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ゆるーく山を楽しむ

「わぁー、とっても綺麗だねー。」
「まるで絵みたいじゃない?」
「りこちゃん、昔、行ったことあるんだよね?」
「うん、そうよ。」
「いいなぁー、りこちゃん。」

今日も りこちゃんと こざる達は いつものように賑やかに
皆で一緒に朝ごはんを食べています。
テレビでは 旅行番組をやっていて、
スイスのマッターホルンが映っています。

「りこちゃんは、昔、ツアーでスイスに行ったことがあるんだよ。」
「それで、アルプスのマッターホルンの麓に泊まって、
トレッキングしたんだよね。」

トレッキングよりも、ピクニックの方が近いかもしれません。
麓から途中まで登山鉄道で登っていって、
そして歩いて下ってきました。

「途中にマッターホルンが映る湖があるんだよ。」
「リッフェル湖といって、マッターホルンが逆さに映るんだ!」
ちょうどテレビで その場所をやっています。

「本当に絵みたいに綺麗だよね。」
「絵よりも美しいんじゃない?」
皆、うんうん頷きます。
溜め息が出る程美しいとは、こういう眺めを言うのでしょう。

「明日は山の日だね。」
「ぼく達が行ったことがある山って、登山というよりも
ピクニックだよね。」

こざる達が行く山は、自力で登るのではなく、
ケーブルカーなどに乗って登ります。

「最後の方だけ ちょろっと自力で登るよ!」
「ぼく達のは ゆるーい登山なんだよ。」
皆、うんうん頷きます。

「何年か前に、皆で近郊の山に行ったよね。」
「うん、りこちゃんとぼく達皆で 紅葉を見に行ったんだよ。」
「ケーブルカーで上まで行って、平らな遊歩道を歩いたねー。」
「紅葉、とっても綺麗だったね。」

りこちゃんが、まだあちこち出かける体力があった頃、
皆で、近郊の山に紅葉狩りに出かけました。

「それで山頂に行って、遠くの山々を眺めて戻ろうとしたら、
滝へ行く道があったんだよね。」
「それで、その標識を見ると、すぐそこに滝がある感じだったから、
ぼく達、ちょっと行ってみようよって 歩いて行ったんだよ。」

何の迷いもなく、軽い気持ちで、すぐそこの滝を見て戻るつもりでした。

「そしたら、なんだか下り道が少し険しくなってきちゃって、
ぼく達、ちょっとだけ本格的登山?みたいになって…」
「りこちゃんもいるし、戻ろうか?って思って…」
「でも りこちゃんたら『大丈夫よ!』って張り切っちゃってねー。」
皆、大笑いします。

「それで、滑って転ばないように 皆、すごく気をつけて下っていったら
滝の音が聞えてきて、辿り着いたんだ!」

とても美しい滝でした。
ちょっとだけ本格的登山?を体感した皆は大満足でした。

「それで じゃあ戻ろうって、今度は登らなきゃねって思ったら…」
「すぐ横に 違う道があって、その道は楽なコースだったんだよ!!」

そうなんです。
りこちゃんと こざる達が頑張って、足をプルプルいわせて下ってきた道は、
ちょっと険しいコースだったのです!

「ぼく達、標識をよく見ないで来ちゃったんだ!」
「でも戻りは、その楽なコースを 楽に歩いて戻れたんだよね。」

皆、転んで怪我しないで無事に済んでよかったです。

「その後も しばらく足がプルプルしてたんだよね。」
「あれは本格的な登山だったねぇ。」
皆、笑いながら頷きます。

「ほんと 楽しかったねー。」

皆、朝ごはんを食べ終わったようです。

「じゃあ食後のコーヒー、淹れてくるねー。」
「お願いしまーす。」
お茶当番の二人のこざるが、台所へ向かいます。

こざるちゃんが 台所でラジオをつけると元気な歌が流れてきます。

「赤い火をふくあの山へ登ろう 登ろう
そこは地獄のかまの中 のぞこう のぞこう
登山電車ができたので誰でも登れる
流れる煙は招くよ みんなを みんなを 」

イタリアの歌、『フニクリ・フニクラ』です。

こざる達もコーヒーの準備をしながら
嬉しくなって元気よく一緒に歌います。

「行こう行こう 火の山へ
行こう行こう 火の山へ
フニクリ フニクラフニクリ フニクラ
だれも乗るフニクリ フニクラ
行こう行こう 火の山へ
行こう行こう 山の上
フニクリ フニクラ フニクリ フニクラ
誰も乗るフニクリ フニクラ」

こざるカフェは、今日も ゆっくり始まって
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
お盆真っただ中ですね。
よい毎日でありますように (^_^)

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