(便乗)「オンボーディング」の話

便乗シリーズ(?)第2弾です。
今回はこちらのツイートから。

「オンボーディング」については、自分もはっきりと理解していませんでしたが、こちらの内容が非常によくまとまっており、良かったです。

いわゆる「人の受け入れ」と「早期戦力化」は、前会社で意識的に取り組んだのと、転職後の現会社が全くできてなかった(少人数で人が圧倒的に足りていないため、できるようなパワーが備わってない)こともあり、転職した後1年間で協力者がいない中コツコツ取り組んだ経緯もあるので、特別思い入れがあり、ポエム化に至りました。

以下、前会社での経験も踏まえて書いていきます。

1.人を「採用」する意義

なぜ人を採用する必要があるのか。当たり前ですが「会社への貢献度を高めるため、つまり今よりも高い付加価値を生み出すため」などと言えるかと思います。よって、採用した人が付加価値を生み出せる存在であらねばなりません。それは個人の能力にもよるでしょうが、会社の中で個人の能力による貢献というものには限界があり、一番重要なのは「組織(自分は法務なので法務機能を備える組織)」としての貢献度をいかに高めるかだと考えています。

採用した人が貢献度に寄与するためには、その人が期待する役割を自認し、能力を100%発揮してもらう「環境」が必要となります。採用し、その人が出社したら、勝手に会社が良くなるわけではありません。次に入社する人が自分と同じ苦労をしないように、社員を受け入れる時にすべきこと、自分が「こんなこといいな、できたらいいな」と感じたことを具体化してマニュアルにしました。

2.準備物、状態

まず「働く環境」が整っていることは当たり前。
以下の状態が理想。
①社員証、入退館キーがある
②PC、マウス、キーボード、モニタがある
③ソフトウェア等の初期設定が完了し、且つ各ソフトウェアの説明と操作マニュアルがある
④複合機印刷・スキャン設定が完了している、操作マニュアルがある
⑤文房具(日付印、付箋、ペン、電卓、ノート、名刺等)がある
⑥電話機(使うなら)、内線表、電話の掛け方取り方マニュアルが配られる

これくらいはあってほしい。また、在宅勤務に必要な手続があるなら完了していると良い(ちなみにこれらを作って上司に許可をもらい、部内標準ルールにしたら、後日、代理者でも手続きできるようにしてくれた。作った甲斐があった!)

3.オリエンテーション

(1)新卒

前の会社で学部新卒2名(非法学部×1、国際法×1)を採用しましたが、それぞれでやることは変えませんでした。おもち氏noteより一部拝借しつつ経験則を追加しております。
①グループ全社の組織図と法務部門の構成、メンバー紹介
②役員構成
③事業、商材の紹介
④法務部門のパーパス(と言うと大袈裟だが、何を大切にしてるかとか)、業務目標、業務一覧と他部門やメンバー間の役割分担
⑤多く関係する部署、その主要メンバー(挨拶にも行く)
⑥頻繁に関与する社内規程とその概要
⑦Officeの使い方
⑧メール定型文(当時はメールしかなかった)
⑨社内用語、社内ルール
⑩部門目標、担当する仕事(1~3年計画)
⑪推奨資格、書籍

契約書の読み方、修正の仕方など実務に係るところは、最初からではなく簡単な書籍を読んでもらう→過去契約案件で練習(添削)→新規依頼で実践(添削)という形で、OJTで資料の保管先も含めて説明しながらでした。なので入社後すぐに説明はしておらずですが、マニュアル自体は準備してあります。

(2)中途

本題。中途の場合は実務経験者を募集対象としているため、即戦力が求められるものと思います。なので業務に直結するところまで最初に説明すべきだろうと思って、自分は上記(1)に加えて以下のものを説明しました。現会社では、自分の後に入社した人には、部内の各チームから説明会を行ってもらって、歓迎ムードを出したり他チームとの顔合わせをすることで相談しやすくしたりなどをイメージして、これをルーティン化しました。

①決裁権限規程、手順、フロー
②職務分掌規程
③売上・利益構造
④現在の課題
⑤関係する会議体、存在意義、役割
⑥メンバー間のスキルマトリクス+アナタに期待する役割と成果
⑦社内のローカル・ルール
⑧個人目標設定の仕方、当年度の部門の方針
⑨契約書ひな型、チェックポイントの解説、プレイブック
⑩契約書原本保管先・方法
⑪社内購読本
⑫顧問弁護士

あとは質疑応答で疑問点を解消していく感じです。

4.最後に

OJTで覚えていくこともあるでしょうが、戦力化のためには、一刻も早く社内ルールを把握し、どこにデータがあり、誰がキーマンかなど、業務を遂行する際に必要な最低限必要な知識を備えることが最優先です。
これができれば、早期に独り立ちして業務遂行ができる状態になると思います。そのために「環境を整える」ことは、採用した会社側の義務であると考えます。これに失敗すると、中途社員のモチベーションが入社後すぐに下がってしまい「なんだこの会社…」となる可能性が高くなります(実際、自分もそう思ってしまったので…)。
これら取り組みを「オンボーディング」と言うのを、上記の方々のブログ等で理解しましたが、法務に限らずどの部署にいたとしても必要な工程だと思うので、これもビジネスパーソンの1つのスキルとして、随時アップデートしていきたいです。

(追記)

ビジネス法務の2023年4月号に、双日株式会社の「スタートアップマニュアル」なるものが紹介されており、オンボーディングに関する項目がでています。ぜひご覧あれ。一回でいいから中身を見てみたい。

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