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隙を好む人と、完璧を好む人。

「彼女の無防備な姿を見るのが好きなんです。」

と彼は言った。彼は、女性の隙に惹かれるのだと話す。

「バリバリ化粧してる顔よりも寝起きのスッピンのほうが好きだし、教理上手よりも失敗しながらも一生懸命作ってくれたりする方が嬉しい。なんなら上手く作れなくてしょんぼりしてるのとか可愛いんですよ。香水でいい香りよりも、汗の匂いとかがした方が興奮するし、急に家に行ってピカピカの家よりちょっと散らかってて漫画とか積んでたりする方が可愛いなってなりますよ。」

なるほど。完璧よりも、隙があるほうが可愛いってことなのかしら、と解釈して納得する。


そういえば、昔お付き合いしていた彼は逆に完璧さを求める人だったな、と思い出す。スッピン派の男なんて嘘、と言っていたし、将来奥さんにはお金出すからまつ毛エクステと美容院とエステは継続してほしいとも言っていた。お風呂の排水溝や脱衣所の床の髪の毛をその都度キレイにしておかないと不機嫌になるし、仕事のできるタイプが好きで、段取りが悪いのもはっきりしないのも嫌がった。ものを知らないと「そういうところがなぁ〜」とチクリと言われるし、太るとチクチク言われるし、服装が気に入らないとこれまたチクリと言われる。肌も白くてすべすべじゃないといけない。かかとがカサカサだと萎える、と言っていたのを付き合う前に聞いたことがあったから私が勝手にそう思っているだけかもしれないけれど。

そんな彼といると、理想の自分に近づける気がしていた。だから丁度良いと思っていた。私は私で、完璧な自分を追い求めていたから。見栄っ張りな黒豹同士、それはそれで良かったのかもしれない。けれど、本来ズボラな私は、毎日髪の毛が落ちていないか気にしながら暮らすのは疲れるな、と思った。眼鏡を外したら床の髪の毛なんて見えてないし、神経すり減らないか、と不安になった。


それからというもの、完璧さを求める人は疲れるなと思うように。

なので冒頭の男の子の話は、とても素敵だなと思った。

完璧を好む人が悪いわけじゃない。これは相性の問題なんだと思う。私は綺麗好きでもないしズボラな性格なので、完璧を好む人よりも掃除をサボって「テヘヘ」と笑える人を見つけないといけないよなぁとぼんやり思った。寝坊したり、忘れ物をしたり、失敗があっても笑い合えるような。

ありのままを見せられる人。結構難しい。

これからは、ありのままの自分をさらけ出せるような人を見つけたい。



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