度だと思う。当たり前なんだけど、自分たちはつくっていると理解できるかもしれないけど、その背景を全く知らない人に伝えるためには分かりやすくしないといけない。(そもそも分からなかったら使われないから。笑)

パッと説明して理解できるほど、機能や特徴はシンプルであるべきであれば、プロダクトを進める上でも意思疎通がそこまでずれないと思う。伝えたい相手の立場に立って言葉を考える、咀嚼するというのは本当に重要なので、PRやマーケにアドバイスをもらってもいいし、一番最初に機能の特徴を考える時にリリース文から考えるみたいなことをしてもいい。

どんだけ素晴らしい機能をつくっても届かないと意味がないのは理解した方がいい。

相手の立場で一番されたら嫌なことを考える

これも意外と出来ていない人が多いんだけど、自分が競合の立場になって、自分たちにやられたら嫌なことを想像してみるということをするのがいい。

相手の嫌がることをする、相手を出し抜くような発想が必要。
ここが甘いと最後には戦略が甘くて

・マーケットを見て
・競合が出来ないこと
・一歩先を読んだ動きをする

を頭がはち切れるくらい考えることが本当に大事。それも自社の実力を低く見積もった上で、これなら勝てる、というくらい考えていないといけない。

不思議なことにおかしいくらい自社のことを高く計算する人がいるんだけど、戦略を決めるときは低く見積もって、それでも勝てるという戦略を描かないと何の意味もない。本当に100の実力があったとしても、80になるかもしれないし、状況によっては60になるかもしれない。

ここの詰めが甘かったら全てが終わるので徹底的に考える方がいい。

自分の経験からいっても、何でも万遍なくやってくる会社よりも

腹を括って一点突破してくるベンチャー

が一番怖い。なぜなら、そこに特化して突き抜けにきているけど、自分たちの戦略とあってないところに一点で張ることが出来ないので、どうしても抜け漏れやスペック落ちをしてしまうので、その隙をついて一気にマーケットを抑えられる可能性もある。

全てが全てこのパターンがうまくいくという訳ではないけど、No.1であればあるほど(大きい企業であればあるほど)全張りしているので、どこかに特化する訳じゃなく、こういった場合にやられる。本当にまずいってなった後に横綱相撲をやりにくるけど、その時点では先行者メリットがあるので、前述した(その領域だけ)No.1の戦い方が出来たりするので。

会社としてやっている以上、競合に勝たないといけない、もっとトップラインを伸ばさないといけない。というミッションが必ずあると思う。ここで大事なのは、「頑張っている」というのに何の価値もないということは理解して仕事を進めるべきだと思います。競合も当然頑張っているので、それが決定的な差に基本的にはなり得ない。また競合を必要以上に甘く見ずに、競合のサービスレベルで優れているところ、劣っているところ、を理解しないといけない。よく「ここが出来てないのが不満で聞きます」みたいな話があるんだけど、それがリプレイスなどの決定的な差になるのか、自分たちのサービスレベルとして追いついているのか(特に出来ていないところのボトムではなく、サービスのトップラインとの差)、は常に意識して進めるべき。

PMの立ち位置について

PMって立ち位置として、エンジニア寄りであるべきか、ビジネス寄りであるべきかみたいな話をよく聞くのですが、会社のスタンスや一緒に働く人たちの状況に応じて変えたらいいと思います。

ただ、決して営業の人を悪くつもりは全くないんですが、営業の人の考える企画というのは足元の課題によっていたり、個社の課題によっていることが多いので、個人的にはPMとしての視点でのジャッジは少ならからず必要にはなると思います。

これはあくまでもミッションと視点の違いなので、営業の人が出来ないという訳ではないです。使っている考える筋肉の性質の違いだけだと思っています。前回の時も書いた

これですね。もちろん営業の人の中でもマーケットのことを考え、先を見据えている人もいますが、ただ向き合う時間軸や視点が違うというところは基本的に理解しておく必要はあります。

