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製本まで手作業の「幻の本」製作の裏側! ものづくりユニット「201(ニマルイチ)」にインタビューしてみた!

2024年2月25日、「自らが〈文学〉と信じるもの」を自主制作して販売する文学作品展示即売会「文学フリマ広島6」が開催されました。

そこで出会ったのは、ものづくりユニット「201(ニマルイチ)」のおふたり。製本まですべて手作業という、かわいらしいZINEを販売されていました。独特な色使い、金属パーツを使った製本、手作りチャームなど、斬新な装丁に魅了されます。

文学フリマ広島6で販売していた、手作りのZINE『幻のメロン』

共同生活を送りながら、ジャンルを問わず「つくる」ことに日々取り組んでいるおふたり。創作を心から楽しんでいる姿が印象的でした。
そんな「201」のユニット結成のきっかけや、ZINE製作の裏側、今後の活動についてなどいろんなお話を、オンラインで伺いました!

201(ニマルイチ)のおふたり。この日はおそろいのお洋服で参加してくださいました!

201✰(X:@201_aopink)
ヤホ!⁡⁡201(ニ・マル・イチ)🚪です。 201は同じ屋根の下で暮らす森西(@morinishi_ao)と山邊(@yamabe_pink)による制作ユニットです。共同生活の記録をしたzineや、暮らしをほんのり豊かにする雑貨を作っています🎶 📨🐾201.morinishi.yamabe@gmail.com

「201✰」X(Twitter)https://twitter.com/201_aopink より


おふたりのこと


――さっそくですが、おふたりの経歴をかんたんに教えてください!

モリニシさん:はじめまして!森西愛瑠(モリニシアイル)と申します。岡山県出身で、いまも岡山県に住んでいます。倉敷市立短期大学を卒業して、今年で23歳になります。普段は百貨店でアパレルの仕事をしています。

ヤマベさん:山邊美織(ヤマベミオリ)といいます。出身は静岡県なのですが、わたしも倉敷市立短期大学に通っていて、それを機に岡山に引っ越してきました。共同生活をすることになって、いまも岡山に住み続けてます。わたしも(モリニシさんと)同い年で、次の年で23歳になります。いまは和菓子屋さんで働いています。

――それじゃあ、おふたりは短期大学で出会われたんですね。服飾関係の専攻だったんでしょうか?

モリニシさん:そうですね、服飾美術学科っていうところの同学年で。

――いまはおふたりで共同生活されているとのことですが、在学中からおふたりで住んでいたんですか?なにかきっかけがあったんでしょうか?

モリニシさん:在学中はわたしが実家に住んでいて、美織ちゃんは借りてるお部屋で一人暮らしをしていました。そのころから、おやすみの日や学校が終わったあと美織ちゃんのおうちに集まって一緒にものづくりをしていたんです。一緒に住めば、もっとたくさんものづくりができるんじゃないかと思って、共同生活をはじめました。

――素敵ですね!ものづくりは、帽子などの布製品がメインですか?

ヤマベさん:そうですね。布をメインに扱うことは多いのですが、布の小物からZINEまでいろんなものを作っています。挑戦したいこととか興味のあることは、どんどんやっていきたいなって思ってます!

――たしかに、ZINEのなかでも棚をつくられてましたよね!

ヤマベさん:そうなんです。結果的にすごく手広くなってます。

――ものづくり全般を一緒にやられている感じなんですね。

棚づくりの紹介ページ レイアウトも凝っていて可愛らしい!


ユニット結成のきっかけ


――現在は「201(ニマルイチ)」というユニット名で活動されていますが、おふたりで製作するようになってからユニット結成に至ったきっかけなどはありますか?

ヤマベさん:『ダンス201』という写真をメインにしたZINEを製作したときにタイトルや活動名を決めなきゃっていうことになって、最後の最後にタイトルとユニット名が決まったって感じです。

――イベント出展のためにユニット名をつけたっていう感じなんですね!
文学フリマは初参加でしたか?それ以前にも出展経験はあったんでしょうか?

モリニシさん:文学フリマは、今年が初参加でした。イベント参加の経験は少ないのですが、もともと所属してる「人間文化クラブ」というサークルのイベントで出展する機会があって、そこではじめてイベント参加を経験しました。

――「人間文化クラブ」は倉敷市立短期大学のサークルですか?

