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【ゲーム紹介】『パワプロクンポケット10』(DS)

今回紹介するゲームは『パワプロクンポケット10』です。2007年12月に発売されました。

【特徴】
アクション野球が完全3Dとなり、実況が追加されたことで、臨場感ある試合を楽しめるようになりました。リアルになったことでモーションも追加。
ミートカーソルは7段階から15段階に変化しました。ミートカーソルが小さい場合はパワーがすべて反映されません。
また、投手のスタミナが表示されるようになるほか、用語辞典も実装されるなど、様々な便利機能が多数追加され、快適に遊べるようになりました。

ストーリーを楽しみながら選手を育成する「サクセス」モードは「甲子園一直線」編と「バトルティッガー」編の2つ用意されています。

「甲子園」編はその名の通り高校野球編であり、甲子園出場を果たすことができればクリアとなります。ただし、イベントの都合上、挑戦できるのは2回のみです。
ストーリーは野球一筋の主人公が親切高校へ入学するところから始まります。
しかし、そこは休日以外は外出禁止で、外出のためには校内通貨である「ペラ」が必要な閉鎖的世界。また、ボランティア活動の義務化、必ず運動部に所属しなければならない等、厳しい校則が設けられていました(←いつの時代だよww)。
また、男女の恋愛禁止令が敷かれており、破ると罰則があります。そのため、1年目は男女の校舎が別になっています(2年目から共学)。

野球部でも厳格な上下関係が徹底されており、寮では強制的に先輩との共同生活を送らなければなりません。洗濯などの雑用を押し付けられたり、弁当やお菓子を勝手に食べられます。あまりの理不尽さに主人公は面食らいますが、果たして3年間を無事に過ごすことはできるのか・・・。
というお話。

また、天才的な野球センスを持つ「天道翔馬(てんどう しょうま)」との出会いにより、主人公は彼をライバル視することになります。150kmを超える速球と高度な打撃能力を持つ天道は地方大会の決勝で戦うことになるため、彼に勝たない限り甲子園に出場することはできません。

育成システムは練習で経験値を得ることで能力を上げるものですが、本作では「野球センス」という概念も導入。ポイントを溜めることで能力を上げたり、特殊能力を習得できます。この「野球センス」を上手く使うことが強い選手を育成するコツです。

主人公のチームメイトも、野球のルールは詳しいのにそれ以外のスポーツのルールはてんで理解できない天性の野球バカ、「越後」や、お馴染みのメガネキャラ「荷田」など個性溢れるキャラが盛りだくさん。パワプロシリーズの「友情タッグトレーニング」こそありませんが、キャラ毎に用意された特定のイベントを見ることで主人公との間に信頼関係が生まれ、該当キャラも大きくパワーアップします。

また、条件を満たすことで女の子と会うことができます。
ただし、本作は外出禁止な上、1年目は男女が隔離されており恋愛も禁止されている関係上、他の一般的ギャルゲーでは見られないような奇妙な出会いや逢瀬を見ることができます。一緒に映画館や遊園地に行く、みたいなギャルゲーでよくある展開は一切ありません。外界から隔離されてますからねww
なにしろ、最初の出会いが「森で偶然会う」ですから(全員ではないですが)。しかも、森には警備員や番犬がいるため、会いに行くだけでも一苦労という有様。「デート」コマンドはありますが、正直一般的なギャルゲーのような「甘い」デートを期待していると肩透かしを食らうと思います。なかなか厳しい世界ですからねww

現代から見れば時代錯誤も甚だしい世界観ですが、個人の人権や交通・通信手段が発達していなかった時代の恋愛というのはこういうものだったのでしょう。親なり地域社会からの妨害が激しく、自由に会って話すこともできなかったのでしょう。それに比べれば現代は恵まれているのかもしれません(現代は現代で別の問題がありますけれど)。
現代ではマッチングアプリすらあるくらいなので、こういう経験はなかなかできないでしょうね(したい人もいないと思うけどww)。そういう意味で遊んでみる価値はあります。昔の恋愛は命懸けだったことがわかるのではないかと思います(よくわかりませんがww)。

◯◯(地名)はデートできる場所がない、とか不満をこぼす人もいると思いますが、そういう人にこそ本作を遊んでいただきたい。主人公とヒロインは閉鎖的な学校の森で楽しく会話して過ごしたりします。娯楽がない抑圧的な世界でも工夫して楽しく過ごせる。貧困な発想に陥らないようにしたいものです。
好き勝手恋愛しておいてガタガタ文句を抜かす「方々」は、本作のとあるヒロインの悲しい結末をしっかりと見届け、それでもなお同じことができるか、ぜひ一考を願いたいところです。

