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【挫折した大作に再挑戦】プルースト『失われた時を求めて』の読み方



1.完読が難しい理由

文学好きであれば誰もが一度は完読を夢見る『失われた時を求めて』。しかし完読はかなりハードルが高い。まずはその理由を説明しよう。


(1)物語の時系列が複雑だから


(2)比喩表現が多彩かつ複雑だから


(3)登場人物が多すぎるから


(4)知らない言葉がたくさんあるから


2.完読するためにできること

(1)入門書を読む


(2)引用文献、参考資料を読み込む


(3)第1部 コンブレーを精読する


3.読もうと思ったきっかけ


大学時代、図書館で見つけた本だが、あまりの長さに驚愕した記憶がある。ぼくが同書を読みたいと思ったのは、漫画版の『失われた時を求めて』を読んでからだった。

漫画プルースト
まんがで読破『失われた時を求めて』

文庫版で10冊以上ある作品を300頁強でまとめている。当然、かなりの部分が省略されているわけだが、あらすじをつかみたい人にとっては最適だ。とくに最終章の大団円が素晴らしい。当時、まさにマドレーヌのシーンと同じく、「えも言われぬ快感」が身体によび起こされたのを覚えている。これが読みたいと思うきっかけだった。


4.あらすじと読み方

主人公の「私」が眠れない夜に回想するシーンから物語は始まる。この冒頭が最初の挫折ポイントなのだが、幼少期の思い出(母親に甘えていた思い出と、家族の思い出)を回想している。まずはこれだけ押さえておけばいい。プルーストを読むコツは(読破していないぼくが言うのも難だけど)、

「一度に全部を理解しようとしないこと」「時系列と比喩を意識する」
この2点だ。
研究者でも意味不明に思える箇所があるらしい。ましてや素人が読めばわからないところだらけなのは当たり前。
わかるところから読み進めればいいのだ。
その方が早く理解できるし、何より物語に入り込みやすい。
プルーストの文章は「脱線」が他の作者より圧倒的に多い。
そのすべてに付き合っていると、読者は
精神を消耗してしまう。
だから一巡目はわからないところを
飛ばして読んでもいいだろう。
豊富な比喩と時系列の錯綜は本書の特色だが、これは
「今、何の話をしているのか」
ということを混乱させてしまう。
だから、今作者は、
「現在・過去どちらを語っているのか」
「本題か、比喩か」
ということを意識して読むといいだろう。
それで多少の混乱は防げる(多分)。
回想が終わると、現在に時間が戻り、
マドレーヌを紅茶に浸して食べるシーンが
出てくる。作者はそこで、幼少期の記憶を全面的に思い出す不思議な体験をして、また回想シーンに戻る。
このシーンは一度読んだら忘れられなくなるほど強烈なので、ぜひ読んでほしい。
そのシーンの詳細については次回語りたい。10ページ弱の分量だが、密度が圧倒的に濃いのでとてもここには書ききれない…。

5.最後に

難解ではあるが、多くの人に影響を与えてきたプルースト『失われた時を求めて』。
もしこの記事を読んで興味を持った方は
ぜひ手に取って頂きたい。
ぼくもこの名作を、生涯を終えるまでに
読了したい。過去・現在・未来、そのすべての時間を味わいながら。


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#海外文学 #マドレーヌ#記憶

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