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百田尚樹「永遠の0」

0(ゼロ)は零戦の0(ゼロ)のこと
義理の祖父を持つ姉弟が 戦中零戦パイロットだった実の祖父のことを調べるため 生き残りの人達を訪ね話を聞いていく
生きて帰りたいと言って周囲から臆病者扱いされていた祖父が なぜ最後に特攻で自ら命を落とすことになったのか…
真実がすべて明らかになるラストでは 読みながらいろんな想いが込みあげ ゼロにも他の意味が見えてくる 

特攻隊に限らず あの時代戦っていた人達はみな お国のために天皇のために喜んで死んでいったわけではない
人は道具なんかじゃなく感情を持つ生き物
喜んで死にたい人なんているわけない
それでも みな大事な家族のため愛する人のためと 死ぬ理由を自分なりに見つけて納得して戦っていたんだろう
死ぬことと向き合うということは 自分はどう生きるかということと向き合うのと同じ
どう生きたいのか みなそれを考えて死んでいったんだと思う

「たとえ死んでも、それでもぼくは戻ってくる。生まれ変わってでも、必ず君の元に戻ってくる。」

また逢いたいと思うのも 君の元に帰りたいと思うのも 相手の幸せを願うのも ただ見守るのも
たぶんそれは全部 多くの不器用な男の人達のせいいっぱいの愛情
言葉はなくとも 形あるものはなくとも それは伝わり ずっと心の奥に灯をともし続けるものなんだろう

ゼロは何もない状態だけど すべて失くしてもまたそこから始められるという意味だと思う
私たちは 永遠にまたゼロから始められる

無いことを憂うより これから与えてもらうものや手にするものを大切にしよう


(2013.01.30)

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