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令和6年読書の記録 東野圭吾『卒業』

 卒業を控えた大学四年の秋、一人の女子大生が死んだ。親友・相原沙都子は仲間とともに残された日記帳から真相を探っていく。鍵のかかった下宿先での死は自殺か、他殺か。彼女が抱えていた誰にも打ち明けられない秘密とは何だったのか。そして、第二の事件が起こる。刑事になる前の加賀恭一郎、初登場作。

↑文庫本裏面の本紹介より

 東京へ行くたび読んでる東野圭吾の加賀恭一郎シリーズの第一作。シリーズものは一作めから読まないと気持ち悪くて嫌なのにシリーズものと知らず八作めの『新参者』から読み始めてしまったゆえ、七作め、六作めと遡っていたのですが、本屋さんに五作めがなかったので、仕方なしに一作めを買いました。

※以下、それなりにネタバレ含みます

 東野圭吾が密室のことを好きで好きでたまらないらしく、今回もまた巧みに密室を作りあげておりました。まあ、巧みではありますが、序盤に出てくる「ここは密室なんやで」っていう理由が書かれてあるくだりを読むとき、見え透いた言い訳を聞いているような気持ちになるのがたまらない。今回は女子しか入れないアパートの一階入口にめちゃくちゃ厳しい管理人のおばちゃんがいる、という設定!つまり、このおばちゃんの目をかいくぐってアパートの中に入るのは不可能というわけでして、勘の鈍すぎる私でさえ、「あ、このアパート、殺人の舞台になるな」とわかりました。あのくだりが好きやねん。

 物語の中盤では第二の事件が起こるのですが、この事件の舞台についても、異常なくらい詳しく書き綴ってあったので、「あ、間違いなくここでもう一人殺される」とわかってしまいました。ああいうの、「フラグ」っていうんですかね。ちょっと違うかな。誰が殺されるかまではわからんけど。その「フラグ(合ってるかわからないけど)」込みで面白いのがすごいところ。うまいこと書くわー。職人さんですよね。ぐいぐい引き込んできます。それとは別に、あ、そっちも関係あったんや!っていう驚きもある。わかりやすいフラグとは別のところに実はフラグを立てまくってる。そのフラグたちに気付けるようになったら私も立派な東野圭吾ファンですな。

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