目の前の利益ではなく、思いやりの心に従って生きたい(『論語』里仁篇)
今回取り上げるのは『論語』里仁篇からの言葉。
利益本位で行動すると、怨みを買いやすくなる、という意味。
孔子自身の言葉です。
つまり、利益のために行動すると余計な怨みを招きやすいから、仁の心に基づいて行動しなさい、ということですね。
孔子といえば仁の人で有名です。
そのイメージから、孔子はお金や権力を得ることを否定していたと思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実は彼は、利益を得たり、高い地位を得たりすること自体を否定していたわけではないのです。
財産と地位は、人々が欲しがるものだ、という意味。
孔子は、人としてお金や地位に興味を持つのは当たり前だと考えていたのです。
実際、弟子から就職相談を受けた際にも、孔子は丁寧に回答しています。
ただし、孔子はどうやってお金や地位を手にいれたのか、ということを気にしていました。
正当な手段で手に入れたものでなければ、仮にお金や地位を得たとしても、そこに安住してはいられない、という意味。
孔子の生きた時代は戦乱の時代です。
国家を動かす政治家たちの間では権力争いが盛んに行われていました。
自分たちが権力を握り、お金と地位を手にいれるためです。
ですが、利益本位で動くと多くの人々から怨みを買うことになります。
そのため、やっと国内で権力を握った者も、またすぐに別の権力者に座を追われるような始末。
政治家たちの権力争いが長引けば長引くほど、国家としてきちんとした政治を行う余裕はなくなってしまいます。
こういった状況で一番苦しむのは、何の罪もない一般の民衆たちです。
孔子は長い放浪生活の中、各国で苦しむ一般民衆の姿を間近で目にしてきたのでしょう。
仁の世が実現しないのは、政治家たちが余計な権力争いにばかり精を出すからだと考えていたかもしれません。
そこで孔子は、富と地位を求めるのは構わないが、そのためには正当な方法で求めなければならない、と考えたのです。
その正当な方法とは、行動が仁に基づいているかどうか、ということ。
仁とは、誠実に相手に向き合う心のことです。
現代で言えば、思いやりですね。
戦乱の時代には少し理想論すぎるかもしれませんが、少なくとも利益本位で行動した場合よりは怨みを買うことは少ないと思います。
特に、人間関係が複雑化している現代では、とても有用な考え方ではないでしょうか?
悩んだときは、目の前の利益ではなく、自分の思いやりの気持ちに従って判断できるようになりたいなと思います。
利益本位で行動すると、怨みを買いやすくなる、という意味。
「お金に目が眩む」という言葉もありますが、自分の心を無視して目の前の利益本位で行動してしまうと、余計なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
ネットで色々な人と簡単につながることができる時代だからこそ、相手への思いやりを忘れずに行動していきたいですね。
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