モリニシさん:社会人サークルなんですが、もともと倉敷市立短期大学と岡山大学の学生たちでつくられたサークルです!いろんなジャンルの文化に興味がある人が集まるサークルになってます。

――これも服飾に限らず、本でも何でもありという感じなんですね!

人間文化クラブ(X:@hcc_46)
2020年発足。主に岡山市内で活動。ZINE『サラダボウル』の制作、石粉粘土会や凧揚げカーニバルなどのイベント企画・運営など。自由な考えや、作品が交差するあわいの場所としてあることを目指す。humancc46@gmail.com 《学生・社会人問わずメンバー募集中》

「人間文化クラブ」X(Twitter) https://twitter.com/hcc_46 より

――文学フリマはどういうきっかけで知られたんでしょうか?

モリニシさん:友人にもイベントに出ている人がいたので、イベントに出たいって気持ちがどんどん強くなっていて。『幻のメロン』というZINEを製作してるときに「イベントに出したい」と思って色々調べていたら、文フリがちょうど完成に間に合いそうな時期に開催されることを知って、応募してみようかな、と!

――普段から「ものづくり」をされているおふたりなので文フリにあわせてZINEという形にしたのかなと思っていたんですが、ZINEをもともとつくられていたところ、ちょうど良いタイミングで文フリが開催されてたんですね。

201:そうなんです!


ZINEの最新作『幻のメロン』について


――ZINEの最新作『幻のメロン』についてもお伺いしたいと思います。内容から製本まで、すべておふたりで製作されているんですよね。文フリの見本誌コーナーで一目みたときから「めちゃくちゃ可愛いのがある!」と目を奪われました。

201:嬉しい〜!

――表紙からセンスがあふれていました!この『幻のメロン』というタイトルにはどういう意味が込められているんですか?

ヤマベさん:『幻のメロン』のタイトルは、すごく考えました。すごく考えて、食べ物の名前をいっぱいあげたりして。最終的には、響きですね!

モリニシさん:ZINEの表紙以外が出来上がった時点で、まだタイトルが決まっていなくて。この本は全部おうちのプリンターで刷ったものをカッターで切って作っていて、最後にハトメで綴じたりキーホルダーをつけたり、というのもその時点で決まっていました。1冊を生み出すのがすごく大変で、多く製造することが難しいので「幻の本」というか…!生産数が少ないってことで、「幻」なんじゃないか、って。

――ちなみに、ぜんぶで何冊くらい作られたんですか?製作時間はどれくらいかかったんでしょうか?

モリニシさん:30冊つくりました。

ヤマベさん:ページのレイアウトをつくって、印刷して、切って、留めて……一番最後のキーホルダーが完成するまで、ぜんぶで半年かかりました…!ほんとに「幻」です。

――製本時に大変だったエピソードはありますか?

モリニシさん:ハトメをつけるときにトンカチで叩かないといけないんですけど、おうちだとどうしても騒音問題があるので……。うるさくしても大丈夫そうな道路沿いの公園のベンチで叩いたりして。作業したのが寒い時期だったので、凍えながらトンカチを振り続けてなんとか完成しました。それがすごく大変だったな、と記憶してます。

――キーホルダーも全部おふたりでデザインされたんでしょうか?

モリニシさん:キーホルダーはそれぞれが時間のあるときにつくったので、ふたり一緒につくったものはないですね。1点1点それぞれで受け持っていた感じです。

――キーホルダーをつけるアイデア、とてもキュンとしました。どうやって思いついたんでしょうか?

モリニシさん:ハトメで綴じるってアイデアが先にあったんです。カシメとちがってハトメは穴が空いてるので、それが面白いなって。その穴を生かすためにリボンを通すとかいろんな案が出ていたんですけど、最終的にキーホルダーが一番いいってことで決まりました。

――「幻の本」ということで、文フリでほぼ完売してしまったのでは…?

モリニシさん:……まだ残ってます!!

――じゃあ「幻の本」をまだ手に入れるチャンスがあるってことですね!

モリニシさん:まだあります!

――内容についてもお伺いしたいと思います。帽子の紹介だったり、料理のレシピ紹介だったり、街の探索記事だったり……内容が多岐にわたっていてすごく面白いと思ったのですが、企画はどういうふうに決まったんでしょうか?

