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書評『揺腕法』

今話題の「謎の老師」の本『揺腕法』拝読致しました❗

著者の小用茂夫老師は、私の継承する姜氏門武術の、我が国に於ける大先達であり、日本の刀法や柔術も修められた知る人ぞ知る達人、私も密かに敬慕し目標にさせて頂いている素晴らしい先生です。


先ず一読して吃驚したのは、老師の修業時代に直面された悩みが、レベルこそ天と地の差がありますが、小拙の修業中の悩みと同じであったこと。


私も幼少期の黒岩法印から始まり、特に青年期に出逢った蟷螂拳の根本一巳老師が余りにも闊達で素晴らしい動きをされていたため「どう頑張っても師の様になれないだろう……」と半ば諦念にも近い想いを抱くようになり、更には某空手流派で実戦で名を馳せたH師範からは「お前は武に向いてない☠️」と引導を渡された経験から「なんで自分は彼らみたいな『本物』になれないんだろう。何が違うんだろう……」というジレンマを抱え続けて来ました。


それでも虚仮の一念で続けられたのは、こんな自分でも何とか物にならせてやろうと、見棄てることなく付き合ってくれた師匠たちが居たからで、それは祖母であったり、姜氏八卦掌の鄒師父、そして最近では宮川流の順心翁先生なのですが、この方達から自分が学んだ最大のものは、強い・弱い、上手い・下手、ではない「基準」「規矩」「原理原則」なのでした。


武術と言えば、普通思いつくのが厳しい闘いの世界ですが、その根底には勝ち負けを越え、闘いという限定的状況をも超えた、普遍的な心身の法則がある。


勝つのも負けるのも同じ人間なんですから、当たり前といえばそうなんですが、戦闘という非常の状況下、なかなかそんなこと思い付くわけでも無いから、これだけ多彩な勝ち負けの為の様式が存在するので、それに血道を上げていた身としては、そういったシンプルな教えを得た時はなんというか「救われた」気が致しました。


それは「整う」基準でもあり、発動する力の起点でもあり、心の鎮まる一点でもあります。

そしてそれを修めるための法を「兵法=平法」と言うのだと知りました。


小用老師の『揺腕法』は、その基本動作は「椅子に座って腕を振る」と言う至ってシンプルなものですが、その中にはこの「兵法」の奥旨たる「規矩・基準」の教えがみっちりと詰まっています。

私も小用老師のこの床しき一冊を読み返しながら、新しき学びを得るとともに、先の「救い」を頂いております。


拙文ではありますが、ご興味が湧かれた方は是非とも「謎の老師」の明著をお手に取られて、身体の「救い」を得て頂けたら幸いです🙇

    伊与久大吾源誠忠(号:松凬)謹言

〝謎の老師〟が教える身体の基準の創り方 揺腕法 https://amzn.asia/d/jlEgbc7

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