見出し画像

ほんよんだよ「新月の子どもたち」


「新月の子どもたち」斉藤倫さん著/花松あゆみさん画/名久井直子さん装丁/ブロンズ新社/978-4-89309-707-1

なんだろう。この文章の美しさ。と斉藤倫さんの作品を読むといつも思う。考えると、露玉かな、と頭に浮かんだ。しん、としていてきれい。風景だったり気持ちだったり、"自分で考える"余韻がとても心地よくて好きだ。

自分の声が変わるって、どんな感じなのだろう。兄がいるけど気づかなかったな。男の子とほとんど話さなかったからもあると思うけれど、クラスの子も気づかなかった。でも、小学生のときにはしゃべってた子が、大きくなってから、わお。久しぶり!の子に会っても、全く「声が変わったな」という感じがなかった気もする。

声、でからかわれたら、話したくなくなっちゃうな。(でも、自分では変えられぬ「声」で、からかわれたらもっと嫌になるな。どうしようもできないもの。
唯一無二の声で見出されて、ぴょーんと、飛び出せる人もいるけれど、それもひと握りだよね…)
(話がそれてしまった…)
自分ではどうしようもできないことの大人になるって、女の子も大変だけど、男の子も大変だ。

ふたつだけどひとつのお話。
忘れてしまったことがあるかもしれない。
覚えているけれど実行できないこともある。
“トロイガルド”から
消えたままでも、抜け出せないままでいることも、抜け出せても、きっとみんなそれぞれ心地よい場所があるのだろうな。
なぜ?だったり、どうして?だったり、何か疑問を抱いたりもやもやしたときに、自分にとって1番進みたいところへ進めるヒトでありたいな。と思う。
包み込んでもらえるような、一冊。今出会えたこともよかったけれど、小さいときにも出会ってみたかったな。でもやっぱり、出会えた今がいちばんぴったりなんだ。

この記事が参加している募集

読書感想文