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共有書籍のメリット 書籍をコミュニティの糊しろとして使う

どんな規模の企業でも会社で購入した書籍や雑誌が職場に置かれていると思います。主な目的は外部の知識・情報を得ることですが、その書籍が複数のメンバーで共有されることでそれ以上のメリットがあるという話を少し書いてみます。

一人で書籍を読む場合には知識を広げることに役立ちますが、多様なバックグラウンドを持つメンバーを集めるチームビルディングでは書籍がメンバー間の共通言語としてコネクターの役割を持つことができます。そのために私が実践している方法を紹介します。

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共有書籍を購入する

業務に必要なものを購入するのは企業の役割ですが、知識の幅を広げるための書籍は個人が負担すべきか微妙で、共有書籍(企業購入)にできない職場も多いのではないでしょうか。そのような場合には上司の許可をもらうよりも個人で買った方が楽だということもあり面白い書籍ほど共有されないということになってしまいます。

そのような状況を変化させ、個人側も企業側も書籍を共有することによる組織への効用を意識して書籍を購入していくべきです。購入手続きの煩雑さ、上司の個人的な不理解、上司だけが選書できて部下はそれを読まされるなどのバリアを無くしていくことで意味のある共有書籍を増やしていけるのではないでしょうか。


輪読する

デザインファームのTakuramのポッドキャストを聞いていると度々でてくる話題として「書籍を各自が自由に購入することができる」というのがあります。また同時に購入情報を共有することで同じ書籍を複数メンバーが購入することも多いようです。

複数人で同じ書籍を読み、深いレベルでそこから議論を展開していく、それをポッドキャストのコンテンツにしていくという文化がとても羨ましく注目しています。

特に忙しい中での読書の方法として、一冊の本を回し読みするのではなく各自が購入し同時に読み始め、さらに特定の章を深く読み込む担当を決めお互いにシェアする「輪読」が、読む→議論のサイクルを最短化する手法として取り入れていきたいと思っています。

私が経験したこととしては、特定の目的を持った会議の前にそれに関する同じ書籍を読んでおくことで、議論の進め方や視点について書籍の内容を例に挙げながらスムーズに会議を進めることができたというのがありました。(二人だけの会議だったので出来たといことではありますが・・・・)


書評を共有する

みんなが同じ書籍を読んで議論することで思考の深みが増していくという状況は理想ですが、そこまで行かなくても誰かが読んだ感想(書評)を共有するだけでも組織内に知識の一部が広まる効果がありますし、読書コミュニティの切っ掛けにもなります。

コロナの影響もあり多くの企業でTeamsやSlackのようなサービスが導入されています。それらのプラットフォームを活用することで気軽に書籍を軸にしたコミュニティが作りやすくなりました。

在宅勤務が多くなり、会社にある書籍の情報が気軽に得にくくなった状況の中で、資料一覧をデジタル化する一環として、書籍の一部をデータベースにして、そこに紹介文として各自の書評(感想やコメント)を載せていくことで共有しようとしています。

私の所属する部門ではコロナ禍で配属された人たちは社内にどんな書籍があるのか知らないという状況が発生していました。それを補いさらにこれからの新しい書籍コミュニケーションを広げていくために「書籍DB+書評共有」を立ち上げました。今後どれだけの書評が集まってくるのか楽しみです。


コレクションする

組織に書籍が集まってくると、その組織の価値観や進みたい方向が反映されてきます。10年20年と積み重ねていくことで歴史を新しいメンバーへ共有することもできます。

ただ新規に購入した書籍と違い、本棚やロッカーに入れているだけだと出会いの機会が無くなってきますので、先輩社員が若手に紹介するような活動が組み合わされると企業の課題となっている技術・知識の継承にも効果があるのではないでしょうか。

先に紹介した「書籍DB+書評共有」に、あえて過去の書籍を紹介することで企業文化や組織のプリンシプルを再確認する機会にもできると考えています。


企業では電子書籍を共有できない

公立の図書館では電子書籍の貸し出しサービスが実現していますが、残念ながら一般企業で電子書籍を購入し複数社員で共有することは禁止されています。

そのため現時点では紙の書籍を購入しなければならず、書籍共有は出社を伴う活動になってしまいます。技術的には確立している訳ですから早いタイミングで一般企業での電子書籍共有が実現することを願います。

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書籍というツールをコミュニケーションの糊しろとして使うことで、多様な興味・経験を持つ人が繋がり、さらに外部や先人の知識・情報も入ってくるという一石二鳥な存在としてこれからも書籍と関わっていきたいと思います。


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