ヤマベさん:ZINEにまとめられている内容は、「ZINEをつくるぞ!」って決めてからやったことではなくて。もともと、ZINEをつくる前に製作していたものや思い出をまとめるポートフォリオというか、それらを記録するための媒体としてZINEをつくっているんです。なので、企画をかんがえたって形ではなくて、思い出をあつめてぎゅっとした感じです!

――帽子の撮影などはファッション誌さながらでしたが、出すところは決めていないまま製作から撮影までされていたんですね!日常の何気ないショットだったとはおどろきです。

モリニシさん:そうですね。ただ、やっぱり帽子のショットなんかはキメキメで撮ってます!

――この「ピクシー帽子」はおふたりのオリジナルですか?どうしてこのデザインに行き着いたんでしょうか?

ヤマベさん:「ピクシー帽子」って言葉は、201の造語ですね。

モリニシさん:帽子がほしくて、ちっちゃく絵を描いて「こういう帽子がいいな」って美織ちゃんに相談していたんです。そしたら「こういう形はどう?」って、いまのピクシー帽子の形を提案してくれて。つくってみたら可愛かったので、たくさんつくってみました。

201オリジナルデザインの「ピクシー帽子」紹介ページ


今後の活動について


――今後も個人的に製作をつづけられる予定でしょうか?オンラインショップで出品したりする予定はありますか?

モリニシさん:いまはBASEというサイトで201のオンラインショップをつくって、手作りのZINEやレターセットを販売しています。今月末にも、新しい商品を出すため製作しているところです。完全に一点もので、オシャレ着用のエプロンをつくっています。

――素敵ですね!どうしてエプロンなんですか?

モリニシさん:ふたりで近所の古着屋に行ったときに腰巻きのエプロンを見つけて。店員さんが腰につけると可愛いよって教えてくれて、試着してみたらすごく可愛かったんです。あんまりエプロンをファッションに取り入れるのって見ないけど、すごく良かったから共有したいと思って。「みんなコレいいよ!」みたいな!

――たしかに、ファッションとしてのエプロンって斬新ですね!
直近で、何かのイベントに出展する予定はありますか?

モリニシさん:まだ抽選結果は出てないのですが、関西コミティアに応募しています。

――今後もZINEがメインになるんでしょうか?エプロンなどの布製品も出品される予定はありますか?

モリニシさん:そうですね。雑貨系もどんどん新しいものを作りつつ、共同生活の思い出が溜まったらZINEとして記録したものを販売するってことになると思います。

――ZINEは、ふたりの「思い出」兼「作品」なんですね。
最後に、おふたりの中で「今後こういうものを作りたい」「新しくこういうことをしてみたい」といった夢はありますか?

モリニシさん:ちょっと前に「音楽やりたい」って話をしていました!部屋でもラップの入ったJ-POPを流すことが多くて「ラップ面白い!」と自分たちで詞を書いたことがあったり。

――ラップまで書いちゃうんですね!

モリニシさん:そのときすごく楽しくて。次の日も仕事があるのに、すごい夜更かしして一生懸命つくって!

ヤマベさん:すごい頑張って作ってて、めっちゃ面白かった!

モリニシさん:バンドをするってなったらどんな楽器がいいかなって、妄想を話し合ったこともあります。演奏のパフォーマンスの中で踊ったり行進したりできたらいいな、とか考えて、ウクレレとかアコーディオンとか、なるべく自由に動ける楽器がいいんじゃないかって!視覚的にも表現したい、って感じです。

――衣装も曲もつくって、自分たちで歌って踊って、トータルコーディネートできそうですね!それをまた、ZINEやCDにまとめたり。

ヤマベさん:めっちゃ楽しそう!

――素敵ですね!やりたいこと、ほかにもありますか?

ヤマベさん:ぜんぶ面白がりながら、楽しみながらいろいろ製作できている今がすごく嬉しいなと思っています。それが繋がって、今回インタビューさせてもらう機会もいただけて。めっちゃ嬉しいです!

――こちらこそありがとうございます!文学フリマのブースではおふたりが心から楽しんでいる姿がキラキラしていて印象的でした。ZINEからもそれは感じていて。実際に話を聞いてみたら、作ることが目標というよりは作ることそのものを楽しんでいる感じが伝わってきて、そんなおふたりのスタイルがすごく素敵だなと感じました!
これからも応援しています。活動、頑張ってください!

201:わー、ありがとうございます!がんばります!

最後まで楽しんでインタビュー受けてくださったおふたり。ありがとうございました!

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