まあ、それはともかく、ヒロインのシナリオはパワプロクンポケット特有のダークなものが多く、賛否が分かれると思います。甲子園優勝がグッドエンド条件という難易度の高いキャラもいます。その代わりにグッドエンドを迎えることがときの喜びも大きいですね(一部のバッドエンドはトラウマレベルですが・・・)。

知らない方向けにパワポケのヒロインルートの特徴について説明します。
パワプロやときメモのヒロインの場合、好感度を上げることがクリア条件になることがほとんどです。
しかし、パワポケの場合、好感度を上げるだけではダメなことが多いです。ヒロインが何らかの問題を抱えており、それを解決に導くことがクリア条件になることの方が多数派な気がします。だからシナリオが濃くなるわけです。良くも悪くもww


「バトルティッガー」編はローグライクとRPGを合体させたような作品。
ストーリーは2章構成。第1章は50日間で仲間を集め、3つの遺跡内にある宝を見つけることが目的。バトルティッガーと呼ばれる戦車に乗って遺跡に潜入します。遺跡は地下20Fまで存在し、5F毎に地上へ戻るワープ装置があります。
敵のレベルも5の倍数の階層で上がるため、戦闘には充分注意が必要。
遺跡は5日毎に入ることができるため最大10回挑戦できますが、仲間集めやイベントの消化、さらには最終日のボス戦に備えることを考慮すれば、実質的なチャンスは8~9回です。
なお、宝を見つけなくても最終日のボスを倒せばクリア自体は可能です。しかし、次の章に進むさい、なるべくレベルアップした方が良いため、遺跡のクリアは実質必須です。 

第2章には時間制限はなく、ずっと遊ぶことができます。ひたすら遺跡内にある野球人形の体のパーツを探し、それを組み合わせて選手を作れます。これがメインですね。
地下に潜るほど強力なパーツが見つかりますが、そのぶん敵も強くなるため、無理は禁物です。ゲームオーバーになるとペナルティ。仲間が1名死亡します(蘇生不可能)。
ゲームオーバーが続いて仲間がいなくなったら、実質的にまた1章を再開することになりますね。

バトルティッガーには燃料があり、0になるとゲームオーバーです。他にもバトルティッガーや主人公の体力が0になってもゲームオーバーです。

ゲームスタート時、主人公は『レッドドラゴン』『ブラックタイガー』『ホワイトベア』のいずれかの陣営に加入します。選んだ陣営によって仲間・ダンジョンの入る順番・ストーリー・イベントが変化します。

ダンジョンはバトルディッガーで進むだけでなく、降りて徒歩移動もできます。降りると戦闘能力が落ちますが、徒歩でのみ通過可能な狭い通路も存在します。バトルティッガーに乗っている間はシンボルエンカウントですが、徒歩移動中は見えない敵とのランダムエンカウントが発生します。強い上に主人公たちも打たれ弱くなるため危険です。何度悔しい思いをしたことか・・。

ダンジョンに入ると自動セーブされます。ダンジョン内で中断できますが、ゲームを再開すると消えてしまうため、遺跡内でリセット、ゲームオーバーの場合はダンジョンに入る前からやり直しです。


他にも育成した選手をペナントレースに参加させ、さらに強化できる「俺のペナント(俺ペナ)」もあります。目標達成しながらプロ野球のペナントレースを疑似体験できるモードです。ひたすら試合をするだけなので、パワプロの「マイライフ」モードのように趣味を楽しんだり、家を買ったりなどはできません。硬派なモードです。

BGMはDS音源のため、音質はあまり良くないものの、名曲揃い。
サクセス3年目BGM「燃え尽きるぜ~」、グッドエンドBGM「いいんじゃね~」、ガンダーロボ戦BGM「また出やがりまして」、前作で人気だった「しんみり子」も収録。

筆者のイチオシは「戦っちゃいますか?」で、この曲はなんと千葉ロッテマリーンズの応援歌にも使われました。


明らかに子ども向けではない描写があるのにCERO:A指定される、野球そっちのけでダークな話が始まる、野球がパワプロの劣化、などネタにされることも多い「パワポケ」シリーズですが、やってみるとなかなか楽しめます。
同じDS作品の8や9よりは遊びやすいと思うので、興味を持った方はゲームショップで探してみてください。多分そんなに高くないと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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