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戦乱の世に咲く恋物語/雨咲はな「鳴かぬ緋鳥の恋唄」

声も記憶も失った少女と、海賊として生計を立てる島の頭領の、戦国恋物語

「鳴かぬ緋鳥の恋唄」は、雨咲はなさんの戦国時代を舞台にした恋物語です。

海賊が群雄割拠する瀬戸内の、とある島に流れ着いた少女は、声が出せず、自分についての記憶も失くしていました。島の頭領である千早は、彼女に「ひな」という名を与えます。しかし、千早のひなに対する警戒心は消えません。ひなは周囲に迷惑をかけまいと奔走しますが、失敗ばかり。しかし、何事にも直向きで健気な彼女に、徐々に島の人々は心をゆるし、千早の心をもほぐしていきます。しかし、ひなには、ある重大な秘密がありました。戦乱の世の狭間に咲く、純粋な恋の物語です。

この本はこんな人におすすめ

①少女漫画のような展開の小説が好き
②歴史、時代モノが好き
③ミステリー要素のある恋愛小説が読みたい

それでは、この本の魅力を紹介していきたいと思います、ぴょん!

*戦国時代が舞台の小説

本作は、戦国時代の瀬戸内海にある島が舞台です。当時は海賊が多く存在しており、海を通る船から交通料として荷をもらったり、あるいは略奪行為をしたりと様々な海賊がいました。千早が住む島は前者で、島に暮らす人々と共に、穏やかに暮らしています。

また、戦国時代と聞くと戦国武将や華々しい合戦の様子が浮かびますが、本作では庶民の生活に焦点が当てられています。慎ましくも和やかな暮らしに、「もし自分がこの島に住んでいたら」と想像せずにはいられません。

*ひなと千早を取り巻く人々

ひなと千早の関係性の変化にも要注目です。千早は当初、ひなを余所者扱いして警戒しますが、段々と心を開いていきます。そしてひなも、ふとした瞬間に垣間見える千早の優しさやあたたかさに惹かれていきます。また、千早の部下の三左や、幼馴染みの十野のキャラクターも魅力的です。

そして、物語の中には一貫して、「ひなは何者なのか」という問いが付いてまわります。徐々に彼女の生い立ちが明らかになっていく様子には、ミステリー要素もあります。また、「緋色」という言葉がキーワードになっているので、是非チェックしてみて下さい。ちなみに、「緋色」とは、やや黄色っぽい赤のこと。平安時代から使われている、非常に長い歴史をもつ色です。

千早とひなの恋愛模様にドキドキし、明かされるひなの正体にドキドキし、ただでさえ小動物は心拍数が高いので、こうさぎは大変でした……。
ですが! 非常に素敵な作品だったので、続刊を期待したいです。富士見L文庫さん、よろしくお願いします、ぴょん!
本作を読んで、ひとときでも戦国の世界にタイムスリップするような気分を味わってみて下さい、ぴょん!


(2021年5月1日にはてなブログで公開した記事を、一部加筆修正しました。)

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