マガジンのカバー画像

キャリアの話〜転職しない人もどうぞ

180
1)キャリア関連の話題、2)転職活動ノウハウ、3)転職エージェントの仕事について、書いた記事をまとめています。 主に仕事を通じて感じたキャリア観や、体験談を紹介しています。
運営しているクリエイター

記事一覧

転職エージェント業の衰退を感じる

近頃、もう自分が好きだった転職エージェント業はかなり市場が荒れてしまって、業界全体として品質が低下してしまったような気がする。

採用手法として企業側にはすっかり馴染みのダイレクトリクルーティング。要するに、転職エージェントじゃなくて、企業が直接スカウトメールを送りますよ、と。
企業の目利きなので精度が高く、かつ面接確約のスカウトもありますよ、という見せ方。

ただ、企業に採用代行業社が入っている

もっとみる
「第一志望がダメだったら第二志望を選ぶ」とは限らない。

「第一志望がダメだったら第二志望を選ぶ」とは限らない。

転職エージェントとしてマネージャーをしていたときの話。毎週の営業会議では、進行中の案件についてメンバーからの報告を受けます。

私がこう聞きます。
「Z社の進捗は次が最終面接なんだね、なるほど企業側の評価は高いのね。これ応募してるAさんは行きたいの?」
メンバーは答えます。
「本人は第二志望です。第一志望のところは企業の評価があまり高くなくて、一次面接結果を1週間待たされてるところなのでたぶん難し

もっとみる
転職活動で意外と大事なのは、前に進んでる感

転職活動で意外と大事なのは、前に進んでる感

転職活動って基本的には大変なことです。
多くの場合、現職の仕事を通常通りこなしながら、空いた時間で並行して転職活動をするわけです。仕事が終わった夜や休日も含めて着手しなければならないプロジェクトを抱えているようなもので、負担はそれなりにあります。

加えて、転職活動に臨むときの気持ちって、ポジティブな感情ばかりではありません。少なからず現職では満足いかない部分があったり、解消されないモヤモヤがあっ

もっとみる
内定通知書の記載ミスは意外とある

内定通知書の記載ミスは意外とある

転職エージェントとして、企業も応募者も双方とも前のめりで、相思相愛のまま選考が進むことはとても気が楽です。

応募者に対して企業の魅力をプレゼンしたり、他の応募企業との優先順位の整理をしたり、そういった取り組みをしなくてもいいので、労力がかからないというのもあります。
もちろん、かと言って、他の応募先が現れたり、家族からの反対があったり、実は希望年収にミスマッチがあったりという事態になる可能性もな

もっとみる
「役員のスケジュールが取れない」せいで採用し損ねた企業の話

「役員のスケジュールが取れない」せいで採用し損ねた企業の話

転職エージェントの仕事をするまでは知りませんでしたが、実は転職活動においてスケジューリングは相当重要です。スケジュール次第で、転職先が左右される例がかなり多くあります。

業界大手のZ社は、これまで新卒採用が中心で、加えてグループ親会社からの異動で人員をまかなってきたので、中途採用はあまりやってこなかったとのこと。私にとっては今回が初めての求人依頼でした。

そんななかなか応募者Aさんの評価が高く

もっとみる
転職して3ヶ月以内の退職があった場合【転職エージェントの仕事】

転職して3ヶ月以内の退職があった場合【転職エージェントの仕事】

転職エージェントの仕事をしていて、なるべくゼロにしたいけどなかなかできないのが、早期退職です。

つまり、転職をしてから3ヶ月以内の退職です。
転職者自身も退職に至るまでは相当思うところがあったでしょうし、採用した企業だって本来あってほしくない苦労をした上にまた採用活動をしなければならない徒労感があるでしょう。双方にとって不幸せですよね。

早期退職に至る理由は様々です。
例えば、面接時に評価され

もっとみる
転職エージェントが考える、決断の上手な人の特徴

転職エージェントが考える、決断の上手な人の特徴

転職は少なからず人生の節目にあたり、人生の中でも小さくない決断の場面のひとつです。
転職エージェントをしていると、決断が上手い人と下手な人がいることを実感します。

決断が下手とは、
・優先順位がはっきりせずに決められない
・決めることを先送りしてしまう
・近しい誰かに助言された通りにしてしまう
・一度決めたのにいつまでも再考して悩み続ける
こんなイメージです。

