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理想の森

この仕事をしていると、「一番好きな森はどこ?」と聞かれるが、実は困ってしまう。
釜石の森も奄美大島の森も、安達太良山の森も大好きだが、それぞれ個性があるからだ。

釜石には60年間も継続的に手入れをされた立派なスギの森があるし、
奄美にはモコモコと力強い生命力を放つシイノキの森、
安達太良山には天然ヒノキの北限と言われる森がある。
森ごとに異なる景色がある。

森に入った時の雰囲気でいえば、ブナやコナラ、クヌギ、ケヤキなどの広葉樹をメインに、スギやヒノキといった針葉樹がバランスよく生えている森が好きだ。
建築材料の視点では、広葉樹と針葉樹が混在していると材料を切り出すのが大変で、安定的な木材の供給が難しいという見方もできる。

森にはそのほか、渇水や洪水を緩和する水源かん養機能や山地災害の防止機能、二酸化炭素の吸収や貯蔵、騒音防止といった生活環境の保全機能、自然環境教育の場、野生動物の生息の場などの保健文化機能もある。

「森と生きる。」を掲げる僕らが理想とするべきは、持続可能な建築材料を生み出す森なのか、はたまた多様な生き物が息づく森か、自分が住んで心地よい森か。

最近、改めて森について勉強している。
学べば学ぶほど、好きな森が分からなくなっているというのが僕の現在地だ。

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