デジカメUI: 狭めるフォーカス、広げるフォーカス

LUMIX DC-G9の話題では、AFスピードが0.04秒だとか、人物認識が凄いだとかとカタログスペックに目がいきがちであるが、実際のところは変化する状況に最適なフォーカスモードをいかに適切に切り替えて、シャッターチャンスに対応できるかが大事である。つまり特定状況で特定のAF性能だけを論じても意味が無い。

撮影状況を整理する

まずは自分の被写体と撮影状況を想定し、どんなシーンのどこにピントを合わせたいのか決めなければならない。
最近は去年購入したZuiko40-150F2.8PROを使って多摩川で野鳥を撮ったり、その前は60mmマクロで昆虫を撮ったりしていた。
基本は止まっているものを構図にこだわりながら撮るスタイルで、S-AFで頻繁にAFターゲットを移動させる使い方であった。

当然、飛んでる鳥や昆虫を撮ってみたいという願望があったのだが、成功率の低さ(実質未だにイメージした構図でピントが合っているものは撮れていない)から、飛び立ったらそこで撮影をやめてしまっていた。
G9を購入した大きな理由の一つは、飛んでいる鳥や昆虫(蝶やトンボ)を撮ることである。上記の撮影スタイルにプラスして、C-AFや追尾を積極的に使いカメラに被写体を追わせて成功率を上げるという狙いがある。

LUMIX DC-G9のフォーカスモードアーキテクチャ

まず通常のフォーカスモードとして、ピントを合わせるタイミングの切替が3種類ある。

・シャッターボタンを半押したときに合わせるか(AFS)
・常に合わせ続けるか(AFC)
・さらに被写体が動いたら合わせ直すか(AFF)

次に、そのタイミングに対して、フォーカスターゲットの大きさの設定が掛け合わされる。
より広い範囲を指定しておけばカメラが被写体を特定してピントを合わせてくれるし、それが意図通りでなければ狭い範囲でユーザー自身がピントを合わせるポイントを指定しなければならない。またターゲットの一つとして追尾モードもここで選択することになる。

面白い動作をするのが「追尾」で、ターゲット内に被写体を入れて一度半押しすると被写体が一時的に登録され、AFCではフォーカスを合わせ続ける一般的な動作をするが、AFSでは再度半押ししたときに合わせ直しができる。
これは使い方によっては短時間に構図変更をしながら撮影するのにも役立ちそうで、ユーザーがジョイスティックなどでAFターゲットを動かさなくても、カメラを動かして構図を変えるだけで、ターゲットも一緒に移動してくれるのである。

フォーカスブラケットとフォーカスセレクト

フォーカスを合わせたところから「前後」にピントを一定量ずらして撮影するフォーカスブラケットという機能はかなり前から存在しでいる。
G9ではブラケットとは別にフォーカスセレクトという機能が存在し、これは画面に対して「XY」のグリッドを切り各グリッドでフォーカスを合わせて撮影していく方式である。(さらに各グリッドでブラケット撮影するという念の入れようである)

どちらが優れているかということではないが、パナソニックの方がフレーミングした世界での「全部撮り」の意味合いが強い。(フォーカスブラケットでも全てのフォーカス域を撮影すれば可能だが現実的ではない)
高速なAF、高速な撮影、高速な画像処理、大容量の画像の効率的な保存フォーマットの全てが揃っていることで「全部撮り」が実現できたことは本当にすごいと思う。

全部撮りと2次撮影

「時間全部撮り」は動画で実現し、「空間全部撮り」は360度カメラとフォーカスセレクトで実現している。ある瞬間(時間)一度しかなく、それを全て撮影しておくことで後から全体を鑑賞したり一部を切り出すことができる。
鑑賞時にその操作をおこなうこともできるが、私が魅力を感じるのは、その全部撮りデータを使って「2次撮影」(フレーミング/切り出し)をおこなうことである。膨大なデータの中から意味のある画像を抜き出すことで、新たな発見や表現につながるはずであり、さらにVR技術を使えば本当の体験として全部撮りデータの中で2次撮影を楽しむこともできるようになる。


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