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財布を替えた話をしますが耳の穴かっぽじって聞くほどのことじゃございません、どうか楽に聞いておくんなせえ。

年始、財布を替えた。

足かけ十五年使ったわずか七千五百円で購入した二つ折りの財布に、引退の時が来た。

色艶、耐久性どれをとっても抜群なのだが以前からお札はどうしても折っていれたくはなく。いつかは長財布にしようと決めていたので、このタイミングになった。

この七千五百円の二つ折りの財布だが、実は正規品ではない。その昔まだ野球をやっていて丸坊主だった頃にお年玉を握りしめてある商業施設へ行った時のこと……。

革小物がずらりと並べられたその店舗で僕は立ち止まって、食い入るようにそれらを眺めていた。新しい革の香りがしてあとから知ることになるけれどイタリア産のその革ははじめは硬質なザラザラとした質感で馴染んでくるとツルツルのツヤツヤになる。トリツカレたようにそれらに夢中になっていた。

そして意を決してひとつの二つ折りの財布に手を伸ばした。触れて質感を確かめて、ああこれいいなと思って。値札を見ると一万五千円。お年玉を全額使うような度胸はなかったので諦めて陳列棚に戻した。

その時。すっとしゃがみこんだ男性のスタッフさん。ストックからなにやらおもむろに取り出した不織布の包みから同じ形の財布を取り出して僕に差し出したのだ。

「これは中に仕切りがない。だから半額の七千五百円なんだ。これなら買えるかい?」

僕は感激して、何度もお礼を言ってその財布を買った。以来、基本的に革小物はそこで揃えている(もちろん、ばっちり浮気もしている)。

こげ茶色の財布に合わせて、小銭入れ、名刺入れと揃えて小銭入れは二度ほど失くしたので買い替えて今に至る。一度キーケースも買ったかな? 傷んだのと使い勝手が良くなかったのとで今は別のブランドの物を使っているが……(この薄情者め! と言って卵を投げつけないでください)。

そして新たに買った長財布もそのブランドの物。シンプルに中の小銭入れのジッパーさえも取っ払ったデザイン。薄くて比較的軽くて使いやすそうな気配。

今までは二つ折りをヒップポケットに押し込んで完結していたので財布を出すのが楽だったけど、長財布はカバンにinなので探すのに手間取る。カバンの中整理できないのです。

でもとにかく、新しい財布との新しい生活がはじまってちょっとウキウキ。東京ブギウギ。

出来ればこの長財布はずっと使えると嬉しいな。

では、こんな感じで。

志紀

おはようございます、こんにちは、こんばんは。 あなたの逢坂です。 あなたのお気持ち、ありがたく頂戴いたします(#^.^#)