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居候


今日も変わらず、娘と登校。

今日の朝になって、縄跳びがないと泣き出すので、学校指定の文房具屋さんで¥130の緑のビニールなわとびを買って、娘の機嫌が直る。

今日も学校の近くまで来ると、繋いでいた手を離す娘を横断歩道で見送って、商店街の入り口の角にあるコンビニへ行く。

朝の商店街は、殺気立っている。

活気があるわけではない。

通勤ラッシュである。

自転車レースのように、皆先を急いで、必死の形相。

どこを見ているか知らないが、前さえ見ていない人もいる。

あまりに怖いので、十分に距離を置いて、互いに被害のないように努めて歩く。

対照的にコンビニの隣にあるパチンコ屋には無精力な顔が列を作っている。

以前ウチに居候していたのも、こんな顔をしていた。

今はどこで何をしているか知らない。

金が欲しいと言うので、ハローワークで調べると原発の除染が一番高給だった。

原子炉の近くになればなるほど高給である。

太く短く生きたいのだと言う。

彼はすぐに、福島に向かった。

その後、配管工になったようである。

1年くらい経った頃、ひょっこりウチに来た。

今は車を友達から買ってドライブが趣味になっていると言っていた。

ちょっと、太っていた。

血色が良くなり、無精力な顔ではなくなっていた。

それも数年前の話である。

今はどうしているか知らない。

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京都のアトリエカフェ/Atelier Cafe in Kyoto
芸術倶楽部 亀甲堂/Art club KICCOUDO


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