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人生を豊かにする中国古典の名言#61

【今日の名言】

相思千万里、一書千金に直たる
(読み:ソウシセンバンリ、イッショセンキンにアたる)

李白『寄遠』其十

思い人は遥か遠くの地。私の思いを届けようとするこの一通の手紙は、千金にも値する大切なものだ、という意味。

「はるか遠くの地に出征している夫に手紙を送ろうとする妻」を題材にしています。

送り手の切ない想いがひしひしと伝わってきますね。


昔の時代は、言葉一つを伝えることさえ、とても大変なことでした。

筆記具や手紙自体も高価ですし、そもそも文字が書けない人の場合は代筆を頼まなければなりません。

苦労して手紙を書いたとしても、その手紙がきちんと相手に届くかどうかは別問題です。

手紙一つを運ぶのにも大変な時間と労力がかかりますし、前線では戦の真っ最中ということもありえます。

もしかしたら、手紙が届く前に相手が亡くなってしまうかもしれません。

受け取り手がいなくなってしまった手紙は、とても悲しいものです。

そのような時代だったからこそ、当時の人々は言葉の一つ一つに万感の思いを込めていました。

昔の手紙は、まさに千金にも値する思いのこもった品だったのです。


翻って、現代ではどうでしょうか?

恥ずかしながら、私はほとんど手紙を書いたことがありません。

小学生のころに少し書いたような気もするのですが、メールやLineなどが主流となり、いつのまにか年賀状すら出さなくなってしまいました。

昔はアナログであることに何の不満も抱いていなかったのですが、いつの間にかデジタルの便利さに毒されてしまったのでしょう。

いつでもどこでも、スマホ一つであっという間に言葉を伝えることができるので、わざわざ手紙や葉書を出さなくても良いかな、と感じてしまっているのです……。

そんな折、文房具屋さんに足を運ぶ機会がありました。

4月始まりの手帳を探しに行ったのですが、そのときにふと便箋コーナーが目に入ったのです。

便箋なんて見るのも久しぶり。

「時間に余裕もあるし、せっかくだからちょっと見てみようかな」

そんな軽い気持ちで売り場を見始めたところ、私の目に色とりどりの便箋が飛び込んできました。

ビジネスに使うようなカッチリしたものではなく、動物がモチーフとなったものや可愛いイラストがデザインされているもの、ほかにも淡い色合いが素敵なものなど、びっくりするくらい様々な種類の便箋が並んでいたのです。

気づいたら、送る相手もいないのに、いくつか気に入った便箋を手に取ってレジに並んでいました。

驚くことに、そのときの私は、これから文字を手書きすることを想像してワクワクしていたのです。

お店からの帰り道、そういえば子供のころにもこうやってワクワク・ドキドキしながら手紙を書いていたなぁ、とふと思い出しました。

アナログの良さを思い出した瞬間です。

現代を生きる私では、昔の人のように、千金に値するような手紙は書けないかもしれません。

それでも今の私であれば、昔の自分よりももっと価値のある手紙を、自分にとってもっと意味のある言葉を、文字にすることができるのではないか、とそう思えています。

差し当たっては、未来の自分か家族に向けて、手紙をしたためてみようかなと思います。

ちょっと恥ずかしい気もしますが、たまには手書きで近況を伝えてみても良いですよね。

李白の漢詩を思い出しながら、そんなことを思ったとある春の一日でした。


今回ご紹介した言葉は、以下の回でも取り上げています。

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前回の名言はこちら👇


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