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読書の記録 『科学と科学者のはなし 寺田寅彦エッセイ集』池内了編

 明治生まれの物理学者で数多くの随筆を残した寺田寅彦の科学にまつわる随筆を天文学者で宇宙物理学者の池内了さんが中学生くらいの子供たちが読むことを想定して編集したもの。ちくまQブックスシリーズもそうですが、この岩波少年文庫も、我が子に読ませたいがために、まず自分で読んでおるわけですが、この手の科学のお話しって本当に面白くて、どうして自分の思春期に興味を持たなかったのか、といえば、まぁ、好きな女の子のこととかしか考えてなかったから、なんですよね。

 80年ほど前に書かれてあるのに、現代にも通じることを書いてあるというのは、寺田寅彦が進んでいたのか、人間って本質は変わらないものなのか、わかりませんが、どうやら寺田寅彦という人は科学者として「人間とは」ということを問い続けていたんじゃないかと思います。

 「とんぼ」と題されたエッセイの一節が好きだったので記しておきます。

 人間をとんぼに比較するのはあまりに無分別かもしれない。しかし、ある時代のある国民の思想の動向をある方向に引き向ける、第一、第二の因子が何かしら存在している、それを観察し認識する能力が現在のわれわれには欠けているのではないかという気がする。そうしていっそう難儀なことは、その根本的な無知を自覚しないで、本当はわからないことをわかったつもりになったり、あるいは第二次以下の末梢的因子を第一次の因子と誤認したりして、とほうもないまちがった施設方策をもって世の中に横車を押そうとするもののあることである。

 ↑最近テレビに出てる知識人枠の人ってこんなんばっかりじゃないですか。

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