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【動画】イベントレポート『源流のある町』刊行記念対談 松下育男×草間小鳥子

Poetic Mica Dropsの詩担当・草間小鳥子の新詩集『源流のある町』(七月堂)の発売を記念し、版元の七月堂の店舗にて、イベントが開催されました。
この記事では、作者・草間小鳥子と、ゲスト詩人・松下育男さんとの対談の模様をレポートします!

イベントは当日、インスタライブでも配信があり、アーカイブもお楽しみいただけます。
お暇な時に、ぜひご視聴ください!

▼【アーカイブ配信】松下育男×草間小鳥子『源流のある町』刊行記念対談「町の記憶と詩を書くこと」

▼詩集『源流のある町』商品情報

対談は、横浜市青葉区にある「こどもの国」を舞台とした詩「手をふる 手をふる」の話題からスタート。
この作品は、戦時中に弾薬庫として使用されていた公園の歴史をもとに再構築したもの。
松下さんが詩を書くときは、自分の肉体に近いところから詩を深めていくそうですが、草間は自分から最も遠い場所から、徐々に肉体へと近づけていくように詩を書いている、と、詩の書き方の違いが浮き彫りになりました。

草間
「小さい頃から、社会課題に関心を持ち、自分と違う環境や感情を想像し、思いを馳せるべきという使命感のようなものがあった。詩の発送は新聞から。テーマについては、かなり調べてから書きますね」

松下さん
「企画書のようにきっちりと構成し、それに沿って仕上げる感じ?」

草間
「『こうしたい』というイメージへ近づけようとはするが、その通り書けてしまっては面白くならない。やはり、作者の思いも寄らないような飛躍がほしい」

(松下育男さんの、重版出来でいま大人気の詩集はこちらです!)
▼『これから詩を読み、書く人のための詩の教室』(松下育男 著 思潮社)

児童文学作家の草間の母が登場する詩「役に立たないものについて」から、幼少期の自分の居場所を変えたくても変えられないもどかしさを描いた「ハセガワマートの爆発」を経て、話題はさらに、散歩をすると詩が書けるのはなぜか? というテーマへ。

松下さん
「いつも散歩する道に、だいたいいつもと同じ時間に、向こうからひとりうつむいて歩いてくる少女がいる。その子のことを思うとかではないのだけれど、なぜか彼女を見ると、『生きることの意味』のようなものがぽん、とおりてきて詩ができる」

草間
「散歩していると『土地に憑依される』感覚がある。例えば、その土地で起きた出来事、その時々の人々の感情の重層的な堆積に突き動かされる。それらをしずかに目撃してきた路傍の木々に見られている、と感じることも」

互いに詩を愛しながらも、詩が生まれる過程や出来上がる行程には多くの違いがあることがわかった、おもしろい時間でした。

最後は、家庭や仕事を持ちながら詩を書くという難しさやエネルギーの出処について。

草間
「仕事のやりとりから詩の種をもらうこともあるし、子どもとの体験が詩の題材となることも。それぞれが支え合うことで成立しているように思う」

仕事や家庭のさまざまなことに追われ、なかなか詩が書けずに悶々としている時間も、その焦燥感も、自身の詩を育んでくれているはずだと信じています、と草間。

配信終了後は、松下育男さんの詩の朗読がありました。
草間の詩集の舞台となった、「横浜市青葉区」が登場する詩で、現代詩文庫『松下育男詩集』(思潮社)におさめられています。
ぜひ、さがしてみてください。http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_2470.html

今回の対談が、詩を書く人、読む人、そして生きる人々の糧となれば幸いです。
ぜひ、詩集とあわせておたのしみください!


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