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012「最果ての季節」そのうちわたしにも四時の見ている世界が見えるようになるのではないか。

 焼けた素肌は目尻に一筋の皺を刻み込み、細見だったからだは引き締まった胸板と肩とを目の前に構えていた。首から提げた二眼レフカメラは、当時まるでとってつけたような付属品に過ぎなかったのに、いまでは確かに位置を得るようになっていた。

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学生時代にとある公募で一次審査だけ通過した小説の再掲。 まさかのデータを紛失してしまい、Kindle用に一言一句打ち直している……

❏掲載誌:『役にたたないものは愛するしかない』 (https://koto-nrzk.booth.pm/items/5197550) ❏…

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