見出し画像

春の匂いがわかる君

冬の匂いと春の匂いが6:4くらいになってきたね

と私が言うと、君はこう返す。

6.5 : 3.5くらいじゃない?

もう一度、大きく吸い込んで味わうと
細かいけれど、あ、たしかに、と納得。


季節の匂いがわかるとこ、わずかなニュアンスの差も大事にしてるとこ、細かいなぁとも思うけど、そんなところもいいと思う。

感覚が共有できることを、嬉しく思う。


冬の匂い、春の匂い、季節の変わり目は次の季節が混ざりはじめて、なんだかドキドキする。それは日によって6:4だったり7:3だったり。

冬の匂いって何?と不思議そうに言われることもあるので、当たり前のように分かり合えるって嬉しい。
うん、嬉しい。

たまに君が言う感覚がわからない時があり、少し寂しくなる。
同じものがみえていないって、少し寂しい。
うん、寂しい。

それでもほとんどがわかるから、一緒にいて楽なんだ。

春の匂いも、雨の匂いも、朝の空気も、何だって、君と分かち合いたいと思う。わかるよね?って確認し合いながら、わかることを愛でていたい。


自分の中にある不確かな感覚を、

こんなに分かり合えるのに、

君は家族でもなくて、

恋人でもなくて、

ただの友達。


だからこそ良いのかもしれない。




#感覚 #ショートストーリー #エッセイ #友達 #恋愛 #片思い #もっと金曜ビター倶楽部 #季節の匂い #詩 #散文詩

サポートとても嬉しいです。凹んだ時や、人の幸せを素直に喜べない”ひねくれ期”に、心を丸くしてくれるようなものにあてさせていただきます。先日、ティラミスと珈琲を頂きました。なんだか少し、心が優しくなれた気がします。