017「最果ての季節」わたしは四時の最果てを見てしまっていた。
ひとはね、名前のないものを怖がる生き物なのよ。山が最初からそこにあったんじゃないの。ひとがそれを山だと決めたその瞬間から、山は山としてそこに存在するようになったのよ。ひとにとって、名前のないものは実体のないものなの。それが恐怖を生むのね。怖いから、怖さを消すためにみんな名前をつけるのよ。理由をつけて、怖くない、怖くないって自分に言い聞かせてるのね。
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1,366字
学生時代にとある公募で一次審査だけ通過した小説の再掲。
まさかのデータを紛失してしまい、Kindle用に一言一句打ち直している……
小説「最果ての季節」
300円
❏掲載誌:『役にたたないものは愛するしかない』 (https://koto-nrzk.booth.pm/items/5197550) ❏…
「星屑と人魚」の冊子制作費に活用させていただきます!(毎年、文学フリマ東京にて販売しています)