自分への誠実さを大事にしよう(『大学』傳六章)
今回取り上げるのは『大学』傳六章からの言葉。
立派な人は、一人でいる時にも必ず身を慎むものだ、という意味。
つまり、周りに他人がいないときでも自分の言行を慎み、誠実な行動を心がけなさいということですね。
誠実さについて、『大学』では以下のように定義しています。
誠実さというのは、自分の本心を欺かないことである、という意味。
こちらの言葉は、以前にも取り上げたことがありますね。
誠実さというのは、相手にだけ向けられるものではありません。
むしろ、すべての行動の芽は私たちの心に根ざしていることを考えると、まずは自分に対して誠実であることが大事だと思います。
自分の気持ちに蓋をして、やりたくないことを続けたり、
嫌なことをされているのに、我慢し続けてしまったり。
自分の本心を騙し続けるのは、とても辛いことです。
周りの環境がそうさせているのかもしれませんが、自分の気持ちに嘘をつき続けていると、いつかどこかのタイミングで心身に限界が訪れてしまいます。
限界が来る前に、自分に対しての誠実さを取り戻しましょう。
幸い、記事投稿時点では新年度間近。
新年度は周囲の環境が変わりやすい時期です。
これまでと違う自分を目指して行動するのに、打ってつけの季節でしょう。
新たな自分に生まれ変わるためにも、この機会を活かして、一人でいるときに自分に対して誠実になる練習をしてみてはいかがでしょうか?
読んでみたかった本を手に取ってみたり、遊びに行ってみたかった場所を訪れてみたり。
自分が「やりたい!」「楽しい!」と思うことをやってみるのです。
あの孔子も、心から楽しむことを大事にしていました。
好きでやっている人は、楽しんでやっている人に及ばない、という意味。
何事も楽しむ気持ちが大事ということですね。
自分の本心に叶っているものであれば、やっていて楽しいと思いますし、楽しいことをしていればメンタルも安定します。
リフレッシュもできて一石二鳥ですよね。
もしもやりたいことが見つからない場合は、近くの書店に行ってみましょう。
「繊細さん」シリーズの著者で有名な武田友紀さんは、何をしたいか分からないときこそ、書店に足を運んでブラブラするのをおすすめしています。
店内を気ままに歩いて、ふと目に入った表紙やタイトル、手にとりたくなる本を探すのです。
そして、手に取ったときに、ほっとするもの、ふわっと気持ちが明るくなるもの、ワクワク感のあるものが「今、やりたいこと」だ、と述べています。
私も書店でこういった経験があるので、自分の本心が迷子になってしまったときには、書店に行くのがおすすめです。
ただし、いくら心からやりたいことであろうとも、他人に迷惑をかけるようなものはNGです。
『大学』でも以下のように注意しています。
器の小さな人間は、暇になるとあちこちで悪いことをする、という意味。
いくら自分に誠実であったとしても、それは他人に対して誠実ではなくても良い、という理由にはなりません。
自分にも他人にも誠実であること。
そして、周囲に人がいてもいなくても言行を慎み、自分の気持ちに嘘をつかないこと。
それが『大学』における、君子の理想の姿なのです。
周りに他人がいないときでも自分の言行を慎み、誠実な行動を心がけなさい、という言葉をご紹介しました。
春が来て暖かくなってきたせいか、一人でいるとついついダラ〜としてしまいそうになりますが、周りに人がいないときこそ、身を慎む意識が大切です。
せっかく暖かくなってきたので、自分の心に耳を傾け、自分が本当にやりたかったことをやってみましょう。
私もお休みの日に書店や神社に行ってみたいなと思います。
4月に向けて、自分の気持ちを大切にしていきたいですね。
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『論語』をはじめとする、さまざまな書籍を読むことができます。
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