一方で、決断が上手とは、
・頭の

もっとみる
「わからないことを聞く」って難しかった

「わからないことを聞く」って難しかった

転職エージェントって、「自分がやったこともない仕事内容、働いたこともない会社、の情報を求人票にまとめて、転職活動者に訴求して入社への筋道を立てる」ような仕事です。

たくさん求人は預かるわけで、例えば私は社内で少ない方でしたが150求人程度を同時期に扱っていたりしました。

それだけ多くの仕事内容や会社情報に触れるので、まったく馴染みのなかった専門職にも詳しくなります。
ただ、どこまで行っても、自

もっとみる
転職エージェントがいたから、採用が決まった事例

転職エージェントがいたから、採用が決まった事例

私は転職エージェントの仕事をしていますが、転職エージェントのおかげで、応募者の評価が上がることは基本的にはないと思っています。

でも、確実に転職エージェントがいなければ採用されていなかった例は存在します。

先日ちょうどそんな事例があったので紹介します。

Z社から書類選考の結果が届きました。
「Aさんですが、書類選考不合格でお願いします。これまでの経験と弊社の業界との接点がなく、なんで興味をお

もっとみる
転職エージェント業のモヤモヤするところ

転職エージェント業のモヤモヤするところ

私は転職エージェントの仕事が好きです。転職が決定すれば転職者も、採用企業も、自分も嬉しい三方よしの仕事です。

とはいえ、8年ほど携わってきたなかでモヤモヤする部分も出てきました。当初はまったく気にしていなかったのですが、もしかしたら「採用が決まって初めてお金が発生する」成功報酬というビジネスモデルに心の引っ掛かりの要因があるような気がしてきました。

転職エージェントの仕事は、応募前後で工程が大

もっとみる
転職活動中の適切なマインドセットを考えてみた

転職活動中の適切なマインドセットを考えてみた

転職活動に臨むにあたって、どんな心持ちが望ましいのだろうと考えることがあります。

5年前くらいまではそれなりにいた気がするのですが、転職することを「逃げかも」と悩む人がいます。給与や働き方の点で厳しい環境にいる人ほどそうやって自分を責めがちです。転職について、そういう捉え方を吹聴する人(おそらく現職の上司)が近くにいたのでしょう。最近はあまり聞かなくなってきたような気がしますが。

「逃げかも」

もっとみる
なぜその求人には応募者が集まらないのか

なぜその求人には応募者が集まらないのか

転職活動者が応募しない理由のうち、なかなか言語化されて聞こえてこないけど本当に実態としてよくあるのは、「よくわからないから」に尽きます。

求人票を見てもどんな仕事をするのかよくわからない。実はこんな求人票は本当にたくさんあります。

【職種】営業
【仕事内容】顧客との関係構築、提案営業

これくらいの情報量だと、さすがにイメージをするのが大変ですが、実際にそんな内容の薄い求人票もあるのです。

もっとみる
経験の浅いキャリアアドバイザーがする、転職者への誤った寄り添い方

経験の浅いキャリアアドバイザーがする、転職者への誤った寄り添い方

転職って人生におけるそれなりに大きな節目です。

転職エージェントは、転職を支援するのが仕事ですから、転職活動の場面には数多く関わってきていますが、転職者当人はほとんど場数経験がないことが多いです。

さらには、転職中の心情も人によっては穏やかではありません。
離職中であれば、時に社会からの疎外感を感じてしまったり、あるいは収入面での不安があったりします。
現職中であっても、いまの仕事に身が入らな

もっとみる
入社前辞退だけは本当に勘弁してほしい【転職エージェントの仕事の裏側】

入社前辞退だけは本当に勘弁してほしい【転職エージェントの仕事の裏側】

入社前辞退って、本当に大事(おおごと)です。丹念にケアしても感覚的には2〜3年に1回くらいは起こる気がします。

転職エージェントが社内成績になるのは、内定受諾のタイミングです。「内定を受けます」と転職活動者に言ってもらったら、今月の売上として社内で計上されるわけです。

ただ、一般的には内定受諾から入社まで1〜2ヶ月の期間があるので、現実には「内定を受けます」と言ったにも関わらず「やっぱり入社辞

もっとみる