りこちゃんは、もうスースーよく眠っています。
こざるちゃんは、そっとタオルケットをかけ直します。
昔、りこちゃんが小さかった こざる達にしてくれたように。

窓の外から、虫が鳴いているのが聴こえます。

「朝晩はすっかり秋だなぁ。」
こざるちゃんは、そう呟いて静かに 部屋を出ます。

今日も りこちゃんとこざる達は いつものように
楽しく賑やかにお喋りしながら、 皆で一緒に夕飯を食べ、
食後のお茶を飲みました。
こざる達は、お喋りしながら いつものコーヒータイムです。

こざるちゃんが戻ってきました。

「コーヒー、入ったよー。」
「ビスケットもあるよ。」
こざる達は、わいわい賑やかです。

「りこちゃん、よく寝てる?」
「うん、赤ちゃんみたいにスースー、クークー、よく寝てるよ。」
「朝晩はだいぶ涼しくなってきたから、よく寝られるよね。」
「そうだね、昼間はちょっと蒸し暑かったけどね。」
「明日は晴れて また気温が上がって暑くなるみたいだよ。」

秋の真ん中に向かいつつ、
夏と秋とを行ったり来たりします。

「りこちゃん、ちょっと笑ったままの顔で
気持ち良さそうにクークー寝ているのを見たら、
俵万智さんの句を思い出したよ。」
こざるちゃんが言います。

「バンザイの姿勢で
眠りいる吾子よ
そうだバンザイ
生まれてバンザイ」

皆、赤ちゃんの寝ている姿を思い浮かべて、
それから、りこちゃんが寝ている様子も
思い浮かべて、笑顔でうんうん頷きます。

「皆、年とると、生まれた時のように
戻っていくのかもしれないね。」
「赤ちゃんと老人って、どこか似ている気がするよ。」
「そうだね、周りの助けを借りないとならないけれど、
でもね周りを笑顔にしてくれるよ。」
「どの赤ちゃんも、どの老人も、皆、幸せであってほしいな。」
「本当にそうだね。」

こざる達は、昨今の子供の虐待のニュースに
心が締め付けられて憤りを感じています。

「生まれてバンザイなのに。」
「存在そのものが幸せの塊なのに。」
皆、うんうん頷きます。

「何度も救う機会はあったのに。」
毎回、強くそう思います。
　
以前、イギリス在住のライター、ブレイディみかこさんが
ラジオで話していたのを聞いたのですが、
イギリス人は、特に子供や動物の虐待には ものすごく厳しく、
少しでも何か様子がおかしいと感じたら、即、通報するのだそうです。
悪く言えば、互いに監視しているのだけれど、と話していましたが、
そうしないとならなくなっているのかもしれません。

「赤ちゃんも、老人も、誰もが辿る道だよね。」
「そうだね、自分のことなんだよ。」
「赤ちゃんから老人まで、誰もが毎日 笑って暮せる世の中であってほしいなぁ。」　
皆、うんうん頷きます。

「ほうじ茶、淹れようかな。」
「うん。」
「アーモンドチョコレートもあるよ。」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日も天気の急変に要注意です。
よい毎日でありますように (^_^)