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北村薫「夜の蝉」

人の悪意の恐ろしさを書いた二篇「朧夜の底」「夜の蝉」
やさしく清々しい「六月の花嫁」

「夜の蝉」が一番よかった 
姉妹の葛藤と愛が軸になっているが 胸の奥にずしりときたのは お姉さんの恋敵の行動
自分の欲しいものを手に入れるためなら何でもする 人を騙し陥れる お化けになってでも…
理性も常識も自分のプライドをも吹っ飛ばして感情の赴くまま生きる こういう人間も世の中にはたくさんいるんだろう
こわい こわいと思う
その人がじゃない そういうふうに生きられる人がちょっと羨ましいと一瞬思った自分がだ

内に何かを秘めない人はいません。何をどれぐらい表にし裏にするかは人によって違います。どんなにしてもいえないことというのは誰にでもあるのです。ある意味では、その割合こそが、動かしようのないその人らしさを作るのでしょう。
結局、物事を見るのは自分なのだ。基準は自らのうちにある。
要はいう人の心しだいであったかくなるのが言葉じゃありませんか



(2008.02.26)

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