宣伝会議賞におけるプロとアマチュア

宣伝会議賞は、名目上は「コピーライターの登竜門」という主旨があるにせよ、過去のグランプリなど一部の受賞者を除いて、年齢・職業問わず誰でも参加できる。現在、課題の案件を実務で担当してさえいなければ。

広告業界の人ばかりではないし、中には主婦の方や学生さんもいる。応募の目的は人それぞれで、広告業界への就職・転職のきっかけにしたい人もいるようだし、この賞に限らずいろいろな公募に挑戦して賞金を狙う人もいれば、仲間との出会いを期待する人もいるようだ。個人的には、少しでも名前を売ろうとか、賞歴をつくろうとか、仕事では書けないコピーを書こうとか、まあ大体そんなようなところです。

ただ、一応コピーライターで生計を立てている身として宣伝会議賞に取り組んでいると、ごくたまに、そのようなプロのコピーライターじゃない応募者(この場合「アマチュア」と言っていいのかな?)のことが、どうしようもなくうらやましくなる時がある。それは、SNSなどで「今日は○本書きました!」とか「全部で○本に到達しました!」といった進捗状況を報告したり、「今日書いたものには自信がある!いいのが書けた!」みたいな内容の投稿を見た時だ。

決めつけて申し訳ないけど、このような投稿をする人は、おそらくプロじゃない人だと思う。というのは、これってプロにとってはなかなかにリスキーだ。申告した応募本数が多ければ多いほど、もし受賞できなかったときに「そんなに応募したのにその結果?仕事任せて大丈夫?」と信頼を失うかもしれない。自分で自信満々と言っていた作品がもし一次審査にも残らなかったら、「受け手を無視した独りよがりのコピーを書く人なのかな?それってプロとしてどうなの?」となるかもしれないし、最悪「コピーを客観的に選ぶ目なし」の烙印を押されかねない。場合によっては、コピーを書く力より、選ぶ力のほうが重要と言われることもある。なので、プロがそのような投稿をするのは、メリットよりデメリットが多いように思える。(もし投稿された方の中にプロの方がいらしたらすみません。ご自身に自信があって、そういう意味でもうらやましいです。批判する意図はありません)

こういう投稿をプロじゃない人がやるぶんには全然問題ないと思う。受賞できれば、それだけ頑張ったからこそ!さすが!と評価されるし、もし結果が出なくても、プロじゃないんだからダメで元々。結果的にSNSを通じて出会いも生まれただろうし、まさにノーリスク・ハイリターン。負けのない戦。一方、プロはリスクを恐れて、結果が出るまではひたすら沈黙を守るしかない。SNSで盛り上がってるのを見ると、「アラいいですね、ナイスですね」といつもうらやましく思う。

はいというわけで、以上、「末端コピーライターの妬み・嫉み・僻みのコーナー」でした。それでは皆さん、体調に気をつけてラストスパート頑張りましょう。

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