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作品シートについて

はじめに、課題やコンペの提出物を「作品」と「表現」の観点に分解する。つまり、設計作品と作品シートだ。
作品については多種多様で一概に言えることが少ないため、この記事ではシートの作り方(表現)のコツについて説明する


シートの要素

以下がシート要素であり上から重要な順に並べたものだ。ただし、コンペの種類や作風によりそれぞれの重要度は入れ替わるので、注意してほしい。

  • メインパース

  • タイトル

  • コンセプトの書き出し

  • ダイアグラム(着彩図面を含む)

  • コンセプト

本記事では上記の内容を順に説明していく。ただし、コンセプトはシート表現だけで説明する事が困難なため割愛する。別の記事を書いたのでそちらを参考にして欲しい。

無料部分では基本的な事を、有料部分では個人の感覚来る部分を書いていく。
つまり、無料部分は最低限の土台として有料部分はそこから抜き出る為の方法だと思っていただきたい。


メインパース

言うまでもないがメインパースは1番目立つ。これによってシート全体の世界観が決まると言っても過言ではない。
しかし、ただ綺麗なパースを載せるだけではいけない。作品の性格を表現しつつ自分の世界観を出すことで、他のシートと差別化する事が大切だ。

メインパースで主に使うレンダリング、絵、模型の3種類について軽く説明する。

○レンダリング

レンダリングは、世界観の表現や差別化の観点では扱いづらい。そのため、構図やコラージュに飛び抜けたセンスがある人以外は避けるのが無難である。しかし、敷地がコンセプトの根本に関わる作品や建築を構成する素材が大切な物に対しては相性が良い。

○絵

絵については、適当に描いたものではいけないが綺麗なものを心がけなくて良い。それよりも自分の画風を大切する事が唯一無二の表現に繋がる。それぞれの画風が異なるのでアドバイスできる事は少ないが、共通する簡単なコツを1つだけ伝えるなら「影」を意識する事だ。地面との接地面は濃く描き、影の落ち方を正しく描けば立体的な空間として浮かび上がる。

○模型

模型は存在するだけで、建築物としての現実味を表現できる。しかし、現実味を表現しすぎてしまうと想像を促す余地がなくなる。それではジオラマ模型のようになってしまい、自分が真に伝えたい事柄が埋もれてしまう。そこで大切になるのが模型の抽象化だ。これについても長くなるので、別の機会に説明する。

作品の性格を表現
する為のメインパースについては有料部分で説明していく。


タイトル

メインパースを作品の感覚的な象徴とするならば、タイトルは論理的な象徴である。
このタイトル選びで世界観が確定する。絵本のタイトルの様にすればストーリが売りの作品に見えるし、〇〇論の様な硬いタイトルにすると理論展開が期待される。

そんな、私がおすすめするのはシンプルに実現した事を書いたタイトルだ。例えば、一枚の大きな屋根を使った作品であれば「The roof」のようなシンプルなものだ。もちろん、コンセプトやコンペによってその度合いは変わるが、伝える事を第1にしたシンプルなタイトルは基本的に不足がないので、タイトル選びに自身がない人にはこの方法をおすすめする。
詩的な表現を使う場面や方法については有料部分で説明していく。


コンセプトの書き出し

コンセプトは書き出しが最も重要である。限られた時間の中で評価するため、全ての作品のコンセプト全文を読まれる事はほとんどない。メインパースやタイトルで心を掴まなくてはスルーされてしまう。そうした意味でも上記2つは重要度が高い。
しかし、コンセプトも最初の一文までは大概読まれる。この一文が平等に与えられた唯一の説明文と言っても過言ではないだろう。

読みやすさ

読みやすくするために改行やレイアウトで一文を明確に区切る。横長の文章や一文がはっきりしていない文は読むべき最低のラインがわかりにくい。

水たまりを避ける、跨ぐ、跳び越える。
誰だってそうする。
いや、子供たちは跳びこんで遊ぶかもしれない。
水たまりには、ただぼんやりと歩くいつもの行動を変える力がある。つまり、ふるまいがある。
そんな水たまりのふるまいに少しの遊びを混ぜて肯定的に捉え直すと、憂鬱な雨が楽しい遊びを誘発する。
自然に合わせて行動を変える。そんな根源的なふるまいだからこそ、街にふるまいの共振をもたらす。

上図作品のコンセプト文

ただし、実現性や解決策を求められるコンペでは改行せずに文章の情報量を主張する方が良い場合もあるので注意してほしい。

分かりやすさ

また、書き出しは理解される事を第一にしたわかりやすいものが良い。共感されれば好意の目で、共感されなくても疑念の目で、とにかく最後まで読んでもらえる可能性が高まる。
自分の考えを主張したい為に、勝手に定義した言葉や専門用語から始まるコンセプトを多数見るが、特殊な場合を除いて避けるべき書き出しである。

有料部分では、心を掴む書き出しの参考とできるものを少しだけ補足している。


ダイアグラム

ダイアグラムには情報量が重要になる。一目でどれだけの情報を伝えられるかで、作品の密度の印象が変わる。
具体的な事を言うと単純な図形だけのダイアグラムは避けるべきである。どんな作品にも載せれるような4角と3角で作った家のダイアグラムを載せても何の情報量もない。その程度の情報なら文だけ、あるいは図面に書き込むほうがまだ良い。ダイアグラムで書き込むのはダイアグラムでないと伝わらない物をだけにするべきである。

ダイアグラムの例

具体的なダイアグラムの情報量を上げる方法については有料部分で説明する。


上記の内容は、よく言われている事柄に私の主観を少し含めた内容だ。これは最低限の土台である。しかし、それでは当たり前をこなした当たり障りのない物にしかならない。
そこで有料部分では抜き出す為に、誤解を恐れずに私の主観を多く出した説明をしていく。そのため、言い切りの文体となっていても真偽の確かめようが無い説明である事を先に言っておく。


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