文学の可能性の終わり

ムージルは書簡でこんなことを書いている(後日追記する予定)。同時代の作家で、トーマス・マンは百科全書的な方向に、プルーストやジョイスは解体の方向に走っているが、自分は統合へと志向している、と。

彼は自らの道の正しさを信じて疑わなかったようだが、志半ばで死んだ。『特性のない男』は未完のまま残された。

第三の道を自認するムージルの態度は様々に解釈されるだろうが、結局、彼の名はマン・ジョイス・プルー

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初めてのタコパ、と2つの法則の話

法則をいくつか持ってる。

「いちご大福とかやり始めるのは三代目」
「古着屋がプライベートブランド始めたら終わり」
とか、大したことないやつを本当にいくつかだけど。

そのうちの2つについて話そうと思います。

◆「プルーストの踊り子」という法則を持ってる。

これは小説『失われた時を求めて』のエピソードのひとつなんですけど、

◇エピソードの説明
主人公「有名な踊り子たんにどうしても会

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月刊『ピン留めの惑星R』04|2019年8月号

いつのまにか失くしてしまった “たいせつなもの” たちが辿り着く
どこかの星のだれかの物語 ───。

✑ 『どこへ』 大島智衣

 

「“1日1万歩”歩いたとして、
1日に5千回ずつ片足を地面に擦(こす)ってるんだよ?」

若いサラリーマンが息巻いていた。

すり減った靴底は、
どこへいくのだろうか。

わたしたちの生きた時代の地層には、
ちり積もった無数の“靴底粒子”が見つかる。

 

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柿の種の美味しい食べ方

柿の種を冷凍してから食べると、ひんやりして、ポリポリ度が高く、美味しいことに気がついた。
 カミュの小説のような今年の夏に、おすすめ。

犯罪とちがって、約束には時効はないからね(「スズキ」)
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88歳ゴダールの新作『イメージの本』を目撃した。より過激化した切断。見出された時。咳き込むゴダール。

ついに見た。
前作『さらば、愛の言葉よ』を見たとき、4分の1くらい眠ってしまった。今回もそのような予感で劇場に向かった。おまけに劇場に行くのに道に迷ってしまい、くたくたになってしまった。

目撃したものをとうてい言葉にすることなど不可能だけれど(だからこその「イメージの本」だ)、感じたままを記録しておきたい。ちょうど今日、プルーストの『失われた時を求めて』を読了したところでもあり、私たちはつねに、

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いつか読み終える春

今読んでいる本のことを書く。買ったのは10年以上前で、面白いと思ったのにどういうわけかなかなか読み進められず、放置して何度春が来て過ぎていったのだろう。

でも、意外と、何回ほどかなと数えるとそんなに大した数でもない気もしてくる。100年放置した本をまた読み始める、ということは、人間の寿命的に言いにくい。この本読みにくいから50年後にまた読もうと思っても、その時生きているかもわからない。人の一生は

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フェルメール展とプルースト

フェルメール展に行ってきた。
東京の展示はもう終わっているので、大阪市立美術館まで行った。
大阪に来るのはこれが初めて。(今日は雨天のため梅田地下街のカフェでこの記事を書いている)
プルーストを読んでいなかったら、大阪までフェルメールを見に来ることはなかっただろう。

プルーストは『失われた時を求めて』の中でも有名になる前のフェルメールを何度も取り上げていて、その慧眼、審美眼はやはりすごい。
主要

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リルケとプルーストとインドカレー

日本の本屋さんに行ったら入手しようと思っていた本のひとつにリルケの詩集がある。
(サリンジャーの短編がきっかけ)

新潮文庫の『リルケ詩集』を買ったのだけど、学生時代にも同じものを持っていたので再購入ということになる。海外の詩集の入口として新潮文庫を読んでいた人、読んでいる人はぼく以外にもたくさんいるはずで、昭和から刊行され続けていることを考えると世代をこえた共通体験なのではと思うのだけどどうだろ

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WEB読書会『消え去ったアルベルチーヌ』

Twitterでプルースト『消え去ったアルベルチーヌ』を読む会を開催します。
京都で開催されていた『消え去ったアルベルチーヌ』を読む読書会イベントの情報を見て、すごく羨ましくて、Web読書会みたいなことができたらいいなあとツイートしたら賛同してくれる方がいらっしゃったので、やってみることにしました。

『消え去ったアルベルチーヌ』は私がプルーストを読むきっかけにもなってくれた本です。

『失われた

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失われた時を求めて

「好きな本は?」とか「おすすめの小説は?」とか聞かれたときは、ここ数年ずっと同じ答えをしている。

プルースト『失われた時を求めて』だ。

文学作品に慣れていない人にも、そもそも小説を読まない人にも同じ答えをしていて、それぐらいハマッているのだ。

文学を読む人でも、プルーストはあまりにも長いし、なんとなくパリの社交界の退屈な話だと思って敬遠している人も多いと思う。
かくいう私もその一人だった。

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