よく改善要望がこんなにもありますって持ってくるものが足元の全体から見ると小さかったりするのがそれです。ただ、担当としては個社としてインパクトが大きかったり、御用聞きして、必要としてあげているという状態だと思っています。

営業がテックを理解している、エンジニアがビジネスを理解しているとPMという存在(特に進行管理しかしていない人であればあるほど)不要論みたいなものは出ちゃうと思います。

個人的な経験と色々と話した内容を鑑みると、テック側が弱いということは余りなくて、Project Managementに優れた人がいたり、EMが優秀だったり、そもそもエンジニアの皆さんが優秀(ちゃんと意図とかを理解しようとしている)で開発自体は自走して走れている、だけどプロダクトの企画ジャッジが弱いなどの方がパターンとしては多い気がします。(社風とかももちろんあって、PMは進行管理が仕事だよーってなってる雰囲気だと多くの場合、そうなってる感覚があります)

組織の状態、フェーズによって、立ち位置は変えるべきだとは思ってるので一概には言えないと思ってますが、その辺のバランス感を持ちつつも一番大事なのは、PMが考え、理解し、判断するということ。これが出来てないならまずは周りの協力を得ながらでもやるべきだと思います。

結論、何でもやれ。バランス考えながら立ち回って!ってことです。笑

最後に

また今回も長く書いてしまいました。笑

やっぱりプロダクトを創っていく上で

自分たちのプロダクトは自分たちで創る

というのは非常に重要で、PM1人では絶対につくれないし、周りの人たちといいモノを創っていく必要がある。だけど、個人的な考えだけど、創ったモノがうまくいかないのは全てProduct Managerの責任だと言っていいくらいプロダクトに対しての裁量や責任がある。

いくら考えても、やってもうまくいかないこともあるし、逆に何らかの拍子にうまくいくこともある。うまくいかないからって努力をやめてしまったら、それは責任から逃げたことだと思う。努力が自分を裏切ったのではなくて、自分が自分を裏切っただけ。

僕たちの仕事がいい加減だと、エンジニアの人が何週間、何ヶ月も創ったものが全く成果が出ないなんてことも起きてしまう。その結果、信頼もなくなってしまうかもしれない。

ただ、その責任を持っている分、プロダクトという大きな武器を創る最前線にいれて、素晴らしい仲間と一緒に新しいチャレンジができる。こんなにエキサイティングな仕事は本当に辛いし、楽しい。大事なのでもう一度言います。本当に辛いけど楽しい。

未来が分からないので、それを考え続けないといけない分、本当に悩むし、考えるし、答えなんて見つかってこないけど、それでも僕らは未来を創っていくことができる。贅沢な悩みで、出来る事がたくさんあるという事の方が素晴らしい。先が見えない不安があるから、努力する甲斐がある。

不安だし、どうなるか分からないからこそ、自分たちで未来を選択出来る

迷ったらワクワクする方を選択して、自分でその道を正解にしていくものも一つだとは思う。

楽しんでいきましょう!!!

またテーマを決めて書きます。
先月のセブから帰れなかった出費が莫大すぎて課金にしようかなと思ったけど最後まで無課金にしました。笑

あとがき
個人的に好きな言葉で
「Work Hard,Have Fun,Make History」
ていうAmazonのスローガンがある(今はあるか知らないけど)

意味をずっとメモに残しているので書くと

Work Hard
ただ一生懸命に働くのではなく、日々の改善を繰り返しながら新たな仕組みを構築し高い成果を目指すこと

Have Fun
その成果によってお客様に喜んでいただくこと、自身やチームが成長していくことを楽しみながら働くということ

Make History
お客様を中心に据えた「Work Hard」と「Have Fun」の結果、歴史に残るようなイノベーションにつながるということ

シンプルにいうと
よく働いて、それを楽しんで、歴史を創ろう
っていう意味なんだけど、本当に素晴らしい言葉だなと思ってる。

僕らプロダクトに関わる人も未来を創るために
成果に向かってとことん働いて、それを楽しもう。
そして一緒に(会社の)歴史を創っていきましょう!

コロナが落ち着いたら、またざっくばらんにPM飲みとかやりたいなー。

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